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相続人の住民票を変更しておらず居所が明らかでない場合の小規模宅地の特例(居住用)における同居判定

2017/09/19

被相続人の居住の用に供されていた宅地等については、同居親族が取得する場合には、特定居住用として評価額を減額することが可能です。被相続人と相続人が同居していたと認められるか否かは、形式ではなく実態で判定されることとなりますが、以下の事例に沿って、確認していきます。

<同居~相続開始まで>
・相続人は、被相続人の居所の付近に自宅あり(配偶者名義)。
・被相続人の配偶者が他界した事をきっかけに、介護などの観点(被相続人要介護2)から、被相続人との同居を開始。
・その後、被相続人が入院。入院後は、老人ホーム入居と入院を繰り返しで、自宅に戻ることなく相続開始。

<同居の経緯、他補足事項等>
・被相続人の配偶者が亡くなってから、被相続人の介護が必要な事もあり、一人で生活が困難であるため、相続人は、自宅から被相続人居所へ生活拠点をうつした。
・週に1、2度相続人の自宅へ戻る事はあったが、寝泊まりも全て被相続人自宅でしていた。
・相続人の住民票はうつしておらず、名刺等も変更していない。
・不動産会社からの連絡(賃貸事業をしていて、業務代理は相続人が行っている)も被相続人居所に来るため、ほぼ被相続人の居所で生活していた。一時期、一月ほど相続人宅へ帰る事もあったが、生活の拠点は被相続人自宅という認識。
・光熱費の領収書は保存しており、実際の利用状況は確認可能。
・相続人の配偶者も、一緒に被相続人の自宅に寝泊まりしていた。

このようなケースにおいて、相続人の主たる生活の本拠地がどこかについては、状況証拠の積み上げにならざるをえません。光熱費の使用状況等、実際の生活の状況を裏付ける状況証拠があれば、同居の主張として説得力が増すでしょう。逆に、被相続人と相続人の自宅が近く、相続人の家財等を被相続人自宅に移していない、等の状況は不利な材料となる可能性が高いと思われます。状況を総合的に勘案して、否認のリスクを考慮したうえで、特例の適用可否を検討する必要があります。

※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。

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