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チェスター相続税実務研究所

包括遺贈があった場合、一部財産についてのみ分割協議は有効か

2018/03/02

全財産を法定相続人ではない受遺者に遺贈するという内容の自筆証書遺言があり、遺言を検認した後に相続人と包括受遺者の間で遺産分割協議を行いました。全財産のうち不動産については、包括受遺者Aが遺贈を放棄し、相続人であるBが相続するという内容です。

包括遺贈の場合、一部財産について遺産分割協議はできるのでしょうか。

包括受遺者は相続人と同一の権利義務を負うので、分割協議書に受遺者Aと相続人Bが連名で登場することはあり得ます。しかし、検認を受けた遺言書が包括遺贈の内容になっている以上、被相続人との関係では、財産を取得する資格があるのは受遺者Aしかいないことになり、その受遺者Aが「(全部)放棄」又は「限定承認」という家庭裁判所の手続きをしない限り「(全部)承認」の取り扱いになります。

そうすると、(全部)承認した財産を、相続後の相続人Bと受遺者Aとの合意により移転させたという構成を採らざるを得ず、受遺者Aから相続人Bへの贈与という判断になってしまいます。

それでは、贈与認定されず、相続の範囲で収めるためにはどうすればよいのでしょうか。

相続人Bには遺留分があるはずなので、受遺者Aに遺留分減殺請求をして、相続人Bと受遺者Aとの協議によって、不動産を取得することにすれば、相続人Bも相続として被相続人から財産を取得することができると考えらえます。

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