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相続税の税務調査の当日に聞かれる質問と内容
税務調査が行われる当日、税務調査官に何を聞かれ、何を答えたらいいのか。
弊社が過去に立ち会った税務調査の経験・対応をもとにしてご説明いたします。
1)被相続人のみならず、相続人のプライベートまで
税務調査で聞かれる質問と内容は、ある程度、定型化されており、午前中は質問を中心に税務調査が行われます。
内容は多岐に渡り、被相続人のことのみならず、相続人のことにまで及びます。
税務署の狙いとしては、生前贈与や網羅性の確認が一義的にありますが、質問の過程の中で、虚偽の発言や意図的な隠ぺいの意思の有無についても確認を行っていますので、質問の回答には注意しましょう。
・無駄なことは話さない、聞かれたことに対してだけ答える
・嘘はつかない。答えに困る時は、同席税理士に聞いてみる
・調査にはあくまで協力姿勢で印象をよくする
といった対応方法が前提として大切になってきます。
税務署も人間ですので、心象の良し悪しは最終局面で重要となってきます。
2)税務調査の質問の意図と目的
税務署が一番やりたいことは「ちゃんと税金を納めてほしい」です。
ちゃんと税金を納めない人がいるために、税務署も厳しく目を光らせて以下にあげる各項目をチェックします。
これら税務調査で行われる質問の意図と目的を知り、的確な回答ができるようになりましょう。
1. 相続財産として申告していない金融機関(銀行、証券会社)がないかどうかの確認
税務署は税金が回収することが仕事ですので、申告漏れがある財産を見過ごすことは一番嫌います。
また「大丈夫だろう」と税務署に嘘をつく方も少なくないため、税務署が細かく追及するところでもあります。
2. 実質的には被相続人が資金の拠出元となっている名義預金がないかどうかの確認
例えば、父が子供名義で持っている貯金などがあたります。子供名義で子供がもっていれば問題はないのですが、税金対策のため子供名義で父が持っていた貯金は相続税の課税対象になります。
名義預金の判定はそれだけで1冊の本になるほど判定が難しいテーマなので、税務署も本当に間違いがないか、力を入れて調査を行います。
3. 相続人が家を購入する際や孫の進学・結婚などに際し、資金の援助(贈与)がないかどうかの確認
贈与をしているが、贈与税を払っていない(もしくは贈与だと認識していない)ケースは多々あるため税務署の必須確認項目になります。
4. 相続財産として申告していない手許現金がないかどうかの確認
・父が押入れの奥に隠していた現金が申告後に見つかった
・そもそも現金を隠して申告していなかった
ということがあるため、税務署が目を光らせる箇所です。
5. 贈与の成立していない資金の流れがないかどうかの確認
贈与したつもりでも、印鑑が被相続人のものと同様であったり、通帳の管理を被相続人がしていた場合等には贈与に該当せず時効が成立しない可能性がありますので、調査の確認対象としてあげられます。
3)税務調査当日に聞かれる質問内容の具体的事項
税務調査当日に聞かれる質問内容の具体的事項を列挙しました。
質問内容に答える際に大事なこと
当日、税務調査を対応する際には申告内容を全て記憶する必要はありません。
提出した申告書やあらかじめ用意した資料を見ながら質問に回答してもかまいません。
また、前述したように「嘘をつかない」で回答することが大事です。
例えば「生前は質素な生活していると思ったけど、相続税の申告を通して競馬漬けで大金を使っていたことがわかった」といったように、生前と申告後に知った事実を交えて回答するなどです。
1. 被相続人が相続財産をどのように築いたか
2. 被相続人の出身地や職業、結婚の時期、趣味、月々の生活費など
3. 被相続人の日記の有無
4. 被相続人の印鑑はどこにありますか
5. 被相続人や相続人は貸金庫を持っていますか
6. 相続人と税理士との関係は
7. 被相続人や相続人が取引のある金融機関と支店名は(過去に使っていたものを含めて)
8. 相続税を納税した金融機関はどこですか
9. 相続人の出身大学や職業、住まいなどについて
10. 相続人の家の購入金額や売却金額(過去に住んでいたものも含めて)
11. 相続人の家族(子供、配偶者)の年齢や学校名、職業など
12. 被相続人の配偶者の財産状況
13. 被相続人の死亡直前の財産管理は誰が行なっていたか(書類や通帳の管理)
14. 被相続人が亡くなったときの状況(入院の有無・時期や病院名など)
15. 被相続人の介護や入院にかかった費用
16. 相続開始直前で下ろした現金の具体的な使い道
17. 相続人の投資状況(証券口座を持っているか、どれ位株式や投資信託へ投資しているか等々)
18. 生前に贈与を受けたことがあるか
4)税務調査当日に聞かれる質問に対する模範解答とは?
上記にあげた質問内容に対して、模範解答があるかというとそうではありません。
学校のテストのように一律なものではなく、人によって申告内容が異なるため、質問に対する回答がすべて異なるためです。
例えば、「16. 相続開始直前で下ろした現金の具体的な使い道」を聞かれた場合、Aさんは「知らない」とうそ偽りなく答えるのが正解ですし、Bさんは「葬儀費用のために、慌てて事前に引き出した」と答えるのが正解です。
また、特例や控除などで、配偶者の相続税をどうしてもゼロにしたいCさんは「預金は子供が引き継いで、申告書の?に記載してある」など、申告が異なれば回答する内容も異なります。
また日記のようなグレーなものもあるため、ここの記事で言えることは「相続人それぞれが嘘をつかずに答えてください」としかお答えできません。
ただし税務署に対して、あえて不利になるような回答・発言をする必要はありませんので、そういった意味で、弊社のような専門家が税務署への対応方法をお知らせしています。
またこういった相続税の税務調査に対する対応方法は、グレーな部分も存在するため、税理士も書籍等で、明確な解説ができないという事情もあります。
弊社では相続税申告をお手伝いしたお客様については、将来の税務調査までフォローさせていただきますので、個別具体的な税務調査に対する模範解答や具体的な対応方法も指導させて頂いております。
まとめ
このように相続税の税務調査当日の質問はある程度、決まっていますので、事前に対策・準備を行うことが可能です。
質問もそれに対する回答も、グレーなことが多いので税理士の力量が問われるところでもありますので、何か気になることがある場合には必ず事前に実績のある税理士と相談しておくと当日に質問を受けても慌てることがないので安心でしょう。
相続税における税務調査のすべて
- 自分で相続税の申告を行った
- 相続が専門でない税理士に相続税の申告を依頼した
上記2つに当てはまる方は税務調査を行われる確率が極めて高いです。
なぜ税務調査を受けることになるのか?当日、何を聞かれるのか?追加で課税されることはあるのか?
税務調査前にやるべき準備から当日の受け答え、さらには後日の対応まで税務調査を難なくこなすための方法を弊社の実務から得た経験からご紹介します。
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