チェスターNEWS
相続税の修正申告における過少申告加算税(更正があるべきことの予知)
2016/09/23
関連キーワード: 税務調査
秋の税務調査シーズンですので、今回は相続税の税務調査と修正申告について具体例を挙げながら解説します。
当初の相続税申告で書面添付をしていないケース
当初の相続税申告において書面添付をしていない場合、税務署から税務代理を行った会計事務所にまずは電話がかかってきます。
通常、この電話で税務調査を行いたい旨の連絡と相続人との日程調整を依頼されるため個別具体的な申告書内容についての言及はありません。
ここで会計事務所は注意しなければならないことがあります。
それは単に相続人に税務調査の日程調整の連絡をするだけではなく、当初申告において会計事務所に実は黙っていたことや、隠していたこと、気になること等がないかどうかを確認することです。
なぜなら税務調査の開始前に自発的に修正申告をした場合と、実際に税務調査で指摘を受けてから修正申告した場合とではかかるペナルティの率が変わってくるためです。
【調査開始前に自発的に修正申告をした場合】
・過少申告加算税 0%
・無申告加算税 5%
過少申告加算税については自発的な修正申告の場合には0%ですので、たとえ当初申告で隠していた財産があったとしても調査開始前に自分から修正申告すればお咎めがないということです。
仮装隠ぺいであれば重加算税(35%)が課せられるリスクも考えると指摘を受ける前に修正申告した方が明らかに有利となります。
一方でこのような制度ですと、当初申告では隠しておいて後で調査の連絡がきたら修正申告をすればいいという考えを持つ納税者や、いわゆる更正の予知といって税務署に見つかりそうになった段階で修正申告を行う納税者がいます。当初から真面目に申告を行っている納税者との間で不公平が生じることから一部税制改正が平成28年度に行われました。
【平成29年1月1日以降に申告期限が到来する場合で税務調査の事前通知を受けた後調査開始前に自発的に修正申告をした場合】
・過少申告加算税 5%(追加で納付すべき税額が当初納税額と50万円のいずれか多いほうを超える場合、その部分は10%)
・無申告加算税 10%(納付すべき税額が50万円を超える場合、その部分は15%。令和6年1月1日以降に申告期限が到来する場合で納付すべき税額が300万円を超える場合、その部分は25%)
このように平成29年1月1日以降に申告期限が到来する税目については税務署から税務調査の事前通知を受けた後に修正申告をしてもペナルティがかかるようになりましたので注意が必要です。
当初の相続税申告で書面添付をしているケース
書面添付における意見聴取は「事前通知」には該当しませんので、会計事務所が意見聴取を受けた後で税務調査の事前通知を受ける前であれば従前通り過少申告加算税は0%ですみます。
これは相続税申告において書面添付を行う大きなメリットの一つですので覚えておきましょう。
いずれにしましても税務調査による指摘を受ける前に修正申告を行って損をすることはほとんどありませんので、気になることがあれば会計事務所は相続人に話してもらうように、相続人は会計事務所に正直に話すようにすることがとても大切です。
※本記事は記事投稿時点(2016年9月23日)の法令・情報に基づき作成されたものです。
現在の状況とは異なる可能性があることを予めご了承ください。
※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。
「相続対策」も「相続税申告」もチェスターにおまかせ。
「相続税の納税額が大きくなりそう」・「将来相続することになる配偶者や子どもたちが困ることが出てきたらどうしよう」という不安な思いを抱えていませんか?
相続専門の税理士法人だからこそできる相続税の対策があります。
そしてすでに相続が起きてしまい、何から始めていいか分からない方もどうぞご安心ください。
様々な状況をご納得いく形で提案してきた相続のプロフェッショナル集団がお客様にとっての最善策をご提案致します。
DVDとガイドブックの無料資料請求はこちらへ
各種サービスをチェック!
\ご相談をされたい方はこちら!/
【次の記事】:生命保険金を代償金として支払うと贈与税の課税リスクがある