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生命保険金は遺留分の対象になる
2016/02/09
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生命保険金は遺留分の対象には「原則」ならない
遺言で相続人が自分の相続分の権利が侵害されていると判断した際には、遺留分減殺請求を行うことができます。
例えば相続人が長男と長女の2人で、遺言に長女に全ての財産1億円を相続させると書いてあった場合、長男は遺留分として相続分の1/4の2,500万円を請求することができます。
それでは8,000万円が預貯金で2,000万円が生命保険金であった場合にはどうなるのでしょうか?
この点、生命保険契約によって発生する死亡保険金は遺留分の計算対象外となるのが原則であるという最高裁判決があります。
(平成16年10月29日最高裁判決)
「被相続人を保険契約者及び被保険者とし、共同相続人の1人又は一部の者を保険金受取人とする養老保険契約に基づき保険金受取人とされた相続人が取得する死亡保険金請求権は、民法903条1項に規定する遺贈又は贈与に係る財産には当たらないが、保険金の額、この額の遺産の総額に対する比率、保険金受取人である相続人及び他の共同相続人と被相続人との関係、各相続人の生活実態等の諸般の事情を総合考慮して、保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合には、同条の類推適用により、特別受益に準じて持戻しの対象となる。」
このため先述の例でいうと、長男の遺留分は保険金2,000万円を除いた8,000万円×1/4の2,000万円となります。このように生前にあらかじめ生命保険の受取人をより多く財産を遺したい相続人に設定しておくことで、渡したくない相続人の遺留分を減らすことができます。
著しく不公平であるときは生命保険金も遺留分の対象となる
ただし最高裁判決にもあるように、他の相続人との間に著しい不公平が生じるケースでは例外的に遺留分に含めるとされています。
それでは具体的に、どのような場合に最高裁判決にある著しく不公平なケースにあたるのでしょうか。この点は、次のような事情を総合的に勘案して決めるため、一概にいくら以上というように決めることはできません。
・死亡保険金の遺産総額に対する割合が大きい
・被相続人との同居状態や介護の貢献度 等々
例えば相続開始時の預貯金が2,000万円、生命保険金が8,000万円であるというような場合には、遺産総額に対する生命保険金の割合が多いといえると思います。しかしこのような状況でも、被相続人の生前長年に渡り仕事を辞めて介護に従事して被相続人の生活に貢献していたような場合には著しく不公平とみなされないこともあります。
最終的には総合的に判断することになりますが、「行き過ぎた」場合には著しく不公平だと判断されるでしょう。
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