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相続した借地上の駐車場・店舗・学校は借地権の及ぶ範囲になるのか?
「ここは借りている土地だからよくわからないけど、借地権ありそう」と自己判断すると実は借地権が発生していない土地だったとき、相続税や権利関係の手続きなど大変な思いをします。
借地権の定義
法で定められた定義から借地権とは、「建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権」を言います。
これはつまり借地権は建物の所有を目的とするものに限られているということです。
例えば、駐車場やゴルフ練習場等のように、建物が無く単に土地を使用しているだけの場合には借地権は発生しません。
建物がない土地を借りている場合は借地権がないというのはカンタンな話です。
しかし現実にある事例として建物がある敷地に建物がない部分がある場合は、果たしてその建物がない部分にまで借地権が及ぶのかが問題になります。
以下、事例を挙げて、借地権の及ぶ範囲について解説します。
1)建物の敷地と駐車場用地を一体として利用している場合の借地権
広い土地を借り、そこに店舗の建物と、専用駐車場があるケースです。
借地権は建物の所有を目的とするものに限られるため、駐車場部分の敷地には借地権は発生しないのでしょうか。
結論から言うと、おおよその場合は店舗建物のある土地と専用駐車場に借地権が及びます。
借地権の及ぶ範囲は建物の敷地部分に限られるわけではなく、建物の敷地及びその効用を果たすために必要な土地、となるためです。
ただし、このような店舗の専用駐車場として建物敷地と駐車場が一体として利用されているのであれば、その利用状況を鑑みて借地権の及ぶ範囲を判定する必要があります。
具体的に判定する方法としては、借地契約の内容や土地に対する法令上の制限(建ぺい率、容積率等)に基づき、総合的に判断することになります。
なお、公衆用道路により、建物敷地と駐車場が物理的に分離されている場合には、それぞれの土地は別個に判定することになります。
2)自動車教習所、又は学校の敷地として利用している場合の借地権
広大な土地に、自動車教習所の建物と教習所コースがある場合、または、学校の校舎と校庭があるようなケースです。
教習所や学校を運営するうえでは、建物の保有に加え、広大な土地の保有が必要不可欠と考えられます。そのため、このような場合、土地の利用状況を勘案し、建物敷地と教習所コース又は校庭が一体として利用されていると判断されるときには、その土地全体に対して借地権が及ぶと考えられます。
次回は、借地権の評価の要となる、「相当の地代、通常の地代」について解説します。
借地権と相続税
- 貸している土地の上に他人の家が建っている
- 建てている家の土地は人から借りている
借地権がある土地を相続した場合は、評価が複雑で土地の価額を求めるのが難しいです。
どのようにして借地権のある土地の価額を求めるのか、そして相続税はいくらになるのか。
土地の評価方法や評価明細書の書き方などの情報を公開しています。
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