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時間貸立体駐車場は小規模宅地等の特例を受けることができるのか?
遊休地を有効活用するために、駐車場を経営するケースはよくあります。駐車場は都心に限らず住宅地や郊外でも多くみられ、いわゆる青空駐車場から立体駐車場まで形態もさまざまです。
ここでは、時間貸立体駐車場の敷地を相続した場合について考えます。時間貸立体駐車場の敷地について、小規模宅地等の評価減の特例を受けることはできるのでしょうか。
1.時間貸立体駐車場の敷地は特例が受けられる
時間貸立体駐車場の敷地は、「貸付事業用宅地等」として小規模宅地等の特例を受けることができます。貸付事業用宅地等の特例では、敷地のうち200㎡までの部分について、評価額を50%減額することができます。
(1) 敷地の保有だけでも特例が受けられる
駐車場経営では、必ずしも敷地の保有者が自ら駐車場設備を設置・保有するとは限りません。駐車場を運営する会社が敷地の保有者から敷地を借り受け、駐車場設備を設置・保有するケースもあります。敷地の保有者は運営会社に敷地を貸し出すだけで、設備投資をする必要がないという点がメリットです。
このように被相続人が敷地を保有しているだけで駐車場設備を保有していない場合でも、貸付事業用宅地等の特例を受けることができます。
(2) 特定事業用宅地等には該当しない
小規模宅地等の特例を受けられる土地は「貸付事業用宅地等」のほか、「特定居住用宅地等」や「特定事業用宅地等」などがあります。特定事業用宅地等の特例では、敷地のうち400㎡までの部分について、評価額を80%減額することができ、貸付事業用宅地等に比べて優遇されます。
ここで疑問として浮かび上がるのが、「時間貸立体駐車場は事業として営んでいるのだから、『特定事業用宅地等』の特例を受けられないのか?」という点です。
税制上、特定事業用宅地等の「事業」には貸付事業は含まれません。貸付事業とは、不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業などをさします。したがって、時間貸立体駐車場の敷地は「特定事業用宅地等」ではなく「貸付事業用宅地等」として扱われます。
2.青空駐車場は特例が受けられない
時間貸立体駐車場の敷地は小規模宅地等の特例が受けられることはこれまで述べたとおりですが、駐車場であれば、すべて小規模宅地等の特例を受けられるわけではありません。
小規模宅地等の特例を受ける前提として、土地の上に建物や構築物があることが必要です。したがって、更地に車を止めるいわゆる青空駐車場では特例を受けることができません。砂利を敷くかアスファルト舗装をすることで、構築物があると認められ、特例が受けられるようになります。ただし、砂利敷きの場合は判断が難しく、砂利が少量で地面に埋没している場合は青空駐車場とみなされる可能性もあります。
また、駐車場経営が事業として認められない場合も特例を受けることはできません。事業とは相当の対価を得て継続的に行うものが対象となっています。駐車場を無償で貸している場合は事業とは認められず、特例を受けることはできません。
3.特例を受けるための要件
小規模宅地等の特例を受けるためには、相続税の申告期限まで(通常は被相続人が亡くなった日の翌日から10か月以内)に、被相続人が行っていた駐車場経営を引き継いで、かつ申告期限まで継続していなければなりません。さらに、相続した敷地を申告期限まで保有していることも必要です。
被相続人と同一生計だった親族が駐車場経営を行っていた場合も、小規模宅地等の特例を受けることができます。その場合は、その親族が相続の前から申告期限まで引き続き駐車場経営を行っているほか、相続人が申告期限まで敷地を保有していることが要件となります。
いずれの場合も、申告期限までに敷地を売却したり、駐車場経営をやめたりした場合は、特例が受けられなくなるので十分注意しましょう。
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