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チェスター相続税実務研究所

株主が投資育成会社である場合

2015/10/20

Q: 
私(以下Ⓐ)はⒷ株式会社(非上場)を経営しています。株主構成は以下の通りです。
私に相続が発生した場合の会社の株価を評価したいのですが、株主の中に投資育成会社がある場合、どのように評価したら良いでしょうか?

【株主構成】
株主          持株比率
Ⓒ投資育成会社      37%
Ⓑ株式会社社員持株会  9%
Ⓐ(私)           8%
Ⓓ(Ⓐの長男)       7%
Ⓔ (Ⓐの次男)       1%
その他少数株主     38%
株式数合計(=議決権総数) 100%

A: 
まず、投資育成会社とは、中小企業の自己資本の充実を支援する機関です。
投資と育成で中小企業の健全な成長をバックアップすることを目的として、中小企業投資育成株式会社法に基づいて設立されています。
投資育成会社の株主は地方自治体や金融機関等です。

次に、財産評価基本通達188-6には、投資育成会社の評価方法について以下のように定められています。

(1) 投資育成会社が同族株主に該当し、かつ、その投資育成会社以外に同族株主に該当する株主がいない場合には、その投資育成会社は同族株主に該当しないものとして適用する。

(2) その投資育成会社が中心的な同族株主又は中心的な株主に該当し、かつ、その投資育成会社以外に中心的な同族株主又は中心的な株主に該当する株主がいない場合には、その投資育成会社は中心的な同族株主又は中心的な株主に該当しないものとして適用する。

(3) (1)及び(2)において、
(評価会社の議決権総数)-(その投資育成会社の有する評価会社の議決権の数)
を評価会社の議決権総数とした場合に同族株主に該当することとなる者があるときは、
その同族株主に該当することとなる者以外の株主が取得した株式については
(1)、(2)にかかわらず財産評価基本通達188の「同族株主以外の株主等が取得した株式」に該当する。

お尋ねのケースの場合、Ⓒ投資育成会社が同族株主に該当するかの判定については、Ⓒ投資育成会社の議決権比率は37%であり、30%以上ですが、上記(1)にあてはめると、Ⓒ投資育成会社は同族株主に該当しないこととなります。

Ⓒ投資育成会社以外に同族株主がいませんから、同族株主がいない会社として他の株主の区分判定を行うこととなります。

Ⓒ投資育成会社が中心的な同族株主又は中心的な株主に該当するかの判定については、
Ⓐの所有する株式を誰が取得するかにより、取り扱いが異なります。

Ⅰ Ⓐの所有する株式を全てⒺが取得した場合
Ⓐ+Ⓑ=9%なのでⒺは中心的な株主に該当しません。従って上記(2)にあてはめるとⒸ投資育成会社は中心的な同族株主又は中心的な株主に該当しないものとなりますから、Ⓔの取得後の取得者の区分は中心的な株主がいない会社として株式の評価を行うことになります。

Ⅱ Ⓐの所有する株式を全てⒹが取得した場合
Ⓐ+Ⓓ=15%以上、かつ、Ⓓ単独で10%以上ですから、Ⓓは中心的な株主に該当します。
従って上記(2)にあてはまりませんからⒸ投資育成会社は中心的な株主に該当し、Ⓓが取得した場合の取得後の取得者の区分は中心的な株主がいる会社として株式の評価を行うこととなります。

※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。

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