チェスターNEWS
相続税の滞納で私立幼稚園が閉園へ

報道によれば、千葉県の私立幼稚園が、相続税の滞納を理由に東京国税局に差し押さえられ公売にかけられていたことがわかりました。土地などは不動産会社に落札され、園は3月末で閉園するとのことです。
関係者によりますと、千葉県内にある私立幼稚園は、関係者が相続税を滞納し延滞税などが生じているとして、東京国税局に園の土地や建物を差し押さえられ、2月、公売にかけられた模様です。
(出典:2025年2月28日 日テレNEWS)
◎ チェスターの視点
この記事の記載内容からしますと、差し押さえられ、閉園することになった私立幼稚園は、個人で経営している個人立の幼稚園であった可能性が高いと思われます。
個人で経営している個人立の幼稚園で、幼稚園の事業に使われていた財産(園地や園舎等)のうち一定の要件を満たすもの(ただし、相続人のいずれかが引き続きその幼稚園を経営することが条件となります。)については、相続税は非課税とされております(以下の「参考」をご参照ください。)。
ただし、一定の要件を満たさない場合には、幼稚園の事業に使われていた園地や園舎といえども個人(被相続人)名義の財産ですので、相続税の課税対象となってしまいます。
このような記事を読みますと、早期に生前対策を行うことの大切さをひしひしと感じます。
【個人立幼稚園と学校法人経営の幼稚園の違い(イメージ)】

参考
国税庁HP「No.4108 相続税がかからない財産」
(相続税の非課税財産)
第十二条 次に掲げる財産の価額は、相続税の課税価格に算入しない。
一~二(省略)
三 宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う者で政令で定めるものが相続又は遺贈により取得した財産で当該公益を目的とする事業の用に供することが確実なもの
(以下省略)
4 当分の間、幼稚園を設置し、運営する事業その他の公益を目的とする事業で財務省令で定めるものを行う個人については、第二条の規定に該当する者のほか、当該個人のうち当該事業を引き続いて行うことが確実であると認められる者として財務省令で定める者に該当するものは、当該事業に係る資産のうち当該事業を行う者の家事のために充てられるものの金額が当該事業から受ける報酬の額として相当と認められる金額を超えていないことその他の事実が存することにより当該事業及びその経理が適正に行われていると認められる場合として財務省令で定める場合には、法第十二条第一項第三号に規定する公益を目的とする事業を行う者に該当するものとする。
(事業が適正に行われていると認められる場合)
7 施行令附則第四項に規定する財務省令で定める場合は、次の各号に掲げる要件の全てが満たされている場合とする。
二 前号に規定する五年前の年以後の各年において、事業経営者の親族その他事業経営者と法第六十四条第一項に規定する特別の関係(以下「特別関係」という。)がある者で当該事業に従事するものに対して支給する給与の金額は、その労務に従事した期間、労務の性質及びその提供の程度、当該事業に従事する他の使用人が支払を受ける給料の状況並びに当該事業に係る幼稚園等と同種の幼稚園等が支給する給与の状況等に照らし、その労務の対価として相当であると認められるものであること。
三 事業経営者は、第一号に規定する五年前の年以後の各年分の所得税又は当該五年前の年以後において相続若しくは遺贈若しくは贈与により取得した財産に係る相続税若しくは贈与税に係る国税通則法第六十六条第一項、第五項若しくは第六項(無申告加算税)の無申告加算税又は同法第六十八条第一項、第二項若しくは第四項(同条第一項又は第二項の重加算税に係る部分に限る。)(重加算税)の重加算税を課されたことがなく、かつ、当該各年において所得税法第四編第一章から第六章まで(源泉徴収)の規定により徴収して納付すべき所得税に係る国税通則法第六十七条第一項(不納付加算税)の不納付加算税又は同法第六十八条第三項若しくは第四項(同条第三項の重加算税に係る部分に限る。)の重加算税を徴収されたことがないこと。
四 事業経営者は、第一号に規定する五年前の年以後の各年分の所得税につき連続して所得税法第二条第一項第四十号に規定する青色申告書を提出していること。
五 事業経営者は、第一号に規定する五年前の年以後の各年分の事業所得の金額の計算上総収入金額に算入される金額及び必要経費に算入される金額のうち、当該事業に係る収入金額及び費用の額と他の収入金額及び費用の額とを明確に区分して経理しており、かつ、所得税法施行規則(昭和四十年大蔵省令第十一号)第五十六条から第六十四条まで(青色申告者の備え付けるべき帳簿書類等)の規定の例により、当該事業につき帳簿書類を備え付けて、これに当該事業に係る収入金額及び費用の額、資産、負債及び資本に係る一切の取引並びに第二号に規定する事項を記録し、保存していること。
六 事業経営者は、当該事業に属する資産については、第一号に規定する五年前の年以後の各年において、当該事業のための支出(同号の税務署長の認定を受けた金額の範囲内における当該事業に係る事業経営者の家事に充てるための支出を含む。)以外の支出をしていないこと。
七 事業経営者は、当該事業に係る施設について、第一号に規定する五年前の年以後の各年において、当該事業以外の事業並びに当該事業に係る事業経営者及びその者と特別関係がある者の用に供しておらず、かつ、当該事業のための担保以外の担保に供していないこと。
※下線は税理士法人チェスターによる
※本記事は記事投稿時点(2025年4月30日)の法令・情報に基づき作成されたものです。
現在の状況とは異なる可能性があることを予めご了承ください。
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