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【速報】相続後に免除の効力が生じた債務免除益は相続人の所得(一時所得)に該当、最高裁で国側逆転勝訴(破棄差戻)

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2026/07/07

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相続後に免除の効力が生じた債務免除益は相続人の所得(一時所得)に該当、最高裁で国側逆転勝訴

2026年6月23日、最高裁第三小法廷は、「被相続人から相続した金融機関に対する借入金債務が、相続後に免除の効力が生じたことにより、相続人が受けた経済的利益は、非課税所得には当たらず、免除により受けた経済的利益は一時所得に当たる」という国側の主張を支持し、原判決(納税者側の主張を支持)を破棄、その余の点について更に審理を尽くさせるため、原審に差し戻しました。

(参考:最高裁判所「令和8年6月23日判決」)

1.事実関係(イメージ)

事実関係(イメージ)

2.原審の判断

相続税の課税価格の算定に当たり、相続税法14条1項の「確実と認められるもの」に当たらず、担税力を減殺させるものではないとして控除されなかった債務が相続開始後に免除を受けたからといって、これによって債務者に新たな担税力が生じると解するのは相当でない。被相続人から相続した債務であって、相続税の課税価格の算定に当たり、近い将来に免除を受ける可能性が極めて高いこと等を理由に同項によって課税価格に算入すべき価額から控除されなかったものが、その後に免除された場合は、当該債務免除に係る相続人の利益は、形式的には当該債務免除を受けた時点で発生したものといえるとしても、所得税との関係では、潜在的には相続により取得していたものとみることが可能である。また、当該債務免除に係る相続人の利益は、相続により取得した財産のうち控除されなかった上記債務に相当する部分の経済的価値と実質的に同一のものということができる。そうすると、特段の事情のない限り、これに所得税を課すことは本件規定に反するものとして許されないというべきである。本件において特段の事情は見当たらないから、本件債務が免除されたことによる利益に所得税を課すことは、本件規定(引用者注:所得税法(令和3年法律第11号による改正前のもの)9条1項16号、以下同じ。)に反し許されない。

出典:最高裁判所「令和8年6月23日判決

〔参考〕

相続税法14条

1項 前条の規定によりその金額を控除すべき債務は、確実と認められるものに限る。

引用:e-GOV法令検索「相続税法14条

所得税法(令和3年法律第11号による改正前のもの)9条

1項 次に掲げる所得については、所得税を課さない。
16号 相続、遺贈又は個人からの贈与により取得するもの(相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)の規定により相続、遺贈又は個人からの贈与により取得したものとみなされるものを含む。)

3.最高裁の判断

本件規定にいう「相続、遺贈又は個人からの贈与により取得するもの」とは、相続等により取得し又は取得したものとみなされる財産そのものを指すのではなく、当該財産の取得によりその者に帰属する所得を指すものと解される。そして、当該財産の取得によりその者に帰属する所得とは、当該財産の取得の時における価額に相当する経済的価値にほかならず、これは相続税又は贈与税の課税対象となるものであるから、本件規定の趣旨は、相続税又は贈与税の課税対象となる経済的価値に対しては所得税を課さないこととして、同一の経済的価値に対する相続税又は贈与税と所得税との二重課税を排除したものであると解される(以上につき、最高裁判所「平成20年(行ヒ)第16号同22年7月6日第三小法廷判決・民集64巻5号1277頁参照)。

本件においては、被上告人らがAを相続した後に本件債務の免除の効力が生じたのであるから、被上告人らが、これによる経済的利益を相続等により取得したということはできない。そして、本件相続に関し、本件債務が相続税法14条1項所定の「確実と認められるもの」に当たらず、相続税の課税価格に算入すべき価額からその金額が控除されないとしても、本件相続後に本件債務が消滅することによって生ずる経済的価値に対して相続税が課されるものではないから、上記経済的利益に所得税を課すことは、同一の経済的価値に対し相続税と所得税とを二重に課すものとはいえず、本件規定の上記趣旨に反するものではないというべきである。

したがって、本件債務の免除により非上告人らが受ける経済的利益は、本件規定所定の非課税所得には当たらず、上記経済的利益に所得税を課すことが、本件規定に反するということはできない。

引用:最高裁判所「令和8年6月23日判決

〔参考〕

最高裁「平成20年(行ヒ)第16号同22年7月6日第三小法廷判決

◎ チェスターの視点

本件最高裁判決は、「本件債務の免除により非上告人らが受ける経済的利益は、本件規定所定の非課税所得には当たらず、上記経済的利益に所得税を課すことが、本件規定に反するということはできない。」と判示され、国側の主張を支持しました。

ただし、裁判長である沖野眞巳裁判官は、補足意見において「そもそも、債務免除益に係る所得税課税の根拠及び要件については様々な議論がある上、本件におけるような相続が関わる場合の相続債務との関係については、従来、十分な議論がされてきたとはいい難い。多数意見は、本件における本件規定の適用について判断したものであって、本件場合における相続人の債務免除益の所得該当性について、肯定、否定のいずれの判断をしたものでもない。」と述べられました。

つまり、本件判決は、あくまでも個別事例について所得税法の非課税規定への当てはめを否定するとの適用判断を行ったに過ぎず、本件場合における相続人の債務免除益の所得該当性についての判断を行ったものではない、相続が関わる場合の相続債務との関係については、今後、十分な議論を尽くした上で、相続人の債務免除益の所得該当性について立法と実務の両面からきちんと整理すべきとの問題提起をなさったように思われます。

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※本記事は記事投稿時点(2026年7月7日)の法令・情報に基づき作成されたものです。
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