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令和6(2024)年度税制改正大綱(資産税関連)
令和5(2023)年12月14日に、自由民主党及び公明党から令和6(2024)年度の税制改正大綱が公表されました。
本稿では、特に資産税関連の項目について解説します。
また、下記の内容を織り込んだ税制改正法案は、例年1月下旬に国会に提出され、国会での審議を経て3月下旬に成立しています。
本稿は、その確定前の段階の解説であることにご留意ください。
■ 税制改正の基本的考え方(大綱P1)
■ 主な改正事項等
■ 主な税制改正の内容
- 住宅取得等資金贈与の非課税の適用期限の延長等(大綱49頁)
- 住宅取得等資金贈与を受けた場合の相続時精算課税制度の特例(大綱50頁)
- 個人版事業承継税制に係る個人事業承継計画の提出期限の延長(大綱50頁)
- 法人版事業承継税制に係る特例承継計画の提出期限の延長(大綱18頁、50頁)
- 特定の居住用財産の買換え特例・交換特例の適用期限の延長(大綱39頁)
- 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除の適用期限の延長等(大綱39頁)
- 住宅用家屋の所有権保存登記等に係る登録免許税の軽減措置の適用期限の延長(大綱50頁)
- 【通達改正】マンションの相続税評価額の見直し(令和5年9月)
- 【検討項目】物納許可限度額の計算(大綱119頁)
令和6年度税制改正の基本的考え方
■ 令和6年度税制改正が目指しているもの
先送りできない課題について一つ一つ結論を出して将来にバトンを繋ぐ。
■ そのための戦略
物価上昇を上回る賃金上昇を実現し、デフレ脱却に向けた税制面での取組みに加え、人口減少、経済のグローバル化など、国内外の経済社会の構造変化を踏まえた税制の見直しを行う。
■ 具体的な税制改正の内容
- 所得税・個人住民税の定額減税
- 賃上げ促進税制の強化
- 戦略分野国内生産促進税制等の創設
- 子育て支援に関する政策税制
■ 扶養控除等の見直し
■ 防衛力強化に係る財源確保のための税制措置
令和6年度 税制改正解説|主な改正事項等
〇印を付したものについて、説明しています。
個人所得課税 | 所得税・個人住民税の定額減税 |
---|---|
ストックオプション税制の要件の緩和 | |
子育て世帯等に対する住宅ローン控除等の拡充 | |
資産課税 | 〇住宅取得等資金贈与の非課税の適用期限の延長等 |
〇住宅取得等資金の贈与を受けた場合の精算課税の特例の延長 | |
〇個人版事業承継税制に係る個人事業承継計画の提出期限の延長 | |
〇法人版事業承継税制に係る特例承継計画の提出期限の延長 | |
〇収用交換等の場合の譲渡所得の5,000万円控除等の見直し | |
〇特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の2,000万円控除の見直し | |
〇特定の民間住宅地造成事業のために土地等を譲渡した場合の1,500万円控除の適用期限の延長 | |
〇特定の居住用財産の買換え特例・交換特例の適用期限の延長 | |
〇居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除の適用期限の延長等 | |
〇特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除の適用期限の延長 | |
〇住宅用家屋の所有権保存登記等に係る登録免許税の改正 | |
〇不動産の譲渡に関する契約書等に係る印紙税の税率の特例措置の適用期限の延長 | |
〇マンションの相続税評価額の見直し(令和5年9月通達) | |
法人課税 | 大企業向け・中小企業向け賃上げ促進税制の拡充及び延長 |
戦略分野国内生産促進税制及びイノベーションボックス税制の創設 | |
企業交際費の損金不算入制度の見直し | |
外形標準課税の見直し | |
消費課税 | 国外事業者に係る消費税課税の適正化(プラットフォーム課税の導入など) |
外国人旅行者向け免税制度の見直し | |
納税環境整備 | 税務手続のデジタル化・キャッシュレス化の推進 |
地方税務手続のデジタル化の推進 | |
〇税務代理権限証書等の様式の整備 | |
検討事項 | 年金課税のあり方の総合的な検討 |
〇物納許可限度額の計算方法 |
令和6年度 税制改正解説|資産課税
住宅取得等資金贈与の非課税の適用期限の延長等
■ 現行制度
父母や祖父母などから2022年(令和4年)1月1日から2023年(令和5年)12月31日までの間に、自己の居住用とするための住宅取得のための資金の贈与を受けた場合で、一定の要件を満たすときは、贈与税の申告をすることにより一定の金額について贈与税が非課税となる(措法70の2)。
■ 改正のポイント
- 適用期限が2026年(令和8年)12月31日まで3年間延長される。
- 非課税限度額は維持される。
- 「省エネ・耐震性・バリアフリー住宅」の要件の見直しについては、2024年(令和6年)1月1日以後の贈与から適用。
- 震災特例法における受贈者について見直し。
■ 適用時期
2024年(令和6年)1月1日以後に贈与により取得する住宅取得等資金に係る贈与税について適用される。
■ 非課税限度額
変更なし。
贈与税非課税限度額 | |
---|---|
省エネ・耐震性・バリアフリー住宅 | 1,000万円 |
一般住宅 | 500万円 |
(注)床面積50㎡以上とする(合計所得金額が1,000万円以下の受贈者に限り、40㎡以上50㎡未満の住宅についても適用)
〇震災特例法に基づく非課税限度額
贈与税非課税限度額 | |
---|---|
省エネ・耐震性・バリアフリー住宅 | 1,500万円 |
一般住宅 | 1,000万円 |
■ 適用要件の見直し
本非課税措置において、「省エネ・耐震性・バリアフリー住宅」の要件の一部について見直す。
改正前 | 新築住宅・既存住宅・増改築 |
|
---|---|---|
令和6年度 税制改正後 | 新築住宅 |
|
既存住宅・増改築 |
|
(注)東日本大震災の被災者が直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置についても同様。
■ 適用要件の見直し・震災特例法
東日本大震災の被災者が直系尊属からから住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置において、受贈者の範囲について見直す。
改正前 |
次のいずれかに該当すること。
|
---|---|
令和6年度 税制改正後 | 警戒区域設定指示等が行われた日において当該警戒区域設定指示等の対象区域内に所在する家屋をその居住の用に供していた者又はその居住の用に供しようとしていた者 |
■ 留意点
- 本制度を利用した受贈者は「持ち家あり」の状態になる。
したがって、小規模宅地等の特例(いわゆる家なき子特例)を適用することができなくなる。 - 贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住すること又は同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれ、翌年2月16日から3月15日までの間に贈与税の申告を行う必要がある。
無申告の場合は暦年課税による贈与税の納税のほか、暦年贈与加算、2割加算(孫などの場合)の対象となる。 - 贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を住宅用家屋の取得に充てる必要があり、残額がある場合は、暦年課税贈与の対象となる。
令和6年度 税制改正解説|資産課税
住宅取得等資金の贈与を受けた場合の精算課税の特例の延長
■ 現行制度
父母又は祖父母からの贈与により、2003年(平成15年)1月1日から2023年(令和5年)12月31日までの間に、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得又は増改築等の対価に充てるための金銭を取得した場合には、贈与者がその贈与の年の1月1日において60歳未満であっても相続時精算課税を選択することができる(措法70の3)。
■ 適用期限の延長
2026年(令和8年)12月31日まで3年間延長される。
令和6年度 税制改正解説|資産課税
個人版事業承継税制に係る個人事業承継計画の提出期限の延長
■ 制度の概要
一定の要件を満たす個人事業者等の事業用資産の承継に係る相続税・贈与税の納税が100%猶予される。
2019年度(平成31年度)に10年間限定で新設された。(措法70の6の8~措法70の6の10、円滑化法規則17①三、④)
■ 適用期限の延長
個人事業承継計画の提出期限が2年延長され、2026年(令和8年)3月31日までとなる。
令和6年度 税制改正解説|資産課税
法人版事業承継税制に係る特例承継計画の提出期限の延長
■ 制度の概要
一定の要件を満たす非上場株式等に係る贈与税・相続税の納税が猶予される。
2018年度(平成30年度)に10年間限定の特例措置を創設し、猶予対象株式数の上限を撤廃するとともに、猶予割合を贈与税・相続税ともに100%とするなど、抜本的に拡充された。(措法70の7の5~措法70の5の8、円滑化法規則17①一、②)
■ 適用期限の延長等
特例承継計画の提出期限が2年延長され、2026年(令和8年)3月31日までとなる。
※本特例措置の適用期限(2027年(令和9年)12月31日)については、今後とも延長を行わない。
令和6年度 税制改正解説|資産課税
収用交換等の場合の譲渡所得の5,000万円控除等の見直し
■ 現行制度
個人の有する資産が収用交換等によりその買取りの申出のあった日から6月以内に譲渡された場合、その譲渡した資産について、譲渡所得又は山林所得の課税上、年間を通じて5,000万円まで控除することができる(措法33の4)。
■ 改正案
- 適用対象に、土地収用法に規定する事業の施行者が行うその事業の施行に伴う漁港水面施設運営権の消滅により補償金を取得する場合及び地方公共団体が漁港及び漁場の整備等に関する法律の規定に基づき公益上やむを得ない必要が生じたときに行う漁港水面施設運営権の取消しに伴う資産の消滅等により補償金を取得する場合を加える。
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律の就労移行支援の用に供する土地等について、所要の法令改正を前提に、引き続き修養交換等の場合の譲渡所得の5,000万円特別控除等に係る簡易証明制度の対象とする。
■ 適用開始年月日
大綱に記載なし。
令和6年度 税制改正解説|資産課税
特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の2,000万円控除の見直し
■ 現行制度
特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合で、一定の要件を満たすときは、譲渡所得の計算上2,000万円の特別控除額を控除することができる(措法34①②)。
■ 改正案
- 適用対象に、「都市緑地法」に規定する特別緑地保全地区内の土地等が同法の規定により都市緑化支援機構(仮称)に買い取られる場合を加えるとともに、適用対象から特別緑地保全地区内の土地等が同法の規定により緑地保全・緑化推進法人に買い取られる場合を除外する。
- 適用対象に「古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法」に規定する歴史的風土特別保存地区内の土地等が同法の規定により都市緑化支援機構(仮称)に買い取られる場合を加える。
(注)改正案は都市緑地法等の改正を前提としている。
令和6年度 税制改正解説|資産課税
特定の民間住宅地造成事業のために土地等を譲渡した場合の1,500万円控除の適用期限の延長
■ 現行制度
特定住宅地造成事業等のために、1994年(平成6年)1月1日から2023年(令和5年)12月31日までの間に土地等を譲渡した場合で、一定の要件を満たすときは、譲渡所得の計算上1,500万円の特別控除額を控除することができる(措法34の2②三)。
■ 適用期限の延長
適用期限が2年延長され、2026年(令和8年)12月31日までとなる。
令和6年度 税制改正解説|資産課税
特定の居住用財産の買換え特例・交換特例の適用期限の延長
■ 現行制度
特定の居住用財産を、1993年(平成5年)4月1日から2023年(令和5年)12月31日までに譲渡し、代わりの居住用財産に買い換えたときは、一定の要件を満たすときは、譲渡益に対する課税を繰り延べることができる。(措法36の2) (措法36の5)
■ 適用期限の延長
適用期限が2年延長され、2025年(令和7年)12月31日までとなる。
令和6年度 税制改正解説|資産課税
居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除の適用期限の延長等
■ 現行制度
1998年(平成10年)1月1日から2023年(令和5年)12月31日までの期間内に、居住用財産の買い換えにあたり、譲渡損失が生じた場合において、買換資産に係る住宅ローン残高があるときは、譲渡損失額を所得金額の計算上控除することができる。さらに、控除しきれなかった譲渡損失は、譲渡の年の翌年以後3年内に繰り越して控除できる。(措法41の5)
■ 適用期限の延長等
- 本特例の適用期限が2年延長され、2025年(令和7年)12月31日までとなる。
- 令和6年1月1日以後に行う居住用財産の譲渡について、本特例の適用を受けようとする個人が買換資産の住宅借入金等に係る債権者に対して住宅取得資金に係る借入金等の年末残高等調書制度の適用申請書を提出している場合には、住宅借入金等の残高証明書の確定申告書等への添付を不要とされる。
令和6年度 税制改正解説|資産課税
特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除の適用期限の延長
■ 現行制度
2004年(平成16年)1月1日から2023年(令和5年)12月31日までの期間内に、特定居住用財産の譲渡にあたり、譲渡損失が生じた場合において、譲渡資産に係る住宅ローン残高が残るときは、住宅ローン残高から譲渡資産の売却額を控除した額を限度に、所得金額の計算上控除できる。さらに、控除しきれなかった譲渡損失は、譲渡の年の翌年以後3年内に繰り越して控除できる。(措法41の5の2
■ 適用期限の延長等
本特例の適用期限が2年延長され、2025年(令和7年)12月31日までとなる。
令和6年度 税制改正解説|資産課税
住宅用家屋の所有権保存登記等に係る登録免許税の改正
■ 1 次に係る登録免許税のの軽減・免税措置等の適用期限が3年延長され、2027年(令和9年)3月31日までとなる。
- 住宅用家屋の所有権の保存登記若しくは移転登記又は住宅取得資金の貸付け等に係る抵当権の設定登記に対する登録免許税の税率の軽減措置(措法72の2、措法73、措法75)
- 特定認定長期優良住宅の所有権の保存登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置(措法74)
- 認定低炭素住宅の所有権の保存登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置(措法74の2)
- 特定の増改築等がされた住宅用家屋の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減措置(措法74の3)
■ 2 次に係る登録免許税のの軽減・免税措置等の適用期限が2年延長され、2026年(令和8年)3月31日までとなる。
- マンション建替事業の施行者等が受ける権利変換手続開始の登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置(措法76)
- 農地中間管理機構が農用地等を取得した場合の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減措置(措法74)
- 特定連絡道路工事施工者が取得した特定連絡道路に係る土地の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減措置(措法91)
■ 3 次に係る登録免許税の税率の軽減措置は、所要の措置を講じた上、2024年(令和6年)3月31日をもって廃止される。
農業競争力強化支援法の認定事業再編計画に基づき行う登記に対する登録免許税の税率の軽減措置(措法80④)
■ 4 次に係る登録免許税の税率の軽減措置は、2024年(令和6年)3月31日をもって廃止される。
- 認定経営力向上計画に基づき行う登記に対する登録免許税の税率の軽減措置(措法80③)
- 認定特定民間中心市街地経済活力向上事業計画に基づき不動産を取得した場合の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置(措法81)
- 低未利用土地権利設定等促進計画に基づく不動産を取得した場合の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置(措法83の2)
令和6年度 税制改正解説|資産課税
不動産の譲渡に関する契約書等に係る印紙税の税率の特例措置の適用期限の延長
■ 現行制度
- 不動産譲渡契約書
2014年(平成26年)4月1日から2024年(令和6年)3月31日までの間に作成される不動産譲渡契約書のうち、その不動産譲渡契約書に記載された契約金額が10万円を超えるものに係る印紙税の税率は、印紙税法別表第一第一号の規定にかかわらず、次の各号に掲げる契約金額の区分に応じ、一通につき、当該各号に定める金額とする(措法91②)。
(措法91②一~十) - 建設工事請負契約書
2014年(平成26年)4月1日から2024年(令和6年)3月31日までの間に作成される建設工事請負契約書のうち、その建設工事請負契約書に記載された契約金額が100万円を超えるものに係る印紙税の税率は、印紙税法別表第一第二号の規定にかかわらず、次の各号に掲げる契約金額の区分に応じ、一通につき、当該各号に定める金額とする(措法91③)。
(措法91③一~十)
■ 適用期限
上記印紙税の税率の特例措置の適用期限が3年延長され、2027年(令和9年)3月31日までとなる。
令和6年度 税制改正解説|資産課税
マンションの相続税評価額の見直し
■ マンション通達の概要
- マンションの相続税評価は2022年4月の最高裁判決(国側勝訴)を契機として、評価額と時価の乖離差を利用した相続税の節税問題が大きく取り上げられ、子の乖離差を是正する方向で見直しが行われ、令和5年9月28日付「居住用の区分所有財産の評価について」と題するいわゆる「マンション通達」が発出された。
■ 適用範囲
- 全国全ての、二世帯住宅を除く3階以上の居住用の区分所有マンションに適用される。
- ①二階建て、②専有部分が3室以下の二世帯住宅、③オフィスビル、④区分所有者が存しない賃貸マンション、及び⑤評価水準が0.6以上1未満である区分所有マンションは適用対象外とされる。
■ 計算明細書
- 居住用の区分所有財産の評価に係る区分所有補正率の計算明細書(Excelファイル、PDFファイル)
- マンション通達に基づき居住用の区分所有財産の価額を評価するために使用する。
■ 適用時期
- 2024年(令和6年)1月1日以後の相続、遺贈又は贈与税により取得した財産から適用される。
令和6年度 税制改正解説|納税環境整備
税務代理権限証書等の様式の整備
■ 改正の内容
「税務代理権限証書」、「申告書の作成に関する計算事項等記載書面」及び「申告書に関する審査事項等記載書面」の様式について、国税庁長官が必要がある場合に、所要の事項を付記すること又は一部の事項を削ることができることとするほか、「所属税理士会等」の欄の記載事項の簡素化を行う。
■ 参考法令
- 税務代理権限証書 税理士法30条
- 申告書の作成に関する計算事項等記載書面 税理士法33の2①
- 申告書に関する審査事項等記載書面 税理士法33条の2②
■ 適用時期
- 2026年(令和8年)9月1日以後に提出する税務代理権限証書、申告書の作成に関する計算事項等記載書面及び申告書に関する審査事項等記載書面ついて適用される。
令和6年度 税制改正解説|検討事項
物納許可限度額の計算方法
■ 検討内容
いわゆる「老老相続」や相続財産の校正の変化など相続税を取り巻く経済社会の構造変化を踏まえ、納税者の支払い能力をより的確に勘案した物納税度となるよう、延納制度も含め、物納許可限度額の計算方法について早急に検討し結論を得る。
上場株式等の相続税に係る物納要件等の見直し
【現状及び問題点】
- 上場株式等による物納については、「延納によっても金銭で納付することが困難な金額の範囲内であること」等の要件があるため、一部の利用に限られている。
- また、相続財産となった上場株式等は、原則、相続時点の時価(※)で評価され、相続後の株価の下落に備えて売却されるといったケースがみられる。
(※)現行制度では、相続時の時価と、相続時以前3か月間(相続発生月、その前月、前々月)の各月における終値平均額のうち、最も低い価額で評価。 - このように、上場株式等の相続税に係る課題が、国民の資産選択に歪みを与えているといった指摘がなされている。
【要望事項】
物納に係る手続について、納税者が利用しやすいよう特例を措置すること。
また、国民の資産形成において、税制が資産選択に歪みを与えることが無いよう、上場株式等について、相続税評価方法等の見直しを行うこと。
出典:金融庁「令和6年度 税制改正要望項目」