チェスターNEWS
債務控除と借入金による墓地等の購入
1 債務控除とは
債務控除とは、相続税の計算において、被相続人が残したプラスの財産から、被相続人が残したマイナスの財産を差し引いて課税価格を算出することを言います。
プラスの財産には、土地、建物、現金、預貯金、有価証券などがあります。
他方、マイナスの財産には、借入金や費用などがあります。
2 墓地等の財産は課税対象にならない
墓地等の財産は、上記のようなプラス財産には含まれず、課税対象になりません。
国税庁HPにおいても「相続税がかからない財産」として
「墓地や墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝をしている物」が挙げられており、墓地等の財産は相続税の課税対象になりません。
これは、墓地等の財産の公益性や国民感情等を考慮したものと考えられます。
ただし、骨とう的価値があるなど投資の対象となるものや商品として所有しているものは相続税がかかるとされています。
3 墓地等の購入のための借入金は債務控除の対象にならない
相続財産から控除できる債務と控除できない債務があります。
1) 相続財産から控除できる債務(国税庁HP №4126)
ⅰ)債務
相続財産から控除できる債務は、被相続人が死亡した時にあった債務で確実と認められるものです。
なお、被相続人に課される税金で被相続人の死亡後相続人などが納付又は徴収されることになった所得税などの税金については被相続人が死亡したときに確定していないもの(相続時精算課税適用者の死亡によりその相続人が承継した相続税の納税に係る義務を除きます。)であっても、債務として遺産総額から差し引くことができます。
ただし、相続人などの責任に基づいて納付したり、徴収されることになった延滞税や加算税などは遺産総額から控除することはできません。
ⅱ)葬式費用
葬式費用は債務ではありませんが、相続税を計算するときは遺産総額から控除することができます。
2)相続財産から控除できない債務
前述のように、墓地、仏壇、仏具などの財産は相続税の課税対象とならないことから、相続税対策として、銀行で借り入れをして、墓地等の財産を取得しておくということも考えられます。
ただ、相続開始時に被相続人が残している借入金については債務控除の対象となりますが、墓地等の非課税財産を取得するための借入金については債務控除の対象とはなりません。
例えば、被相続人Xが生前に500万円を借り入れて、500万円の墓地を購入したとします。500万円で購入した墓地は相続税のかからない財産のため、課税対象とはなりません。
他方、この墓地を購入するために借り入れた500万円についても、相続税を計算する中で、債務控除の対象とはなりません。
仮に、この500万円の借入の目的が、墓地などの非課税財産取得以外のことであれば、基本的には、債務控除の対象となりますが、500万円を銀行から借り入れる際に、借入の理由を書面に残している可能性が高く、墓地等の購入目的であることが判明すれば、やはり債務控除の対象とはなりません。
また、仏壇等を購入し、相続開始時点で未払いであった金額についても、債務控除の対象とはなりません。例えば、100万円の仏壇を購入し、30万円は支払っていたが、残り70万円については支払っていなかった場合、残額70万円について債務控除の対象とすることはできません。
※本記事は記事投稿時点(2019年12月27日)の法令・情報に基づき作成されたものです。
現在の状況とは異なる可能性があることを予めご了承ください。
※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。
「相続対策」も「相続税申告」もチェスターにおまかせ。
「相続税の納税額が大きくなりそう」・「将来相続することになる配偶者や子どもたちが困ることが出てきたらどうしよう」という不安な思いを抱えていませんか?
相続専門の税理士法人だからこそできる相続税の対策があります。
そしてすでに相続が起きてしまい、何から始めていいか分からない方もどうぞご安心ください。
様々な状況をご納得いく形で提案してきた相続のプロフェッショナル集団がお客様にとっての最善策をご提案致します。
DVDとガイドブックの無料資料請求はこちらへ
各種サービスをチェック!
\ご相談をされたい方はこちら!/
【次の記事】:令和元年度相続税法等改正通達~特定事業の判定方法など~
【前の記事】:遺留分侵害額の請求~改正を踏まえた実務での注意点~