チェスター相続税実務研究所
商品化権の相続税評価
2016/08/05
◆「商品化権」とは
「商品化権」とは、商品の販売等のためにキャラクターを使用する権利のようなものであり、法律上「商品化権」という権利があるわけではありません。ビジネス上、その権利を取り扱うにあたり、著作権や商標権等のみではカバーできない部分があるため、「商品化権」という名称の権利として取り扱うことが、その業界の慣行のようです。
さて、ここで、「商品化権」は相続税評価の対象になるのかどうか、という問題が生じます。ここでは、「商品化権」を法人が所有している場合の、その非上場株式の相続税評価を前提としています。
◆「商品化権」は相続税評価の対象となるか
考え方としては、2通りあります。
①法的な定めのない権利ではあるが、著作権や商標権を複合した権利であり、実際に収益の源泉となっているのだから、財産的な価値があると考え、個別の財産として評価対象とすべきではないか。
②法的には、著作権が切れてしまえば、法的に存在しない「商品化権」を保護する必要がないことから鑑みれば、「商品化権」は著作権の存在を前提として収益を生み出すものであり、著作権の評価額に含めて評価すべきではないか。
いずれの考え方をとるかにあたっては、その「商品化権」の内容、その法人の売上の状況等を総合的に勘案して、検討する必要があります。
◆「商品化権」の相続税評価方法
それでは、上記の①、②の考え方をとった場合の、具体的な相続税評価はどのようになるのでしょうか。
【①の場合】
「商品化権」という財産の評価を考えるにあたっては、その財産が、法人の営業権としての価値を生み出すほどの収益を生んでいるか、ということを検討する必要があります。
仮に営業権の評価額を算出した結果、営業権の評価額がそもそも0円となるようであれば、「商品化権」は営業権に含まれているものと考え、評価額は0円というケースもあるかと思われます。
【②の場合】
著作権の評価は、以下の通り定められています。
年平均印税収入の額×0.5×評価倍率
※年平均印税収入の額
印税収入の前年以前3年間の年平均額
※評価倍率
著作物に関し精通している者の意見等を基として推算したその印税収入期間に応ずる基準年利率による複利年金現価率
(財産評価基本通達148)
よって、この「年平均印税収入の額」に「商品化権」から生み出される収入額を含めて評価をするといった方法が考えられます。
ただし、その法人が、どの権利から生じる収入をどのような売上として計上しているかについて、正確に調査することが必要となります。
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