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介護医療院と小規模宅地特例

2018/04/11

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平成30年4月1日から設置可能となった「介護医療院」をご存知でしょうか?

この「介護医療院」についても小規模宅地特例が適用されることになり(平成30年税制改正大綱)、納税者にとって有利な改正となっています。

それは、以下のような内容になります。

1)介護医療院にも小規模宅地特例が適用される

「介護医療院に入所したことにより被相続人(亡くなった人)の居住の用に供されなくなった家屋の敷地の用に供されていた宅地等について、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていたものとして本特例を適用する(平成30年4月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用)。」

簡単に言うと、小規模宅地特例は、被相続人(亡くなった人)が死亡する直前まで居住していた宅地等が対象となります。

とすると、その亡くなった人が、生前に老人ホームなどに入所していた場合、死亡する直前に自宅に住んでいないことになりますので、その自宅について小規模宅地特例は適用されないことになるかと思われます。

ですが、被相続人が、生前に老人ホームに入所していた場合であっても、被相続人が要介護認定などを受けている等の一定の条件を満たせば、「居住の用に供することができない事由」があるとして、被相続人が老人ホームに入所する前に居住していた宅地等も、小規模宅地特例の適用対象とされています(措置法40-2②)。

上記のように、被相続人が、生前に老人ホームなどに入所していた場合に、老人ホームに入所する前の自宅について小規模宅地特例が適用対象となったのは、平成26年1月1日以降です。

具体的に、これまで適用対象となってきた施設には、認知症対応型老人共同生活援助事業が行われる住居、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム又は有料老人ホーム、介護老人保健施設(老健)、サービス付き高齢者向け住宅があります。

そして、平成30年度税制改正大綱で、介護医療院も、小規模宅地特例の適用対象となりました。

2)「介護医療院」とは、どんな施設なのか?

「介護医療院」ですが、耳慣れない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

介護医療院とは、平成30年4月1日から設置が可能となった新しい形態の介護保険施設のことです。とはいえ、「介護医療院」という、医療施設とも介護施設とも思える施設名称。この医療介護院は、どのような特徴を持った施設なのでしょうか。

 

名称

介護医療院

※ただし、病院または診療所から新施設に転換した場合には、転換前の病院または

 診療所の名称を引き続き使用できることとする。

機能要介護者に対し、「長期療養のための医療」と「日常生活上の世話(介護)」を一体的に提供する。(介護保険法上の介護保険施設だが、医療法上は医療提供施設として法的に位置付ける)
開設主体地方公共団体、医療法人、社会福祉法人などの非営利法人等

 

介護医療院とは、平成30年3月末で廃止される介護療養型医療施設の受け皿となることが期待されるもので、「日常的な医学管理が必要な要介護者の受入れ」や「看取り・終末期ケア」等の機能と、「生活施設」としての機能を兼ね備えた、新たな介護保険施設です。(厚生労働省:「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律のポイント」参照)

他方、介護療養型医療施設とは、旧介護保険法第8条第26項によれば、療養病床等を有する病院又は診療所であって、当該療養病床等に入院する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて、療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護その他の世話及び機能訓練その他必要な医療を行うことを目的とする施設と定義されます。

では、介護療養型医療施設と新設される介護医療院とは、具体的にどのような点が違うのでしょうか。同じ点、異なる点を以下に挙げてみました。

①適用される保険が、介護療養型医療施設、介護医療院ともに「介護保険制度」である点で同じである。

②人員配置については、介護療養型医療施設と介護医療院の(Ⅰ)型が同じであるが、介護医療院(Ⅱ)型は異なっている。

◇介護療養型医療施設と介護医療院(Ⅰ)型の人員配置

 →医師:48対1以上、看護職員:6対1以上、介護職員:6対1以上

◇介護医療院(Ⅱ)型の人員配置

 →医師:100対1以上、看護+介護職員:3対1以上

  (看護職員は2/7程度とすること)

③床面積は、介護療養型医療施設が6.4㎡/床である一方、介護医療院は(1)型(Ⅱ)型ともに8.0㎡/床であり、介護医療院の方が広くなったという点が違うところです。

このように、介護医療院について床面積が広くなったのは、生活施設としての役割を強くするため、生活環境の向上を図った点にあります。

また、生活環境の向上を図るべく、入所者のプライバシーにも配慮するため、多床室においては、カーテンの設置だけではなく、パーテーションなどの間仕切り設備の設置も求められています。

以上からすれば、介護医療院が、床面積を広くし、プライバシー確保に重点を置いていることから、従来の施設よりも、「生活施設」としての機能を重視しているという特徴を持つものと考えられます。

3)最後に

介護療養型医療施設は平成30年3月で廃止されますが、経過措置が6年間設けられており、その間に新しい施設への移行が期待されます。他方、介護医療院は平成30年4月1日からスタートしますが、その報酬は、診療報酬・介護報酬の同時改定の点数が明らかとなる平成30年2月にならないと判明しないことから、介護医療院への移行は簡単には進まないことが予想されます。とはいえ、この数年間で、介護医療院への移行が期待され、この医療院には、上記のように納税者に有利な条項があることを心に留めておいていただきたいと思います。

※本記事は記事投稿時点(2018年4月11日)の法令・情報に基づき作成されたものです。
現在の状況とは異なる可能性があることを予めご了承ください。

※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。

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