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名義株に関する巨額の相続税更正処分の取り消し

2018/08/02

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1.はじめに

平成30年4月6日に、東京国税不服審判所において、大企業グループの名義株を巡る巨額の相続税に関する更正処分が取り消されました。

まず、名義株とは、どういった株式を指すのでしょうか。

そもそも、株主等とは、原則として、株主名簿又は社員名簿に記載されている者を言います。
そして、名義株とは、株主名簿又は社員名簿に記載されている者が単なる名義人で、当該名義人以外の者が実際の権利者である場合の株式のことを指し、当該名義株は、その実際の権利者に帰属すると判断します(参照;租税特別措置法通達35の2-6)。

2.名義株に関する巨額の相続税更正処分の取消裁決

(1)事案

本件で相続税が問題となっている大企業グループの株式は、もともと有限会社の持分でした。ただ、当該有限会社は単なる名義人で、この株式の実際の権利者は、被相続人Xでした(名義株)。よって、当初、本件株式は、被相続人Xに帰属していました。その後、Xが所有する持分の全部をA(被相続人の妻)に譲渡する旨の契約を平成7年に締結し、さらに、平成8年にはAからB(被相続人の子)へ、その持分の一部を譲渡する契約が締結されました。

その後、平成25年に被相続人Xが死亡し、その妻Aらが相続税の申告(相続税総額約55億円)をしたところ、税務当局は、その有限会社の持分は被相続人Xに帰属する相続財産であるとし、相続税の更正処分(相続税総額が約98億円に増額された)をしました。そこで、Aらは本件持分が被相続人Xに帰属する相続財産ではないとして、本件更正処分の取り消しを求め、提訴しました。

(2)争点

本件の株式の持分が被相続人Xの相続財産であるか否かをめぐり、平成7年、平成8年の譲渡契約の成否が争点となりました。

(3)各々の主張

ⅰ)原処分庁(=本件相続税の更正処分をした税務当局のこと)の主張

本件に関する申述からすれば、本件平成7年及び8年の譲渡契約について、決定したのは本件被相続人Xと推認できる。

本件平成7年及び8年の譲渡契約については、本件被相続人Xの一存で決定された形式的なものにすぎないと推認され、各当事者間に売買についての意思の合致はなく、いずれも成立していないため、本件被相続人Xに帰属する財産である。

ⅱ)請求人Aらの主張

契約書のように法律行為がそれによって行われたことを示す文書が、偽造・変造によらず、当事者の意思に基づき作成されていると認められている場合は、その記載内容を覆すような特段の事情が主張立証されない限り、その記載内容どおりの法律行為が存在したものと認定されなければならない。

本件平成7年及び8年の各譲渡契約書は、当事者の意思に基づき作成されたものと認められ、その成立を覆す特段の事情もないため、本件被相続人Xに帰属する財産ではない。

(4)審判所の判断(東京国税不服審判所平成30年4月6日)

ⅰ)本件平成7年譲渡契約の成否について

本件被相続人Xから譲渡するという内容の契約であり、同契約書には、本件被相続人X等の各本人による署名押印がある。購入代金の支払いなど同契約に関する申述の信用性は高いものと認められ、同契約が成立していないということはできず、同契約に基づき移転したものと認められる。

ⅱ)本件平成8年譲渡契約の成否について

同契約書には、各本人による署名押印がある。その契約に沿った資金の移動が認められるが、申述や、これに符合する事実があることからすれば、代金を支払う旨の意思の合致があったとは認められず、平成8年譲渡契約が成立したものと評価することはできない。

ⅲ)結論

以上のように、東京国税不服審判所は、本件平成7年譲渡契約(被相続人Xから妻Aへの持分全部譲渡)については成立しているが、平成8年譲渡契約(妻Aから子Bへの持分一部譲渡)については成立していないと評価した上で、被相続人Xに帰属する相続財産ではないと判断し、本件更正処分を取り消しました。

ⅳ)評価

審判所は、請求人Aらが主張した平成7年譲渡契約と平成8年譲渡契約のうち、平成7年譲渡契約の成立のみを認めて、本件株式の持分については、その全部について、被相続人Xの妻Aが所有すると評価した。その上で、本件株式の持分は、被相続人Xに帰属する相続財産ではないという結論を下し、これによって本件更正処分は取り消されました。

この点、請求人Aらとしては、平成7年の譲渡契約だけでなく、平成8年の譲渡契約の成立も認めてほしいところだと思われます。しかし、平成8年の譲渡契約の成立が認められなくても、請求人Aらの請求内容であるところの「本件株式持分は、被相続人Xに帰属する相続財産ではない」という結論がすでに認められていることから、これ以上平成8年の譲渡契約の成立を主張しようとしても、訴えの利益なしとされ、その請求を訴訟に乗せるのは難しいと思われます。

とすれば、今後、本件株式について、AからBへの相続が生じた場合において、平成8年の契約でAからBに譲渡した株式の持分の一部について、本件と同様に、当該持分が被相続人Aに帰属する相続財産であるのかという点について争いが生じるおそれがあります。

※本記事は記事投稿時点(2018年8月2日)の法令・情報に基づき作成されたものです。
現在の状況とは異なる可能性があることを予めご了承ください。

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