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小規模宅地特例~相続が相次いだ場合の特定貸付事業の期間の通算方法

1 はじめに

貸付事業用宅地等による小規模宅地特例の軽減措置については、これを利用した節税策が問題となり、まず、平成30年度税制改正において、貸付事業用宅地等の要件の見直しが行われました。そして、その後、令和元年度税制改正において、「新たに貸付事業の用に供された宅地等の範囲」が見直されました。

以下では、これらの改正点について簡単に説明した上で、具体的な事例を用いて説明します。

2 小規模宅地特例~貸付事業用宅地等の要件等の見直し

(平成30年度税制改正及び令和元年度税制改正)

ⅰ)小規模宅地等の特例の対象となる「貸付事業用宅地等」とは、被相続人等の事業(※1)の用に供されていた宅地等で、一定の要件を満たす被相続人の親族が相続又は遺贈により取得したものを言います(措法69の4➂四)。

※1:この事業は、不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業及び準事業に限ります。以下、これを「貸付事業」とします。

このように小規模宅地特例の適用対象となれば大幅に相続税が減税されることになります。そこで、相続開始前に駆け込み的に貸付用不動産を購入することで金融資産を不動産にする事例が増加していました。金融資産で保有している場合に比べると、相続税評価額が圧縮され、小規模宅地等の特例も適用できるというメリットがあります。また、低金利という当時の状況も相まって、賃貸マンションが増加するようになりました。ただ、相続税の申告期限経過後、あまり期間を置かずに小規模宅地等特例の適用を受けた宅地等(特に貸付用不動産)を譲渡している事例が散見されることから、納税の抜け道として利用されているという問題点が指摘されており、要件の見直しが検討されることとなりました。

ⅱ)そこで、このような節税策の一部を封じるために、平成30年度税制改正において、貸付事業用宅地等の要件が見直されました。具体的には、平成30年4月1日以後に相続等が開始する案件については、小規模宅地特例の貸付事業用宅地等の範囲から、「相続開始前3年以内」に「新たに貸付事業の用に供された宅地等」は対象外とされることになりました。

ⅲ)ただ、相続開始の日まで3年を超えて引き続き準事業以外の貸付事業(※2)を行っていた被相続人等の貸付事業の用に供された宅地等は、この除外規定の対象外とされ、同特例を適用することができるとされました。

※2:これは事業的規模での貸付事業を言います。以下「特定貸付事業」とします。

事業的規模で不動産の貸付業を営んでいる場合は、節税対策を講じるためだけに金融資産を不動産に転じているとは言えないと考えられるため、このような除外規定の対象外とする規定が設けられました。

ⅳ)「相続開始前3年以内」の適用については、特定貸付事業を行っていた被相続人が、その特定貸付事業の用に供する宅地等を前の相続により取得してから3年以内に死亡したときは、先代がその相続開始の日まで引き続き特定貸付事業を行ってきた期間は、被相続人が特定貸付事業の用に供していた期間とみなされます(措令40の2⑳「特定貸付事業期間の通算」)

ⅴ)被相続人が相続開始前3年以内に開始した相続又は遺贈により貸付事業の用に供されていた宅地等を取得し、かつ、その取得の日以後当該宅地等を引き続き貸付事業の用に供した場合における当該宅地等は、新たに貸付事業の用に供された宅地等には該当しないこととされました(措令40の2⑳、令和元年度税制改正)

3 具体的事例

《具体例》

次の事例で、各相続において、貸付事業用宅地等として小規模宅地等の特例の適用があるか。また、事業的規模で貸付事業を行っている期間をどのように判定するのか。

①甲がA地を10年間事業的規模で貸付事業の用に供していました。
②その後、甲は死亡。甲の子である乙がA地を相続。乙が事業的規模での貸付事業を引き継ぐこととなりました。
③乙は、新たにB地を取得。相続したA地の他、B地も貸付事業の用に供しました。
④甲死亡の1年後に乙が死亡。乙の妻丙がA地及びB地を相続。丙が事業的規模での貸付事業を引き継ぎました。
⑤丙は、新たにC地を取得。相続したA地、B地の他、C地も貸付事業の用に供しました。
⑥乙死亡の1年後に丙が死亡。乙と丙の子である丁がA地、B地、C地を相続し、事業的規模での貸付事業も引き継ぎました。

《結論》

いずれの相続においても、A地とB地は貸付事業用宅地等に該当することから小規模宅地等の特例の適用対象となります。一方、丙の相続におけるC地は貸付事業用宅地等には該当しないことから小規模宅地等の特例の適用対象とはなりません。

《各相続における具体的検討》

Ⅰ)甲から乙への相続

甲は、A地を10年間特定貸付事業の用に供してきました。よって、A地は、当然に貸付事業用宅地等に該当し、小規模宅地等の特例の適用対象となります。

Ⅱ)乙から丙への相続

ⅰ)A地について

乙は死亡する1年前に甲からA地を相続しています。とすれば、A地は、被相続人である乙がその相続開始前3年以内に開始した相続により取得した宅地等に該当することから(令和元年度税制改正)、新たに貸付事業の用に供された宅地等には該当しません。よって、A地は、貸付事業用宅地等に該当し、小規模宅地等の特例の適用対象となります。

ⅱ)B地について

B地は、被相続人乙が相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供していることから貸付事業用宅地等に該当しないかにも思われます。しかし、上記2ⅳ)の特定貸付事業期間の通算により、甲と乙の特定貸付事業を行っていた期間を通算できることから、乙は3年を超えて特定貸付事業を行っていたことになります。よって、B地は、貸付事業用宅地等の除外規定の対象外となり、貸付事業用宅地等に該当し、小規模宅地等の特例の適用対象となります。

Ⅲ)丙から丁への相続

ⅰ)A地・B地について

A地及びB地は、被相続人丙が相続開始前3年以内に開始した相続により取得した宅地等に該当することから、いずれも新たに貸付事業の用に供された宅地等には該当せず、貸付事業用宅地等に該当し、小規模宅地等の特例の適用対象となります。

ⅱ)C地について

C地は、被相続人丙が相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供しています。これについては、特定貸付事業期間の通算により乙と丙の特定貸付事業を行っていた期間を通算して判定することができますが、乙と丙の期間を通算しても2年しかないため、貸付事業用宅地等の除外規定に該当し、貸付事業用宅地等には該当せず、小規模宅地等の特例の適用対象とはなりません。

※本記事は記事投稿時点(2020年2月5日)の法令・情報に基づき作成されたものです。
現在の状況とは異なる可能性があることを予めご了承ください。

※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。

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