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平成30年度税制改正で事業承継税制が抜本的拡充に!

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2017/04/01

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平成30年度税制改正で事業承継税制が抜本的拡充に!

1.はじめに

中小企業・小規模事業者の事業承継については、早急な対策を講じることが求められていることから、平成30年度税制改正において、事業承継税制の要件が大幅に緩和されることとなりました。

もっとも、これまでも、平成21年、25年、27年、29年と事業承継に関して税制改正がされてきましたが、事業承継税制の手続きが煩雑で制度そのものが難解であったため、十分に活用されてきませんでした。

実際、事業承継税制の活用件数としては、平成29年までは、平均250件/年程度(中小企業庁「令和7年中小企業の親族内承継に関する検討会 中間とりまとめ 参考資料」2025年12月12日、10頁)であり、日本におおよそ380万社あると言われる中小企業・小規模事業者の数から考えれば、明らかに少ないといえます。

そこで、平成30年度税制改正において、非上場株式等に係る贈与税・相続税の納税猶予の特例措置が創設されました。この特例は、平成30年1月1日から令和9年12月31日までの間に贈与又は相続若しくは遺贈により取得する財産に係る贈与税又は相続税について適用されます。

つまり、10年間という期間の限定はあるものの、事業承継税制の適用要件が大幅に緩和されており、今後、事業承継が促進されることが期待されています。

それでは、平成30年度税制改正において、どのような特例が創設されたのかを、以下で具体的に説明します。

2.平成30年度税制改正による事業承継税制の抜本的拡充

今後5年以内(※)に特例承継計画を都道府県知事に提出し、10年以内に実際に承継を行う者を対象として、事業承継税制の特例を適用し、納税猶予対象が拡充されました。
(※のちの税制改正により、特例承継計画の提出期限は令和9年9月30日までとなります。)

(1)納税猶予の対象となる株式数の上限撤廃と納税猶予割合の拡大

ⅰ)納税猶予の対象となる株式数

納税猶予の対象となる株式数は、現行制度(一般措置)では議決権株式総数(株主総会での議決権を持っている株式の合計数)の3分の2が上限とされていましたが、特例措置においては全株式が納税猶予の対象とされました。

日本の中小企業の場合、全株式を社長が有しているということも多いことからすれば、全株式が納税猶予の対象となることは、事業承継をする企業側にとってメリットが大きいといえるでしょう

ⅱ)納税猶予割合の拡大

特例措置において、納税猶予割合は、株式に係る相続税額の80%から100%に拡大されました(贈与については、今までどおり、贈与額の100%で変わりありません)。

ⅲ)ⅰ)とⅱ)の結果、事業承継に係る税額負担がゼロになる!

現行制度(一般措置)においては、議決権株式総数の3分の2(約66%)までが納税猶予の対象であり、株式に係る贈与税額については100%納税猶予されますが、相続税については、相続税額の80%しか納税猶予されません。結局、実際に納税猶予されるのは、贈与税額については約66%(発行済議決権株式のうち2/3×100%)、相続税については約53%(2/3×80%)でしかありません。

それが、特例措置においては、納税猶予対象株式数の上限が撤廃されて議決権株式の全株式が猶予対象となり、かつ、猶予割合が100%となったことにより、事業承継時の税負担が実質的にゼロとなりました。

(2)納税猶予対象者の拡大

現行制度(一般措置)においては、親族外を含む複数の株主から、代表者である後継者一人への承継が納税猶予の対象とされています。それが、特例措置では、代表者である後継者を最大3人まで認めることとされ、納税猶予対象者の範囲が拡大されました。

納税猶予対象者の拡大

(3)雇用確保要件の緩和

現行制度(一般措置)においては、納税猶予制度の適用後、5年間で平均8割以上の雇用を維持できなければ、猶予が打ち切られ、猶予されていた贈与税や相続税を全額一括で納付することが求められていました。

ただ、中小企業では、人手不足により従業員数の母数が少なく、この8割要件を満たすことは困難であったため、雇用確保要件が現行制度を利用する上での一番の阻害要因となっていました。

これについては、特例措置では、雇用確保要件そのものは存続するものの、5年間で平均8割の雇用を確保できなかった場合でも納税猶予は継続されることとなり、実質的に雇用確保要件が撤廃されて、事業承継税制の利便性が高められました。

ただし、5年間の雇用平均が8割に達しない場合には、8割の雇用確保要件を満たさない理由を記載した書類を都道府県知事に提出しなければならないこととされました。また、この書類には、認定経営革新等支援機関の所見を記載する必要があります。

そして、8割の雇用確保要件を満たさない理由が、経営状況の悪化である場合又は当該認定経営革新等支援機関が正当なものと認められないと判断した場合には、当該認定経営革新等支援機関から指導及び助言を受けて、当該書類にその内容を記載しなければならないこととされました。

(4)後継者が売却・廃業を行った際、その時点での株価を基準に納税額を計算し、減免が可能に

現行制度(一般措置)においては、後継者が自主廃業や売却を行った後、経営環境の変化などにより株価が下落した場合であっても、納税猶予が打ち切られた際には、事業承継時の株価を基準に贈与税や相続税が課されることとされていたため、過大な税負担となっていました。

これについては、特例措置では、自主廃業の時の評価額や売却額を基準に納税額を再計算し、承継時の株価を基準に計算された納税額との差額が免除されることとなりました。

これにより、事業承継後に経営環境が悪化した場合に過大な贈与税や相続税が課されるというリスクを回避することができるようになりました。

(5)相続時精算課税制度の適用範囲の拡大

現行制度(一般措置)においては、60歳以上の父母又は祖父母から、18歳以上(※)の子又は孫への贈与が相続時精算課税制度の対象とされています。

これが特例措置では、現行制度に加えて、事業承継税制の適用を受ける場合には、60歳以上の贈与者から、18歳以上(※)の後継者への贈与も相続時精算課税制度の対象とされることとなります。

すなわち、18歳以上(※)の後継者の父母又は祖父母ではない者からの贈与であったとしても、相続時精算課税制度の対象となり、適用範囲が拡大されました。

相続時精算課税制度の適用範囲の拡大

※贈与が令和4年3月31日以前の場合は20歳以上

3.平成30年度税制改正によりM&Aを通じた事業承継への支援策を新設

事業によっては、後継者不足により、事業承継できない場合もあります。その場合、いわゆるM&Aにより経営資源や事業の再編・統合を図ることにより、事業の継続や技術の伝承を図ることが考えられます。そこで、中小企業等経営強化法を改正し、M&Aによる事業承継を支援対象に追加することで、第三者への事業承継を後押しすることとされました。

具体的には、認定を受けた経営力向上計画に基づいて再編・統合を行った際の登録免許税・不動産取得税を軽減することにより、次世代への経営引き継ぎを加速させる措置を創設しました。

4.最後に

以上のように、平成30年度税制改正は、事業承継の必要がある事業者にとって大きなメリットのある内容ですが、あくまで10年間の特例措置であることに注意をしてください。

この特例措置は、中小企業・小規模事業者の経営者の高齢化を踏まえ、期間を限定して実施されるものです。

現在60代、70代の現役の事業主の方でも、「まだまだ元気だ。まだまだ自分がやっていける!」と考えている方も多くいらっしゃると思いますが、事業の後継者をどうするかということは、1年や2年で簡単に決められることではありません。

また、税制は、そのときの社会情勢に応じて変遷していくものですので、現在の時点で、自社にとってメリットがあるかどうかを検討し、好条件で利用できるタイミングを逃さないようにしましょう。

※本記事は記事投稿時点(2017年4月1日)の法令・情報に基づき作成されたものです。
現在の状況とは異なる可能性があることを予めご了承ください。

※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。

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