チェスター相続税実務研究所
みなし贈与も相続時精算課税の対象か
2022/04/14
相続時精算課税制度を選択できるのは、贈与した年の1月1日現在において、年齢が
- 贈与者は60歳以上の者
- 受贈者は18歳以上(※)の者でかつ贈与者の直系卑属である推定相続人及び孫
である場合です。
(※:成人年齢の引き下げにより、贈与が令和4年4月1日以後の場合は、受贈者が18歳以上であれば適用できます。贈与が令和4年3月31日以前の場合は、受贈者は20歳以上であることが要件です。)
しかし、その「贈与」は、民法549条の「贈与」のみをいうのでしょうか。
この点、相続時精算課税制度の対象となる「贈与」は、民法上の「贈与」に限定されず、相続税法上の「贈与」も対象となります。
そうすると、例えば、「株式の低額譲受(相続税法7条)」といった相続税法上の「みなし贈与」も相続時精算課税制度の対象の「贈与」となります。
「みなし贈与」は、当事者に「あげた」「もらった」の認識がない場合であっても、経済的利益の移転に着目して課税されるものであり、思わぬ課税を受けやすい論点です。「みなし贈与」が事後的に識別された場合に、相続時精算課税制度を適用して既に2,500万円の控除枠を使い切っていると、例えば「基礎控除額以下だから」という逃げ道がなくなってしまうため、暦年課税制度よりも更なる注意が必要です。
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