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外国税額控除の適用為替レート

2019/01/28

相続税の税額控除のひとつである外国税額控除(相続税法20条の2)について、相続税に相当する外国税は、その国の外貨で支払っているのが通常であるところ、日本の相続税における外国税額控除額の算定においては、邦貨換算の上で相続税申告書に記載する必要があります。

その適用為替レートについて定めた相続税法基本通達20の2-1(邦貨換算)には、

法第20条の2の規定による控除税額は、法施行地外にある財産について、その地の法令により課された相続税に相当する税額を、❶その納付すべき日における対顧客直物電信売相場により邦貨に換算した金額によるものとする。ただし、送金が著しく遅延して行われる場合を除き、❷国内から送金する日の対顧客直物電信売相場によることができるものとする。

(註)下線・囲み数字は記事執筆者による

とありますが、外国税額控除の規定の適用がある相続人であれば、外国税の通貨(たとえばアメリカドル)による銀行預金口座を従前から保有している(あるいは、被相続人からその外貨による銀行預金を承継する)こともありえます。

そうすると、外国税の支払のために、わざわざ邦貨を外貨に両替することなく、従前から保有していた(あるいは承継した)外貨をもって納税に充てることもありえます。

この場合に、本件通達の❶❷のいずれかに直接当てはめることが難しくなりますが、その場合にはどのように考えるのが良いでしょうか。

本件通達は、「外国の法令により課された相続税に相当する税を納付する場合には、納税者は為替銀行で対顧客直物電信売相場(TTS)により外貨を取得し、外国に送金するのが通常である」という前提の下に定められています。

上記の前提に照らせば、「相続税に相当する外国税をその国に納付する日現在」の、その「納付手続をする銀行のTTS」を適用するのが、二重課税の排除という外国税額控除の規定の趣旨からも妥当であると考えられます。

仮に、既に外貨による銀行預金を保有していなければ、上記の❷のように、国内の金融機関のTTSによって邦貨を外貨に両替し、その外貨をもって即納税に充てることになりますが、外貨の銀行口座を保有していればその手続が必要なく、相続税に相当する外国税を即納付する手続しかありませんので、その「外国税を納付する日」の「納付する金融機関のTTS」を用いるのが整合的でもあります。

ちなみに、財産評価基本通達4-3にも邦貨換算の定めがありますが、これは財産評価という場面において適用すべき定めであり、外国税額控除の適用レートについては、相続税法基本通達20の2-1の定めによることになります。

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