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「保険金請求権は相続財産」死亡事故を巡る最高裁判決

2025/10/31

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「保険金請求権は相続財産」死亡事故を巡る最高裁判決

報道によれば、車両事故で死亡したことによる人身傷害保険金の請求権が相続財産に含まれるかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(堺徹裁判長)は30日、「相続財産に含まれる」との判断を示したとのことです。
(参考:10月30日付 日本経済新聞

建設会社の代表取締役だった男性は、人身傷害条項を含む総合自動車保険の契約中に自損事故で死亡。子らが相続を放棄し、相続した男性の母親が保険金の支払いを求めていました。

保険会社側は「第1順位の法定相続人である子らしか請求できない」などと主張したが、第1小法廷は「被保険者に生じた損害を補塡するための保険金の請求権は、被保険者自身に発生する」と指摘し、相続財産に属すると判断した模様です。
(参考:10月30日付 日本経済新聞

それでは、交通事故による損害賠償金や人身傷害保険金が支払われた場合、相続税等の課税関係はどうなるのでしょうか?

1. 交通事故の損害賠償金についての相続税の課税関係

交通事故の加害者から遺族の方が損害賠償金を受けたときの相続税の取扱いは次のとおりです。

被害者が死亡したことに対して支払われる損害賠償金は相続税の対象とはなりません。

この損害賠償金は遺族の方の所得になりますが、所得税法上非課税規定がありますので、原則として税金はかかりません。

なお、被相続人が損害賠償金を受け取ることが生存中に決まっていたが、受け取らないうちに死亡してしまった場合には、その損害賠償金を受け取る権利すなわち債権が相続財産となり、相続税の対象となります。

参考:「No.4111 交通事故の損害賠償金
※下線等は筆者による

2. 人身傷害補償保険金の所得税、相続税及び贈与税の取扱い

人身傷害補償保険金の所得税、相続税及び贈与税の取扱いについては、平成11年10月18日付課審5-2他「人身傷害補償保険金に係る所得税、相続税及び贈与税の取扱い等について」(法令解釈通達)により国税庁から課税の取扱いが示されています。

【1.人身傷害補償保険の概要】

人身傷害補償保険は、自動車事故により被保険者が死亡し又は傷害を被った場合に、運転者等の過失割合にかかわらず契約金額の範囲内で被保険者の人的損害に係る実損害額を填補する保険です。

(注)

  1. 被保険者は次のいずれかに該当する者をいいます。
    • (1) 保険証券記載の者(記名被保険者)
    • (2) (1)の配偶者
    • (3) (1)又は(2)の同居の親族
    • (4) (1)又は(2)の別居の未婚の子
    • (5) (1)~(4)以外の者で保険証券記載の自動車(被保険自動車)に搭乗中の者
  2. 被保険者が死亡した場合の保険金請求権者は、次のいずれかに該当する者をいいます。
    • (1) 被保険者の法定相続人
    • (2) 被保険者の父母、配偶者または子

この人身傷害補償保険では、保険金の支払方式として、定額給付方式ではなく損害填補方式を採用しているので、(1)保険金請求権者は、自過失部分に対応する損害額についても補償を受けることができ、また、(2)これまで事故の相手方等に対して損害賠償請求をして取得していた損害賠償金をも含めて保険金として受け取り、保険会社が、保険金支払後、事故の相手方等に対して損害賠償請求権の代位請求を行うことになるため、保険金請求権者は事故の相手方等との示談交渉も不要です。

【2.人身傷害補償保険金の課税関係】

(1) 課税関係

被保険者死亡により保険金請求権者が人身傷害補償保険金を取得した場合には、原則として、保険料の負担者に応じて所得税、相続税又は贈与税の課税関係が発生します(所得税法第34条、所得税基本通達9-20、相続税法第3条第1項第1号、同法第5条第1項)。

ただし、「(2)損害賠償金の性格を有する金額」に掲げる金額については、人身傷害補償保険金の支払により、保険会社が保険金請求権者の有していた損害賠償請求権を取得し、事故の相手方等に対して代位請求することから、実質的に損害賠償金と考えられるので、次のとおり取り扱われるものと考えます。

イ 所得税の課税関係(保険料負担者=保険金受取人)
心身に加えられた損害につき支払を受ける慰謝料その他の損害賠償金(所令30一)に該当するので非課税となる。

ロ 相続税の課税関係(保険料負担者=死亡者)
相続税基本通達3-10((無保険車傷害保険契約に係る保険金))の取り扱いと同様に、相続により取得したものとみなされる保険金に含まれないものと取り扱われる。

ハ 贈与税の課税関係(保険料負担者=保険金受取人及び死亡者以外の者)
相続税法基本通達5-1((法第3条第1項第1号の規定の適用を受ける保険金に関する取り扱いの準用))の取り扱いと同様に、贈与により取得したものをみなされる保険金に含まれないものと取り扱われる。

(2) 損害賠償金の性格を有する金額

イ 事故の相手方過失割合に応ずる金額
人身傷害補償保険金の支払により、保険金請求権者は自己の相手方過失割合に応ずる保険金の額に相当する損害賠償請求権を保険会社に移転し、保険会社は事故の相手方等に代位請求します。したがって、人身傷害補償保険金のうち、相手方過失割合に応ずる金額は、保険会社から見れば、相手方の負担すべき損害賠償金を被害者たる保険金請求権者に一時的に立替払いしたのと同様であり、保険金請求権者から見れば事故の相手方に対して直接損害賠償請求をして取得する損害賠償金と異ならないということができます。

(注)

1 上記の相手方過失割合は、保険金支払に当たり保険会社が算定しますが、(1)事故状況の調査報告に基づき「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」(東京地裁民事第27部(交通部)編、別冊判例タイムス)等に従って算定するものであること、(2)この割合により保険会社が相手方に代位請求すること、(3)各損害保険会社も同様のプロセス、判断基準に基づき過失割合の算定を行っていること等から客観的なものといえます。なお、この割合は、別添1または別添2の「死亡保険金のお支払について」により保険会社が代位請求する金額について保険金請求権者の了解を得るため明らかです。

2 保険金支払後における代位請求により、保険会社が相手方と合意する相手方過失割合に応じる損害賠償金額は、原則として、別添1または別添2に記載される金額と一致すると考えますが、仮に差が生ずる場合であっても、(1)保険金支払に当たり保険会社が算定する相手方過失割合は、上記1のとおり客観的なものであること、(2)保険会社と保険金請求権者は、相手方との合意内容に基づく精算は行わないこと、(3)保険金支払後は、保険金請求権者は相手方に対する損害賠償請求権がなく、相手方との合意内容は保険金請求権者には及ばないこと等から、人身傷害補償保険金の支払時に保険会社が算定する相手方過失割合に応ずる金額が実質的に損害賠償金として取り扱われるものと考えます。なお、事故状況の事実認定に明らかな誤認がある場合など、事故の相手方過失割合の算定が合理的になされていない場合に、実質的に損害賠償金として取り扱われる金額が訂正されるべきことは、いうまでもありません。

(以下記載省略)

参考:国税庁「人身傷害補償保険金に係る所得税、相続税及び贈与税の取り扱い等について

参考

相続税法基本通達(抄)

(無保険車傷害保険契約に係る保険金)

3-10 無保険車傷害保険契約に基づいて取得する保険金は、損害賠償金としての性格を有することから法第3条第1項第1号の規定により相続又は遺贈により取得したものとみなされる保険金には含まれないものとして取り扱うものとする。

引用:国税庁 相続税法基本通達「3-10 無保険車傷害保険契約に係る保険金

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