チェスター相続税実務研究所
非経常的な利益金額
2019/03/14
取引相場のない株式の類似業種比準価額を算定する上で、評価会社の「非経常的な利益金額」を除外することになります。
例えば、政策目的の補助金(例えば「ものづくり補助金」)を、課税時期の直近3期のうち2期以上受給していた場合に、複数回受給していたことをもって「非経常的な利益金額」に該当しない(即ち除外しない)と考えてよいでしょうか。
「非経常的な利益金額」を除外する趣旨は、「評価会社の経常的収益力を株式の価額に反映させる」ことにあります。
補助金には予算があり、かつ、申請して採用された場合にはじめて受領できるものですし、その補助率や上限額についても、評価会社の技術力にかかわらず政策的に変更されるものです。
その政策に左右される他人頼みの収入が、評価会社の経常的収益力(換言すれば、本業の収益獲得能力)を構成するという理解は通常はしないものと考えられます。
過去に複数回の受給事績があるという事実関係は、「非経常的な利益金額」の判断の要素の1つにはなり得ますが、収入そのものの質的な性格を考慮すべきでしょう。
例えば、「雇用調整助成金」を過去複数回にわたり受給していたからといって、それが評価会社の経常的収益力を構成するとはいえないのと同様に、臨時偶発的な性格を有する収入は、質的な側面からその影響を除外すべきものです。
「非経常的な利益金額」を控除する前の法人税の課税所得金額に比して、補助金収入のインパクトが大きく、除外すべきか否か逡巡される(あるいは、除外することで特定の評価会社に該当するかもしれません)ところですが、質的な性格に鑑みれば除外するのが相当です。
※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。