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平成30年度事業承継税制改正 事業承継後のリスク軽減に対応

2018/06/18

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平成30年度事業承継税制改正 事業承継後のリスク軽減に対応

1.はじめに  ~2つのリスク軽減対応策~

平成30年度税制改正において、これまでの一般措置に加え、適用要件が緩和された事業承継の際の贈与税・相続税の納税を猶予する「事業承継税制」が特別措置として創設されました。それは、今後5年以内に特例承継計画を都道府県に提出して特例円滑化法の認定を受け、10年以内に実際に承継を行う者を対象とします(以下、このような者による事業承継を「特例承継」とします)。
そして、この事業承継税制では、事業承継後のリスクを軽減するため、次のように2つの措置が設けられています。

①事業承継から5年経過後に「事業の継続が困難な事由」が生じた場合等において、猶予税額の一部を免除するという措置
②事業承継後5年間で平均8割以上の雇用維持を求める「雇用確保要件」を事実上撤廃するという措置

これらの2つの措置について、以下で具体的に説明します。

2.①事業承継から5年経過後に「事業の継続が困難な事由」が生じた場合等において、猶予税額の一部を免除するという措置について

一般措置

後継者が自主廃業や売却を行う際に、経営環境の変化により株価が下落した場合でも、事業承継時の株価を基に贈与税・相続税が課税されるため、過大な税負担が生じる可能性があります。

例えば、事業承継時の株式評価額が2億円であったが、その後、経営状況の悪化により、株式評価額が1億円に下落していた場合に、承継時の2億円を基に贈与税・相続税が課税されることとなり、過大な税負担となってしまいます。

特例措置

平成30年度税制改正により創設された特例承継については、特例経営(贈与)承継期間の経過後に、特例認定贈与承継会社(中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律の認定を受けた会社)等に「事業の継続が困難な事由(※1)」が生じた場合に、特例措置の適用に係る非上場株式等の譲渡等をした場合は、その対価の額(譲渡等の時の相続税評価額の50%に相当する金額が下限になります(※2))を基に相続(贈与)税額等を再計算し、再計算した税額と直前配当等の金額との合計額が当初の納税猶予税額を下回る場合には、その差額は免除されます(租税特別措置法第70条の7の5第12項等)。なお、再計算した税額は納付することになります。このように、改正後は、事業承継時の株価を基に相続(贈与)税額を算定するのではなく、株式の譲渡・廃業時点での株価を基に納付額を再計算し、減免を可能とすることによって、将来の不安を軽減するものになります。

※1 事業の継続が困難な事由
1 過去3年間のうち2年以上赤字の場合
2 過去3年間のうち2年以上売上が減少している場合
3 有利子負債が売上の6ケ月分以上の場合
4 類似業種の上場企業の株価が前年を下回る場合
5 特例経営承継受贈者(後継者)が心身の故障等で業務の継続が困難な場合(譲渡・合併のみ)

※2:譲渡等から2年後において、譲渡等の時の雇用の半数以上が維持されている場合には、実際の対価の額に基づく税額との差額は、その時点で免除されます。

3.②事業承継後5年間で平均8割以上の雇用維持を求める「雇用確保要件」を事実上撤廃するという措置について

一般措置

事業承継税制(一般措置)適用後、5年間で平均8割以上の雇用を維持できなければ、事業承継の際の贈与税・相続税の猶予が打ち切りとなり、猶予額全額を一括で納付することが求められていました。

このような雇用確保要件は、人手不足の中、中小企業にとって大きな負担となっており、この制度を利用する上での一番の阻害要因となっていました。
例えば、事業承継による贈与・相続の時点で従業員が5人の場合、承継後5年間で平均4人以上の雇用を維持する必要がありますが、中小企業においては、経営環境の変化から従業員が3人以下となることも十分に考えられ、これがこの制度を利用する上でのネックとなっていたのです。

特例措置

平成30年度税制改正により創設された特例承継については、事業承継税制適用後5年間で平均8割以上の雇用確保要件が達成できない場合であったとしても、納税猶予が打ち切りとならず、納税猶予継続が可能となりました。
ただし、雇用確保要件を達成できない場合には、5年間で平均8割を下回った理由について、「認定経営革新等支援機関の所見」が記載された報告書を都道府県知事に提出することが必要とされます。さらに、5年間で平均8割の雇用確保要件を達成できない理由が、経営状況の悪化である場合又は当該認定経営革新等支援機関が正当なものと認められないと判断した場合には、当該認定経営革新等支援機関から経営力向上に係る指導及び助言を受けて、当該書類にその内容を記載しなければならないこととされています(中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律施行規則20条3項かっこ書き)。

認定経営革新等支援機関による所見等の項目

1 認定支援機関の名称等
2 所見を記載した年月日
3 認定支援機関による所見
4 指導及び助言の内容

そして、この報告書(「特例承継計画に関する報告書」)と、都道府県知事による確認書の写しを「継続届出書」に添付することによって、納税猶予の継続が認められ、添付しなかった場合には納税猶予が取り消されることになっています。

この「特例承継計画に関する報告書」については、5年間で平均8割を下回った理由について、次の5つの中から選択することになっています。
①高齢化が進み後を引き継ぐ者を確保できなかった
②採用活動を行ったが、人手不足から採用に至らなかった
③設備投資等、生産性が向上したため人手が不要となった
④経営状況の悪化により、雇用を継続できなくなった
⑤その他(具体的に理由を記載)

※本記事は記事投稿時点(2018年6月18日)の法令・情報に基づき作成されたものです。
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