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専門家が教える!遺言作成の注意点
2011/03/21
関連キーワード: 遺言書
1.遺言は遺産争族の特効薬!?
遺産相続における相続人同士の争いは絶えず起きています。相続で家族に揉め事を起こしてほしくないのは皆さん同じ想いのはずです。
それでは、人が亡くなった際に、「遺言がなければどうなるのでしょうか?」答えは簡単です。
「遺言がなければ、相続人全員で話し合いの上で(遺産分割協議)財産の分け方を決めます」
しかしこれが相続の現場では厄介なのです。それぞれの相続人が自分の相続分を少しでも多く主張するようなことが起きると、話し合いがまとまらずに争いに発展していきます。
それでは、「遺言があればどうなるのでしょうか?」こちらも答えはシンプルです。
「遺言があれば、原則、遺言の内容通りに相続します。」
これが遺言が遺産争族の特効薬になるといわれる理由です。
遺言の内容とおりに相続がされますので、相続人同士が話し合う余地がなく、争いに発展しないのです。
2.遺言と違う財産分配をすることは可能か?
遺言があれば遺言通りの相続が原則ですが、それでは、お父さんが遺言を書いてくれていたんだけど、ちょっと遺言とは違う内容で相続したい」といった時に遺言とは異なる相続を行うことはできるのでしょうか?
「相続人全員の同意があれば、遺言とは異なる遺産分割を行うことは可能」
ポイントは、「相続人全員の同意」です。このため、複数の相続人のうち、1人でも反対する人がいれば、遺言が優先されるのです。 ここからも、遺言の効力の強さを知ることができます。
3.自筆証書遺言と公正証書遺言、どちらで作成した方がよいか?
さて実際に遺言を作成する場面を考えますと、次のような疑問が出てきます。
「自筆証書遺言と公正証書遺言、どちらで作成しよう?」
それでは、この2種類の遺言の良いところと悪いところを以下で確認してみましょう。
〇 自筆証書遺言の良いところ
・手軽に作成できる
・費用がかからない
〇 自筆証書遺言の悪いところ
・紛失や改ざんのリスクがある
・相続後に検認手続きが必要
〇 公正証書遺言の良いところ
・公証役場が保管するので安全
・法的な有効な遺言を確実に作成
〇 公正証書遺言の悪いところ
・相続後に検認手続きが不要 ・費用がかかる
・公証役場での作成が面倒
それでは専門家からの答えです。
「公正証書遺言での作成が望まれます。」
公正証書遺言が望まれる一番の理由は、公証役場が原本を保管してくれる点にあります。
遺言というのは、人生で作成する書類の中でも、非常に重要度の高いものです。
タンスの引き出しから発見された遺言が自分に不利な内容であることを知り、破って捨ててしまうといったことも相続においては起こり得るのです。
せっかく書いたのに、自筆証書遺言ですと、紛失したり、また特定の相続人によって改ざんや、場合によっては燃やされたり、破られたりといった危険性もあります。少し手間や費用がかかっても、公正証書遺言で確実に残すことが大切です。
4.公正証書遺言の作成っていくら費用がかかるの?
公正証書遺言の作成費用は、相続させる財産の金額の大小によって異なります。
財産が多ければ、公証役場へ支払う手数料も高くなっていきます。
住まいの近くの公証役場に相談にいきますと、専門家である公証人が相談にのってくれます。
※参考:全国公証役場検索(http://www.koshonin.gr.jp/sho.html)
また相続人間で争いが起きる可能性が高い場合や、相続税の納税が大きくなることが予想される場合には、公証役場に行く前に専門家に相談することも大切です。 争いごとについての心配がある場合には、弁護士へ相談するとよいでしょう。 相続税についての心配がある場合には、税理士へ相談するとよいでしょう。
5.これだけは守りたい!遺言作成のポイント
A.遺留分に考慮する、遺留分とはなんでしょう?
例えば遺言にこんなことを書いたらどうなるでしょう?
「僕が死んだら、財産の全ては銀座のクラブのママに相続させる」
こんな遺言があれば、残された家族が生活を行っていくことが難しくなります。そこで民法は、「遺言によっても侵害することができない相続人の最低限の権利」である遺留分を定めているのです。
このため、遺留分を意識しないで遺言を作成してしまうと、遺留分を侵害された相続人は、相続が起きた後に家庭裁判所に対して、「遺留分減殺請求」という訴えをして、結局、争いごとの種になってしまいます。
絶対に財産を渡しくない相続人がいたとしても、遺留分に配慮した遺言を作成することが望まれます。
B.定期的に見直しを行う
遺言書は、形式を守れば何度でも書きなおしができ、一番最後の日付のものが有効となります。
財産の内容は年々変化していくでしょうから、不動産を売却した場合等は遺言内容と実際の資産内容が合わなくなることもあります。
このため、3年に一度といった期間を設けて、定期的な遺言内容の見直しも必要となります。
6.相続のプロが答える遺言についてのQ&A
Q.遺言の氏名は本名ではなく、ペンネームや芸名でもよいのですか?
A.遺言者が自署する氏名とは、「戸籍上の氏名と同一であることを 要せず、通称、雅号、ペンネーム、芸名、屋号などであっても、それによって遺言者 本人の署名であることが明らかになる記載であれば足りると解される」という判決例がありますが、できれば本名を記載した方が無用なトラブルを回避できます。
Q.公正証書遺言を作成したいのですが、証人2名が知り合いでいません。
A.証人については、公証役場へ相談すると、手配してくれます。証人は法定相続人ではなれないため、なかなか財産のプライベートな情報まで明るみなるので親族にお願いすることは難しいでしょう。公証役場へ証人手配を依頼すれば、1人あたり1万円程度の日当が生じますが、第三者で安全です。
Q.体調が悪くて公証役場へ行くことが難しいのですが、自宅にきてもらえるのでしょうか?
A.通常の1.5倍の費用と公証人の日当(1万円程度)と交通費を支払えれば、自宅や病院など所定の場所まで出張対応してくれます。
Q.公正証書遺言作成に必要な資料はどういったものがありますか?
A.以下のような書類が必要となります。
1.遺言者本人の印鑑登録証明書(3カ月以内に発行されたもの)1通
2.遺言者と相続人との続柄がわかる戸籍謄本(3カ月以内に発行されたもの)1通
3.遺言で財産を法定相続人以外の人に残したい場合には、その人の住民票や運転免許証等で等氏名・住所・生年月日が公的に確認できる書類
4.財産内容が分かる資料
ア 不動産の場合・・・土地・建物の登記簿謄本・固定資産評価証明書
イ 不動産以外の財産の場合・・・財産内容が確認できる書類(預金通帳や証券会社の取引レポート等)
※本記事は記事投稿時点(2011年3月21日)の法令・情報に基づき作成されたものです。
現在の状況とは異なる可能性があることを予めご了承ください。
※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。
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