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チェスター相続税実務研究所

障害者の税額控除の適用可否について

2017/10/19

相続人Aと相続人Bがいました。相続人Bは身体障害者1級であり、AがBの成年後見人となっています。被相続人は、生前に公正証書遺言で財産を全てAに渡すという遺言を作成していました。AとBは仲が悪いという訳ではなく、AにBの面倒をみてほしいという思いからです。

 Aは成年後見監督人である弁護士に依頼して、遺留分相当額をBに渡すという報告書を作成し家庭裁判所に提出しました。そして、Bに対して支払いも済ませました。

 Bは遺留分相当額を取得したことになりますが、この遺留分相当額の取得が、障害者の税額控除の適用要件である「相続や遺贈により財産を取得した者」に該当するのでしょうか。

 相続税法(以下「法」といいます。)30条1項において、法32条1項3号(遺留分減殺請求に基づき返還すべき額が確定したこと)に規定する事由が生じたため、新たに法27条1項規定の申告書を提出すべき要件に該当することとなった者は期限後申告書を提出できる旨、法31条1項において、法32条1項3号に規定する事由が生じたため、既に確定した相続税額に不足を生じた場合には、修正申告書を提出できる旨がそれぞれ規定されています。

 法30条1項及び法31条1項のいずれも、その冒頭に「法27条1項」とあり、同項が「相続又は遺贈により財産を取得した者」を主語としていることからすると、遺留分減殺請求により遺留分の返還を受けた者は、「相続又は遺贈により財産を取得した者」に該当するものと考えられます。

 よって、障害者の税額控除の適用が可能であると考えらえます。

※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。

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