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平成30年度事業承継税制・当初の特例承継計画に未記載の者にも特例措置の適用が可能
見つけやすくなります

1.問題点
平成30年度税制改正において、これまでの一般措置に加え、適用要件が緩和された事業承継の際の贈与税・相続税の納税を猶予する「事業承継税制」が特別措置として創設されました。この特例措置は、令和9年9月30日までに特例承継計画を都道府県知事に提出して確認を受け、令和9年12月31日までに実際に承継を行う者を対象とするものです(以下、このような者による事業承継を「特例承継」とします)。
上記の特例措置の適用を受けるためには、以下の2点を満たす必要があります。
- 平成30年(2018年)4月1日から令和9年(2027年)9月30日までに、「特例承継計画」を提出していること
- 平成30年(2018年)1月1日から令和9年(2027年)12月31日までに、贈与・相続(遺贈を含む)により自社の株式を取得すること
※平成29年12月31日までに贈与・相続により株式を取得した場合は、特例措置の認定を受ける(あるいは一般の認定から特例措置の認定へ切替えを行う)ことはできません。
このように、平成30年度税制改正による特例措置の適用を受けるためには、「特例承継計画」を一定の期間内に提出する必要があります。
そして、特例後継者となるためには、特例承継計画に氏名の記載が必要となるところ、第一種経営承継贈与等(※1)の時点では特例承継計画に氏名の記載がなく特例後継者になっていなかった者が、第二種経営承継贈与等(※2)の際に株式の贈与等を受けた場合でも、特例措置の適用対象となるのかが問題となっています。
※1:第一種経営承継贈与等とは、先代経営者から後継者への贈与・相続等の場合
※2:第二種経営承継贈与等とは、先代経営者以外の株主から後継者への贈与・相続等の場合
実際にどのような場合に問題となるのか、具体例を挙げます。例えば、第一種経営承継贈与等の時点では長男を後継者候補としていたものの、その後の社内の対立により長女が後継者となった場合に、長女についても特例措置の適用を受けることができるのかが問題となります。
また、第一種経営承継贈与等の時点では長男を後継者候補としていたものの、その長男が死亡したため次男が後継者となった場合に、次男が特例措置の適用を受けることができるのかも問題となります。
2.特例承継計画の変更申請により特例措置の適用対象となる
結論としては、このような場合であっても、特例承継計画の変更申請を行って同計画に氏名を追加することにより、その者を特例措置の適用対象とすることができます。
特例後継者として特例承継計画に氏名が記載されていない者は、特例措置の認定を受けることができないため(円滑化法施行規則6条1項11号~14号)、当初の計画に氏名の記載がなかった者は特例措置の適用対象とならないのではないか、という疑義が生じます。
しかしながら、同施行規則18条1項は、第一種・第二種の特例経営承継受贈者及び特例経営承継相続人である特例後継者(すでに株式の贈与・相続を受け、納税猶予の適用を受けた者)を除き、特例後継者の変更を認めています。すなわち、特例承継計画に特例後継者として記載されていても、まだ株式の贈与・相続を受けておらず特例措置の適用を受けていない者については、変更することが可能とされています。
とすれば、第一種経営承継贈与等の時点において特例承継計画に氏名が記載されていないため特例後継者となっていない者は、特例措置の適用を受けていない以上、上述のとおり変更申請の対象になると考えられます。変更申請により特例承継計画に氏名を記載すれば、その者も特例措置の適用対象となります。
よって、前述の事例のうち、第一種経営承継贈与等の時点では長男を後継者候補としていたが、その後の社内の対立により長女が後継者となった場合には、特例承継計画の変更申請を行い、長女を特例後継者に追加することで、長女についても特例措置の適用を受けることができます。
【ご注意】後継者を変更する場合の留意点
上記の取扱いは、特例承継計画に記載された後継者が、まだ株式の贈与・相続を受けておらず納税猶予の適用を受けていない場合のものです。すでに納税猶予の適用を受けている後継者を変更することはできません(円滑化法施行規則18条1項括弧書き)。
また、株式の贈与を実行した後に後継者を変更しようとすると、当初の後継者の納税猶予が打ち切られ、猶予されていた贈与税・相続税と利子税を納付しなければならなくなるおそれがあります。後継者の変更を検討される際は、必ず事前に専門家にご相談ください。
※本記事は記事投稿時点(2018年7月11日)の法令・情報に基づき作成されたものです。
現在の状況とは異なる可能性があることを予めご了承ください。
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