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チェスター相続税実務研究所

遺留分減殺請求された場合の相続税申告

2015/03/16

すべての遺産を特定の相続人に「相続させる」遺言があった場合において、他の相続人から遺留分減殺請求をされたときに相続税申告上留意すべき点を確認したいと思います。

特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」旨の遺言は、遺贈と解すべき特段の事情がなければ、相続開始時に直ちに当該遺産を分割したものと考えます。すなわち、このような遺言については遺産分割の余地がないこととなります。このような遺言で、遺言内容と異なる遺産分割を実施すると相続人間で交換や贈与といった相続税以外の所得税や贈与税の課税が生じる可能性があるため要注意です。

遺産分割の余地がなくても遺留分を侵害している内容の遺言であれば遺留分減殺請求は可能となります。遺留分減殺請求権が行使されると相続分の指定は遺留分を侵害している限度において失効し、遺留分権利者に帰属すると理論上は考えることができますが、実務上は遺留分権利者に返還すべき又は弁償すべき額がすぐに決まるわけではありません。

遺留分減殺請求をされて相続税申告期限までに返還すべき又は弁償すべき額が確定しなかった場合における相続税申告は未分割申告となるのでしょうか。結論を申し上げると未分割申告にはなりません。返還すべき又は弁償すべき額が決まっていない場合には遺言の内容通りに相続税の当初申告をする必要があります。その後返還すべき又は弁償すべき額が確定した場合には修正申告又は更正の請求を実施することとなります。

※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。

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