チェスター相続税実務研究所
私道を地方公共団体へ有償貸付している場合の評価について
2018/01/19
【前提】
・所有する不動産の一部が地方公共団体へ有償貸付されている。
・地方公共団体との賃貸契約書があり、年額約10万円の入金がある。
・提供している不動産は、2車線の道路となっており、公衆用道路である。
【評価方法】
私道の評価は、以下の区分に応じ2つの評価方法が財産評価基本通達で定められています。
1.公共用であり、不特定多数の者の通行の用に供されている私道評価しない。
2.専ら特定の者の通行の用に供されている私道 その宅地が私道でないものとして評価した価額の30%相当額
上記1のケースについて評価を行わなくて良いとされている理由は、過去の裁決において以下のように示されています。
①公共性が高く、もはや私有物として勝手な処分ができるものではない。
②私道を廃止して宅地となる可能性は極めて低くなるため。
通常、所有者以外の方が私道を使用している場合であっても、賃料をもらって貸し付けていることは少ないと思います。では、このように有償で貸し付けている私道はどのように評価すれば良いのでしょうか。
今回の事例においても、前提の状況からすれば、上記①②の条件は満たしますので、この点では公衆用道路として評価しないという結論になります。
一方で、賃料が発生しているため、客観的交換価値があるようにも考えられます。しかし、財産評価基本通達上、賃料が発生している場合の私道の評価方法は特に定められておりませんので、通常の私道評価を準用して評価を行えば良いと考えられます。
よって、有償貸付している私道についても、公衆用道路として不特定多数の者の通行の用に供されているのであれば、0評価になるものと考えられます。
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