チェスター相続税実務研究所
小規模宅地等の特例の適用可否(特別養護老人ホームに入居していた場合)
2013/08/12
小規模宅地等の特例での特定居住用宅地等の適用可否において、被相続人が老人ホームに入居していた場合、現行の制度では十分な検討が必要です。
通常、老人ホームに入居していた場合、現行の制度では、次の1から4に掲げる状況が客観的に認められる場合にのみ、相続開始の直前においても被相続人の居住の用に供されていた宅地等に該当するものとされます。
- 1.被相続人の身体又は精神上の理由により介護を受ける必要があるため、老人ホームへ入所することになったものと認められること。
- 2.被相続人がいつでも生活ができるようにその建物の維持管理が行われていたこと。
- 3.入所後新たにその建物を他の者の居住の用その他の用に供していた事実がないこと。
- 4.その老人ホームは、被相続人が入所するために被相続人またはその親族によって所有権が取得され、あるいは終身利用権が取得されたものでないこと。
この老人ホームのうち、特別養護老人ホームについては、寝たきりや認知症など常時介護が必要で自宅では適切な介護ができない高齢者が入る施設とされるため、当該老人ホームの入所は介護を受ける事が主な目的であると考えられます。
そのため、自宅にいつでも戻ることができる状況にあり、かつ、取得要件や継続要件に該当すれば特定居住用宅地等として小規模宅地等の特例の適用が可能であると判断できます。 また、入居が長期に渡っていた場合、住民票の住所を当該老人ホームに移していた場合のいずれにおいても、適用が可能であると判断できます。
なお、課税当局の質疑応答事例「老人ホームへの入所により空き家となっていた建物の敷地についての小規模宅地等の特例」では、老人ホームへの入所により空き家となった場合に限定しているように考えられますが、老人ホームへの入所前に同居親族がおり、入所後もその親族が引き続きその家屋に居住し、その家屋が空き家になっていなくとも上記4に掲げる状況が客観的に認められる場合には小規模宅地等の特例の適用は可能であると判断できます。
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