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会計検査院が取引相場のない株式の評価方法について検討を求める所見を公表

2024/11/07

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会計検査院が取引相場のない株式の評価方法について検討を求める所見を公表

会計検査院が、令和6年11月6日、「令和5年度決算検査報告」を内閣に送付した旨を会計検査院HPにて公表しました。

会計検査院は、「令和5年度決算検査報告」の中で、取引相場のない株式の評価における「原則的評価方式」は、これまで、類似業種比準価額が下がる方向で評価通達が改正されてきたことや評価通達の計算式が評価会社の業績等の実態を踏まえて株式を評価する方法として適切に機能していないおそれがある旨を指摘しました。

また、取引相場のない株式の評価における「特例的評価方式」については、配当還元方式の還元率(10%)は、昭和39年の評価通達制定当時の金利等を参考にするなどして設定されており、その後、我が国の金利水準が長期的に低下してきている中、見直されていない旨を指摘しました。

会計検査院は、それらの指摘を行った上で、「異なる規模区分の評価会社が発行した取引相場のない株式を取得した者間での株式の評価の公平性や社会経済の変化を考慮するなどして、評価制度の在り方について様々な視点からより適切なものとなるよう検討を行っていくことが肝要」との所見を述べました。

公表資料中の「令和5年度決算検査報告の特徴的な案件」の「13.相続等により取得した財産のうち取引相場のない株式の評価(特定)」で示された内容は次のとおりです。

※ 「令和5年度決算検査報告の特徴的な案件」(抜粋)

「令和5年度決算検査報告の特徴的な案件」(抜粋)

出典:会計検査院HP「13.相続等により取得した財産のうち取引相場のない株式の評価(特定)

原則的評価方式による評価の状況①

会計検査院は、取引相場のない株式の評価の「原則的評価方式による評価」の状況について、次の分析を行いました。

※ 「原則的評価方式による評価の状況」(抜粋)

原則的評価方式による評価の状況

出典:会計検査院HP「13.相続等により取得した財産のうち取引相場のない株式の評価(特定)

原則的評価方式による評価の状況②

会計検査院は、取引相場のない株式の評価の「原則的評価方式による評価」の状況について、異なる規模区分の評価会社が発行した取引相場のない株式を取得した者間で株式の評価の公平性が必ずしも確保されているとはいえないと評価しました。

※ 「原則的評価方式による評価の状況」(抜粋)

「原則的評価方式による評価の状況」(抜粋)

出典:会計検査院HP「13.相続等により取得した財産のうち取引相場のない株式の評価(特定)

特例的評価方式による評価の状況①

会計検査院は、取引相場のない株式の評価の「特例的評価方式による評価」の状況について、次の分析を行いました。

※ 「特例的評価方式による評価の状況」(抜粋)

「特例的評価方式による評価の状況」(抜粋)

出典:会計検査院HP「13.相続等により取得した財産のうち取引相場のない株式の評価(特定)

特例的評価方式による評価の状況②

会計検査院は、取引相場のない株式の評価の「特例的評価方式による評価」の状況について、配当還元方式の還元率(10%)は、社会経済の変化に応じたものとはなっておらず、近年の金利の水準と比べて相対的に高い率となっているおそれがあると評価しました。

会計検査院の所見

以上を踏まえ、会計検査院は、取引相場のない株式の評価について、「国税庁において、相続等により取得した財産のうち取引相場のない株式の評価について、異なる規模区分の評価会社が発行した取引相場のない株式を取得した者間での株式の評価の公平性や社会経済の変化を考慮するなどして、評価制度の在り方について様々な視点からより適切なものとなるよう検討を行っていくことが肝要」との所見を述べられました。

◎ チェスターの視点

会計検査院が示された取引相場のない株式の評価における原則的評価方式及び特例的評価方式についての所見は、いずれも、相続税及び贈与税の課税上用いる取引相場のない株式の評価額を「上げる」べきと示唆するものです。

相続税及び贈与税で用いられる路線価は、地価公示価格の80%水準となっており、毎年の地価水準を反映したものといえますが、取引相場のない株式の評価方法の見直しは、財産評価基本通達の改正によるものです。

財産評価基本通達の改正は、相続税法の改正なしに、相続税及び贈与税の増税と同様の効果を生じさせ得ることから、国税庁は、時間をかけて丁寧な検討を行うとともに、改正通達の施行に当たっては、十分な周知期間を確保するなどソフトランディングを目指していただきたいと考えます。

※本記事は記事投稿時点(2024年11月7日)の法令・情報に基づき作成されたものです。
現在の状況とは異なる可能性があることを予めご了承ください。

※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。

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