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相続財産の総額を確定できなかったことは無申告加算税の正当な理由に当たらず(裁決)

2025/10/01

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相続財産の総額を確定できなかったことは無申告加算税の正当な理由に当たらず(裁決)

国税不服審判所HPにおいて令和7年9月30日、次のような裁決が公表されました。

贈与者である被相続人Dから金員の死因贈与を受けた者(以下「請求人」といいます。)は、被相続人Dの法定相続人ではなかったため、相続財産の総額を知ることはできませんでした。

また、被相続人Dの相続人から相続財産の総額の回答も拒否されたため、相当の努力を払って調査しても遺産に係る基礎控除額を超える額の相続財産を把握することができませんでした。

請求人はその後、税務調査を受け、相続税の期限後申告書を提出したところ、税務署は請求人に対し、無申告加算税を賦課しました。

これに対し、請求人は、上記理由により法定申告期限までに被相続人Dに係る相続税の申告書を提出しなかったことにつき、国税通則法(令和4年法律第4号による改正前のもの)第66条《無申告加算税》第1項ただし書に規定する正当な理由があるとして、審査請求を行いました。

国税不服審判所は、令和7年1月17日、本件は、国税通則法第66条第1項ただし書に規定する正当な理由があるとはいえず、無申告加算税の賦課決定処分を適法とする旨の裁決を下しました。

参考:国税不服審判所「(令和7年1月17日裁決)

1.事実関係及び時系列

時系列

2.争点

請求人が法定申告期限までに本件相続税の申告書を提出しなかったことにつき、通則法第66条第1項ただし書に規定する正当な理由があるか否か。

〔参考〕

国税通則法(抄)

(無申告加算税)
第六十六条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該納税者に対し、当該各号に規定する申告、更正又は決定に基づき第三十五条第二項(申告納税方式による国税等の納付)の規定により納付すべき税額に百分の十五の割合(期限後申告書又は第二号の修正申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正又は決定があるべきことを予知してされたものでないときは、百分の十の割合)を乗じて計算した金額に相当する無申告加算税を課する。ただし、期限内申告書の提出がなかつたことについて正当な理由があると認められる場合は、この限りでない。

一 期限後申告書の提出又は第二十五条(決定)の規定による決定があつた場合

二 期限後申告書の提出又は第二十五条の規定による決定があつた後に修正申告書の提出又は更正があつた場合

(以下省略)

引用:e-GOV法令検索「国税通則法 第六十六条
※下線等は筆者による

3.審判所の判断(国税不服審判所HPの裁決要旨抜粋)

(1) 裁決のポイント

本事例は、相続税において通則法第66条第1項ただし書に規定する「正当な理由があると認められる場合」とは、通常の納税者を基準として、課税価格の合計額が遺産に係る基礎控除額を超えない又は超える可能性が極めて小さいことを客観的に裏付けるに足りる事実を認識して期限内申告書を提出しなかった事実が認められる場合をいうとしたものである。

引用:国税不服審判所「令和7年1月17日裁決 《ポイント》

(2) 裁決要旨

請求人は、贈与者である被相続人(本件被相続人)から金員(本件金員)の死因贈与を受けただけであり、本件被相続人の法定相続人ではないことから、相続財産の総額を知ることはできず、本件被相続人の相続人ら(本件相続人ら)から相続財産の総額の回答を拒否されており、相当の努力を払って調査しても遺産に係る基礎控除額を超える額の相続財産を把握することができなかったのであるから、請求人が法定申告期限までに本件被相続人に係る相続税の申告書(本件申告書)を提出しなかったことに、国税通則法(令和4年法律第4号による改正前のもの)第66条《無申告加算税》第1項ただし書に規定する正当な理由がある旨主張する。

しかしながら、請求人は、本件被相続人の職業などを踏まえると、本件被相続人には請求人が管理している本件被相続人の預金口座以外にも預貯金や不動産などの財産があったと認識できたと推認される。また、請求人が、上記推認を妨げる、本件相続人らがそれぞれ取得する財産が、本件金員よりも少ない可能性があると認識していたと認めるべき特段の事情は認められず、請求人は、本件被相続人の相続財産に係る課税価格の合計額が遺産に係る基礎控除額を超えると認識できたと認められる。そうすると、通常の納税者を基準として、請求人において、本件被相続人の相続財産に係る課税価格の合計額が遺産に係る基礎控除額を超えない又は超える可能性が極めて小さいことを客観的に裏付けるに足りる事実を認識して期限内申告書を提出しなかったとは認められず、請求人が法定申告期限までに本件申告書を提出しなかったことにつき、国税通則法第66条第1項ただし書に規定する正当な理由があるとはいえない。

引用:国税不服審判所「令和7年1月17日裁決 《要旨》

4.解説

本裁決の「当審判所の判断」には、以下のように説明されています。

通則法第66条に規定する無申告加算税は、納税者に期限後申告書を提出したという事実があれば、原則として、その納税者に課されるものであり、これによって当初から適法に申告し納税した納税者との間の客観的な不公平の実質的な是正を図るとともに、無申告による納税義務の違反の発生を防止し、適正な申告納税の実現を図り、もって納税の実を挙げようとする行政上の措置である。このような無申告加算税の趣旨に照らせば、通則法第66条第1項ただし書に規定する「正当な理由があると認められる場合」とは、期限内申告書が提出されなかったことについて、例えば、災害、交通や通信の途絶等、真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり、上記のような無申告加算税の趣旨に照らしてもなお納税者に無申告加算税を課することが不当又は酷になる場合をいうものと解するのが相当である。

引用:国税不服審判所「(令和7年1月17日裁決)

この説明からすると、通則法第66条第1項ただし書に規定する正当な理由があると認められるためには、相当高いハードルを越えなければならないということになります。

5.チェスターの視点

それでは、こういう場合どうすれば良いのでしょうか?

こういう場合には、ご自分が知り得た被相続人の遺産の総額(相続税評価額)が、仮に相続税の遺産に係る基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人数)を下回ったとしても、法定記載事項(注1)を記載した相続税申告書を作成し、期限内(注2)に申告と納税をしておくことが重要と考えます。

期限内申告書を提出することにより無申告加算税を賦課される可能性はなくなります。
また、後日、確認できなかった遺産の内容を把握することができれば、自主修正申告(追加の本税、延滞税がかかります)を行うことで、過少申告加算税を賦課されることも回避可能となります(注3)

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(注1)相続税法施行規則13条(相続税の申告書の記載事項)及び16条(相続税の申告書に添付する明細書の記載事項等)

(注2)被相続人が死亡したことを知った日(通常の場合は、被相続人の死亡の日)の翌日から10か月以内。

(注3)税務署からの調査の事前通知の前に自主的に修正申告をした場合、過少申告加算税はかかりません。
税務署からの調査の事前通知の後に修正申告(調査による更正を予知する前の修正申告)をした場合には、新たに納める税金のほかに、新たに納める税金に5パーセントの割合を乗じた過少申告加算税がかかります。ただし、新たに納める税金が当初の申告納税額と50万円とのいずれか多い金額を超えている場合、その超えている部分については10パーセントの割合になります。
また、税務署の調査を受けた後に修正申告(調査による更正を予知した修正申告)をした場合や、税務署から申告納税額の更正を受けた場合には、新たに納める税金のほかに、新たに納める税金に10パーセントの割合を乗じた過少申告加算税がかかります。ただし、新たに納める税金が当初の申告納税額と50万円とのいずれか多い金額を超えている場合、その超えている部分については15パーセントの割合になります。

※本記事は記事投稿時点(2025年10月1日)の法令・情報に基づき作成されたものです。
現在の状況とは異なる可能性があることを予めご了承ください。

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