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デジタル財産の種類と評価方法

2022/08/25

1.デジタル財産の種類

相続が発生した場合、相続人は、被相続人の一身に専属したものを除き、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継することとされています。デジタル財産も同様です。

なお、本記事における「デジタル財産」とは、「デジタルデータのうち、資産性のあるものすべて」と定義し、また、一身に専属するデジタル財産以外のデジタル財産を、その評価方法から「通貨型デジタル財産」、「逓減型デジタル財産」及び「その他デジタル財産」に分けることにします。

1-1.一身に専属するデジタル財産

一身専属的な権利(一身専属権)は相続の対象から除かれています。医師免許、各種免許などの国家資格などがこれに該当します。

デジタル財産となるFacebookやLINEなどのアカウントは、他者に引き継ぐことができない一身専属性のサービスとなります。被相続人がFacebookやLINEから収益を得ていたとしても、そのコンテンツに係るアカウントを相続により引き継ぐことができなければ、相続開始とともに価値が消滅します。よって、これらのコンテンツは相続財産にはならないと考えられます。

なお、アフィリエイトに係るサイト・ブログについても、その運営元の規約で、本人の死亡時に契約終了となっているものについては、上記同様、相続財産にならないと考えられます。

また、YouTubeのように他者に引き継ぐ(相続する)ことが可能なアカウントによるデジタルコンテンツは、一身専属的な権利には該当せず、これらのうち相続開始時点において財産的価値があると認められるものについては、下記1-3または1-4の相続財産になるものと考えられます。

1-2.通貨型デジタル財産

同じ価値を持つ現金などと代替可能なデジタル財産。

1‐2‐1.通貨型デジタル財産の概要

「通貨型デジタル財産」には、ネット銀行の預金、ネット証券の有価証券(FX取引を含む)、「プリペイド型」電子マネー、各種店舗・マイレージポイントなどが該当します。

なお、各種店舗のポイント、マイレージポイントなどは、被相続人から権利を承継し、行使できるものが相続財産になります。

暗号資産(仮想通貨)などFT(代替性トークン)を用いた財産も、通貨型デジタル財産に含まれます。

1‐2‐2.パスワードが不明なデジタル財産

被相続人からデジタル財産を相続等により取得したものの、そのパスワードが分からず、現金化できない場合、それが相続財産になるか否かが問題となります。

平成30年の参議院財政金融委員会において、パスワードがわからない暗号資産(仮想通貨)について、「相続人が被相続人のパスワードを知らない場合であっても相続人は被相続人の保有していた仮想通貨を承継することになりますので、その仮想通貨は相続税の対象となる」旨、国税庁より答弁されています。

平成30年の参議院財政金融委員会についてさらに詳しい内容は、下記の記事でお伝えしています。

仮想通貨を相続した時の課税関係が判明!|チェスターNEWS

このことから、パスワードが分からず現金化できないデジタル財産についても、相続財産に含まれるものと考えられます。

ただし、パスワードが分からず現金化できない財産に対し、国税当局が税務調査を通じて更正処分を行うことができるのかについては疑問が残ります。

1-3.逓減型デジタル財産

逓減型デジタル財産とは、上記1‐2以外のデジタル財産の中で、その価値が逓減すると認められるデジタル財産です。

「逓減型デジタル財産」には、デジタルコンテンツ、アフィリエイトサイト・ブログなどのうち、相続開始時には資産価値があり、かつ、著作権のように、年数を経過するとともに収益性が逓減していくと見込まれるものが挙げられます。

なお、YouTubeアカウント、アフィリエイトサイト・ブログなどの各コンテンツの規定上、販売が禁止されていても、相続により引き継ぐことが可能なものについては、このカテゴリーに含まれます。

1-4.その他デジタル財産

その他のデジタル財産とは、NFTアート、NFTトレーディングカード、メタバースファッションなどのデジタルコンテンツ、メタバースでの所有土地など(以下「NFT・メタ財産」という)、相続開始時に価値の逓減が見込まれない(価値の変動が見込まれる)デジタル財産が考えられます。

これらのNFT・メタ財産は最近幅広く普及し、販売、収集されるようになってきており、今後、その市場は更なる拡大が想定されるとともに、これらのコンテンツの種類、価格変動の予想ができない状況です。

なお、アドレスのドメインなど、他に販売できる財産的価値を有しているデジタル財産もこのカテゴリーに含まれます。

2.デジタル財産評価のポイント

デジタル財産を相続した場合、相続税の課税対象になるか否か、および、その評価方法については、暗号資産を除いて特に国税庁から示されていません。

よって、財産評価通達、暗号資産に係る取扱いなどから、合理的と認められる評価方法を用いる必要があります。

2-1.通貨型デジタル財産

2-1-1.ネット銀行の預金、ネット証券の有価証券、「プリペイド型」電子マネー

相続開始時現在の残高が相続財産の評価額になると考えられます。

2-1-2.各種店舗のポイントやマイレージポイント

承継した権利の価額が相続財産の評価額となります。

なお、この権利の価額は、その権利行使により受け取ることができる①商品等の割引相当額、又は、②交換可能な物品の価額相当額と考えられます。

2-1-3.暗号資産

活発な取引が行われているなど、客観的交換価値が明らかな暗号資産は、外国通貨に準じて、被相続人や相続人が取引を行っている暗号資産交換業者(CMOコイン、DMMBitcoin、Coincheckなど)が公表する課税時期における次の取引価格によって評価します。

  • 暗号資産交換業者が、購入価額と売却価額をそれぞれ公表している場合には、納税者がその取引業者に売却する価格
  • 納税者からの求めに応じ、暗号資産交換業者が発行する相続開始日現在の残高が記載された「残高証明書」に記載された取引価額
  • 納税者が複数の暗号資産交換業者で取引を行っていた場合は、相続人が選択した暗号資産交換業者が公表する取引価格

活発な市場が存在しない暗号資産の場合には、売買実例価格、精通者意見価格等を参酌して評価することになります(令和3年12月22日付国税庁課税総括課他「暗号資産に関する税務上の取扱いについて」(情報))。

2-2.逓減型デジタル財産

デジタルコンテンツ、アフィリエイトのうち資産価値があるものの中で、年数を経過するとともに収益性が逓減していくものについては、著作権と同様の性質を有していると考えられることから、著作権の評価に準じて評価することが合理的と考えられます。

なお、著作権の価額は、下記の算式により計算することから、逓減型デジタル財産においても、次の算式に準じて評価額を算出することが合理的と考えられます。

(算式)

著作権の価額=年平均印税収入の額×0.5×評価倍率※

※著作物に関し精通している者の意見等を基として推算したその印税収入期間に応ずる基準年利率による複利年金現価率

2-3.その他のデジタル財産

NFT・メタ財産などは、一般動産又は書画骨董品の評価と同じく、売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価することが合理的と考えられます。この場合、動産の評価のように、一定の償却費や減価の額はないと考えられます。

3.まとめ

デジタル財産は、インターネットの普及、IT技術の発展により、さまざまな形により爆発的な勢いで増加しています。また、NFT市場も急速に拡大しています。相続税の分野にもデジタル財産は登場しており、今後、その種類、額、相続財産全体に対する割合が増加していくことが見込まれます。

しかし、その評価方法は明らかではなく、また、デジタル財産の把握が困難な場面も想定されます。

今後、デジタル資産に係る税制面での法令、解釈、取扱いの整備が待たれるところです。

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