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相続税の税務調査では「ゆらぎ」にご注意
2024/12/02
関連キーワード: 税務調査
税務署は、1年を「事務年度」(7月~6月末までの1年間)という単位で動いています。
その中でも、特に7月~12月の期間は、「上期」と呼ばれ、税務調査の最盛期となります。
相続税調査のプロセスと調査担当者の役割
相続税を担当する調査担当者(以下「調査担当者」といいます。)は、自らの知識・経験を駆使して相続税の調査に臨むことになります。
調査担当者は、税務調査を開始する前に、税務署が保有している様々なデータを分析し、分析結果が、相続税申告書の内容と整合性が取れているか否かを慎重に検討し、相続税申告書の問題点を抽出します。
その上で、税務調査開始後は、相続人から様々な事項を聴取するとともに、被相続人及び相続人名義の預貯金等の口座からの入出金をくまなく洗い出し、名義預金や名義株などの帰属を解明するとともに、財産評価についても誤りがないか確認を行います。
「証言」の重要性
税務署が、特に重視するのは相続人の「証言」です。
税務署が、何故「証言」を重要視するか、それは「証言」に「ゆらぎ」が生じやすいからです。
例えば・・・
調査担当者が、被相続人名義の預金口座から、相続開始直前、1千万円が出金していた事実を把握したとします。
そのことを調査担当者から尋ねられた被相続人の長男(以下「長男」といいます。)は、調査担当者に対し、被相続人名義の預金口座から1千万円の出金があったことについて「自分(長男)は、その事実を知らないし、現金も見ていない。」と証言しました。
しかしながら、調査担当者は、その後に行った金融機関への反面調査で、1千万円を引き出した際の出金伝票が、長男の筆跡で書かれていたことを把握しました。
上記のケースでは、調査担当者が、長男に対し、その「事実」を告げるとともに、「その事実を知っていて、かつ、現金を見ていたにもかかわらず、何故「知らない」と証言したのか」を尋ねることで、「事実」と長男の「証言」との間に「ゆらぎ」が生じたことになります。
調査担当者は、この「ゆらぎ」により、長男が、現金1千万円の存在を知っていたことを、調査担当者に隠したとの印象を持つとともに、長男が、現金1千万円を何処に運んだか確認することで、その所在を明らかにすることになります。
一般論として、「1千万円」は大きな金額ですので、長男が「1千万円を引き出した」事実を失念していたとの説明は理解が得にくいし、却って、長男が、「知っていた」のに、あえて「知らない」と証言したのであれば、「その事実を知られたくなかった」と思われても仕方ないように思えます。
調査担当者は、この「ゆらぎ」を見逃さず、事実関係と証言の矛盾点を掘り下げることで、最終的に1千万円の所在を明らかにすることになります。
注意すべきポイントと相続税申告書の作成
相続税の税務調査では、調査担当者が調べてきた事実と、相続人の証言との間に整合性がとれているか否かが重視されます。
相続税申告書を作成する場合には、相続開始日時点の被相続人の所有財産だけではなく、相続開始日以前の資産移転などにも注意を払うとともに、申告書の作成に当たって、何らかの「ゆらぎ」が感じられた場合には、ご注意が必要です。
※税務調査での「ゆらぎ」の発生イメージ
◎ チェスターの視点
税理士法人チェスターは、相続税申告を専門に取り扱う税理士法人です。
相続税申告書の作成を委任された場合には、事実関係を十分に確認し、分からないことは相続人にお伺いして、整合性のとれた相続税申告書の提出を心がけることで、お客様をサポートさせていただきます。
※本記事は記事投稿時点(2024年12月2日)の法令・情報に基づき作成されたものです。
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