チェスター相続税実務研究所
相続人に失踪者がいた場合の対応
2015/09/08
財産の評価や税務の判断に関する事ではありませんが、相続人に失踪者がいる場合にどのように対応したらよいのでしょうか。
ごく稀にですが、相続人の中に音信不通となっている方がいらっしゃる場合があります。原因は様々ですが、日ごろから相続人間で疎遠になっており連絡を取っていない場合もあれば、住んでいる場所も分からず生死も定かではない場合もあります。
しかし、相続人である以上、連絡を取れない方に連絡を取らずに遺産分割等の手続をすることは出来ません。
単純に相続人間が疎遠となっており直接の連絡先を知らないというだけであれば、電話での連絡は無理だとしても、住所を知っていれば手紙により連絡をとることが可能です。しかし、実際にどこに住んでいるかも生死も分からないという場合には、戸籍から住所を調べ同様に手紙により連絡をとることから始めます。
それでも音信不通ある場合には不在者財産管理人の選任(音信不通で行方不明となっている場合の取り扱い)を、失踪状態(行方不明者が死亡したものとしたときの取り扱い)である場合には失踪宣告の手続きを進めていきます。なお、これらは家庭裁判所での手続きが必要となります。
このように相続人の中に失踪者がいる場合には、単純に連絡を取ることや、家庭裁判所で失踪宣告を受ける手続き等はかなりの期間と手間を要してしまうことになります。手続きが煩雑になってしまう結果、申告期限までに遺産分割協議が間に合わず、不動産等の名義変更や、預金の解約なども行うことが出来ないため、相続税の納税するために相続人が自らの資産を切り崩したり、借入をしなければならないような事態が十分考えられます。
そのため、生前のうちから相続人の中に失踪者がいることが分かっているならば、公正証書遺言を作成しておくことをお勧めします。なぜなら、公正証書遺言書を作成し、遺言執行者を定めておくことにより遺産分割協議を行う必要がなくなり、失踪者と連絡をとる必要がなくなるためです。
※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。