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小規模宅地特例の貸付事業用宅地等~3年以内の相次相続は3年縛りの規制の対象外

2019/07/05

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1 はじめに

小規模宅地等の特例の適用にあたり、平成30年度税制改正において貸付事業用宅地等に3年縛りの規制が設けられましたが、平成31年度税制改正においては特定事業用宅地等についても3年縛りの規制が設けられました。
ただし、平成31年度の税制改正において、小規模宅地特例の適用対象となる宅地が相続された後3年以内に再度相続された場合には、3年縛りの規制の対象外となり小規模宅地特例が適用されることになりました。
これについて、以下で説明いたします。

2 3年以内の相次相続(※)は3年縛りの規制が対象外となります

1)3年縛りの規制とは

小規模宅地等の特例の貸付事業用宅地等や特定事業用宅地等における3年縛りの規制とは、原則として「相続開始前3年以内に新たに貸付の用や事業の用に供された宅地等」は貸付事業用宅地等や特定事業用宅地等には該当せず、当該特例を適用できないというものです。

このように、小規模宅地特例に3年縛りの規制を設けることによって、特例適用の条件が厳しくなりましたが、趣旨として、小規模宅地特例の適用を受けて相続税を減らすという目的だけのために賃貸物件を購入することで相続税を圧縮しようとする行為に対して、特例の適用を認めないようにする点にあります。

2)3年以内の相次相続は3年縛りの規制が対象外

平成31年度の税制改正により、3年以内の相次相続の場合には3年縛りの規制の対象外となり、小規模宅地特例が適用されることとなりました。

まず、特定事業用宅地等については、「被相続人が相続開始前3年以内に開始した相続又は遺贈で取得した宅地等を引き続き事業供用していた場合は、新たに事業の用に供された宅地等に該当しないものとする」とされました(租税特別措置法施行令40の2⑨)。

また、上記の特定事業用宅地等の規定(租税特別措置法施行令40の2⑨)は、「貸付事業の用に供されていた宅地等にも準用する」とされています(租税特別措置法施行令40の2⑳)。
つまり、貸付事業用宅地等についても、被相続人が相続開始前3年以内に相続又は遺贈で取得した宅地等を引き続き貸付事業の用に供していれば、新たに貸付の用に供された宅地等に該当しないことになり、小規模宅地等の特例が適用されます。

例えば、父が死亡し、父所有の土地Aを母が相続したとします(一次相続)。この場合、被相続人である父が、相続開始前3年を超えて(父が死亡するまで3年を超えて)当該土地Aについて貸付の事業を行っていた場合、いわゆる3年縛りは適用されず、小規模宅地特例が適用されます。
その後、父の死亡後3年以内に(一次相続後3年以内に)母が死亡して子が土地Aを相続し(二次相続)、父が相続開始前に3年を超えて貸付事業の用に供していた土地Aを一次相続で取得した母が引き続き貸付の事業を行っていたとします。この場合、子による二次相続から見れば、相続開始前3年以内(母の死亡するまで3年以内の間)に、母は土地Aの貸付事業を開始したといえますが、この貸付事業は、父から引き継いで行われていたものであることから「新たに貸付の用に供された宅地等」には該当しません。よって、母から子への二次相続においても、土地Aに対して小規模宅地特例が適用されることになります。
この場合、小規模宅地特例の適用を受けて相続税を減らす目的のためだけに貸付事業を開始した場合とは状況が異なることから、3年縛りの規制の対象外とされています。

上記の改正は、平成31年4月1日から適用され、同日前に生じた相続についても同様の取扱いとなるようです。

(※)相次相続の場合、「相次相続控除」が受けられます。適用要件として、①被相続人の相続人であること、②その相続の開始前10年以内に開始した相続により被相続人が財産を取得していること、③その相続の開始前10年以内に開始した相続により取得した財産について、被相続人に対し相続税が課税されたこと、これら3つの条件すべてに当てはまる場合です(国税庁HP:№4168「相次相続控除」

※本記事は記事投稿時点(2019年7月5日)の法令・情報に基づき作成されたものです。
現在の状況とは異なる可能性があることを予めご了承ください。

※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。

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