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令和2年度税制改正~配偶者居住権等が消滅した場合の譲渡所得の計算

2020/04/26

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1 はじめに

配偶者居住権等の消滅によって対価を受ける場合、譲渡所得の取得費をいかに計算するか、その計算方法が令和2年度税制改正によって明確化されます。
具体的には、配偶者居住権の設定から消滅等までの期間に係る「減価の額」を控除することになります。ここで、「減価」とは、配偶者居住権の存続期間にわたる定額での減価となる見込みです。
なお、令和2年4月1日以後の譲渡又は権利の消滅から適用となります(令和2年改正法(案)附則4)。

2 配偶者居住権等の消滅により対価を受ける場合の取得費の計算方法

配偶者居住権及び配偶者敷地利用権(配偶者居住権等)の消滅により対価を受ける場合の取得費の計算式は、下記のようになります。

※1:建物の取得費については、その「取得の日」から配偶者居住権の「設定の日」までの期間に係る減価の額を控除します。

※2:A/B
    A:配偶者居住権の設定時における配偶者居住権又は配偶者敷地利用権の価額に相当する金額
    B:配偶者居住権の設定時における居住建物等の価額に相当する金額

3 配偶者居住権の設定から消滅等までの期間に係る「減価の額」の取扱い

令和2年度税制改正法案においては、税制改正大綱における「減価の額」について、
「配偶者居住権の存続する期間を基礎として政令で定めるところにより計算をした金額」としており、具体的な計算は政令に委任することとしています(所法(案)60③)。

ここで、「配偶者居住権の存続する期間」は、相続税法の取扱いと平仄を合わせ、
下記のような取扱いになる見込みです。

① 配偶者居住権の存続期間が配偶者の終身の間である場合
→配偶者居住権の設定時の平均余命

② 終身以外の場合
→遺産分割協議、遺言等により定められた配偶者居住権の存続期間

なお、この「減価」とは、設定時の配偶者居住権の取得費を存続期間にわたって
定額で減価することになる見込みです。

《具体例》
設定時の配偶者居住権の取得費(※1)が3,000万円
配偶者居住権の存続期間(平均余命)が15年
設定から消滅までの期間が5年
※1:被相続人に係る居住建物の取得費×配偶者居住権等割合で計算

→この場合、配偶者居住権は年間200万円(3,000万円÷15年)ずつ減価していく。
よって、控除すべき「減価の額」は1,000万円(200万円×5年)となる。
したがって、配偶者居住権の消滅により対価を受ける場合の譲渡所得の金額の計算における
取得費の金額は2,000万円(3,000万円―1,000万円)となります。

4 敷地利用権の取得費の取扱い

配偶者敷地利用権についても、「減価の額」を控除することとされます(所法(案)60③)。

土地は減価しないことから、「配偶者敷地利用権」の取得費については「減価の額」を控除
しないという見解もありますが、配偶者敷地利用権は土地ではなく権利であり、いずれ消滅
するものであることから、配偶者居住権と同様に取り扱うこととされました。

5 収用、換地等の特例の見直し

(1)収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例

居住建物等が収用された場合において、配偶者居住権又は配偶者敷地利用権が消滅等をし、一定の補償金を取得するときには、収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例が適用されることになりました。

(2) 換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例

換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例の適用対象に、第一種市街地再開発事業等が施行された場合において、居住建物等に係る権利変換により施設建築物の一部等に配偶者居住権が与えられたときを加えることとされました。

(3) 居住用財産の3,000万円控除等の適用なし

上記のように、収用、換地等の課税の特例については、配偶者居住権の創設を踏まえて一定の手当てがされました。
他方、それ以外の居住用財産の譲渡の特例については特に手当てが行われていません。
よって、配偶者に譲渡所得が課税される場合でも、3,000万円控除の特例、軽減税率の特例、
特定の買換え特例の適用はありません。

※本記事は記事投稿時点(2020年4月26日)の法令・情報に基づき作成されたものです。
現在の状況とは異なる可能性があることを予めご了承ください。

※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。

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