チェスターNEWS
外国の遺族年金が相続税の課税対象とされるのは何故?
新聞報道や専門誌によれば、被相続人の死亡により取得した外国の遺族年金が相続税の課税対象となるか否かが争われていた事案が、審査請求から訴訟に移行した模様です。
今回は、外国の遺族年金に相続税が課税され、我が国の遺族年金に相続税が課税されない理由について、過去の経緯等を確認しながら、ご説明したいと思います。
まず、我が国の遺族年金に対する課税について、国税庁HPのタックスアンサー(No.1605「遺族の方に支給される公的年金等」)では、次のとおり説明されています。
これによれば、各個別法に基づく遺族年金は、各個別法に基づき相続税が課税されないと整理されていることが分かります。
例えば、厚生年金保険法の取扱いがどうなっているのか確認してみましょう。
上記は、昭和24年に厚生省(当時)が出した通知です。
厚生省は、厚生年金保険法に基づく遺族年金は、相続税法第4条(当時)の規定により相続財産とみなされ、相続税の課税対象として取り扱われることになりますが、厚生年金法第29条(現行41条)の規定で公租公課を課さないこととしているので、相続税の課税対象となりませんとしています。
それでは、厚生年金保険法の条文を確認してみましょう。
このように、厚生年金保険法に基づく遺族年金は、相続税法上は相続税の課税対象となりますが(現行:相法3①六)、厚生年金保険法の規定に基づき、相続税が課税されないと整理されます。
なお、国会では、政府委員(大蔵省主税局税制第1課長)が、
と答弁されています。
したがって、他の法律の規定に基づき給付される遺族年金も、同様の趣旨で相続税が非課税とされたと推測されます。
このように、我が国の個別法の規定に基づき給付される遺族年金は、相続税法上は、相続税法3条1項6号に規定する「定期金に関する権利で契約に基づくもの以外のもの」に該当し、相続税の課税対象となりますが、各個別法に設けられた非課税規定に基づき相続税が非課税とされました。
◎ チェスターの視点
外国の遺族年金は、相続税法3条1項6号に規定する「定期金に関する権利で契約に基づくもの以外のもの」に該当し、個別法に設けられた非課税規定がないことから、相続税の課税対象になるとの国側の主張は、現行の法制度と解釈からすれば、やむを得ないと思われます。
これについて裁判所が、租税負担の公平や平等原則の観点にも考慮しつつどのような判断を下されるのか、チェスターは引き続き注視したいと思います。
※本記事は記事投稿時点(2024年11月1日)の法令・情報に基づき作成されたものです。
現在の状況とは異なる可能性があることを予めご了承ください。
※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。
「相続対策」も「相続税申告」もチェスターにおまかせ。
「相続税の納税額が大きくなりそう」・「将来相続することになる配偶者や子どもたちが困ることが出てきたらどうしよう」という不安な思いを抱えていませんか?
相続専門の税理士法人だからこそできる相続税の対策があります。
そしてすでに相続が起きてしまい、何から始めていいか分からない方もどうぞご安心ください。
様々な状況をご納得いく形で提案してきた相続のプロフェッショナル集団がお客様にとっての最善策をご提案致します。
DVDとガイドブックの無料資料請求はこちらへ
各種サービスをチェック!
\ご相談をされたい方はこちら!/
【次の記事】:会計検査院が取引相場のない株式の評価方法について検討を求める所見を公表
【前の記事】:政治資金に相続税が課税されないのは何故?