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かわいい孫へ何かあげたい、そうだ教育資金にしよう!

2013/05/28

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1.非常に人気です

平成25年度税制改正により新設された教育資金の一括贈与の非課税制度ですが、制度開始初年度は約6万9,000人の人が利用し、4,900億円近い金額が贈与されました。その後も利用者と贈与金額は増え続け、非常に人気の高い税制となっています。

2.制度のおさらいをしましょう

(1)簡単に概要を説明します

この制度を簡単に説明すると「教育資金であれば、1,500万円までなら30歳未満である子や孫に一括贈与をしても贈与税はかけませんよ」というものです。
この制度が出来る前から教育資金については、その都度贈与をしていた場合には贈与税はかかりませんでした。この、その都度というのが重要で、例えば10年後にかかる予定である教育資金を、今贈与した場合にはその都度には該当しないため贈与税がかかってしまっていたのです。この制度の画期的なところは、将来の教育資金であっても贈与税はかけませんよというところです。

(2)教育資金の範囲を確認しましょう

この非課税制度の対象となる教育資金の範囲も確認しておきましょう。

  • 学校等に直接支払われる入学金、授業料、入園料、保育料、施設設備費、入学試験検定料、学用品の購入費、修学旅行費、給食費など
  • 学校等以外に直接支払われる下記の費用で通常必要と認められるもの
    • 学習塾やそろばんなどの教育に支払われるもの
    • 水泳や野球などのスポーツ、ピアノや絵画などの文化芸術その他教養向上のための習い事などの費用
    • 学校教育に必要な物品の購入費用
    • 通学定期代や留学の海外渡航費など(平成27年4月から)

令和元年7月1日以降は、子や孫が23歳になると、学校以外の教育や習い事に関する費用は一定の教育訓練を受講するためのものだけが非課税になります。

(3)子や孫の年齢・所得に制限があります

子や孫であればすべて非課税になるわけではありません。子や孫の年齢は30歳未満に限られます。50歳の息子が大学に通うと言い出して、今後4年間の授業料を一括贈与してくれと言われても贈与税は非課税となりませんので注意しましょう。

また、平成31年4月1日以降は、子や孫の前年分の所得が1,000万円を超える場合には非課税となりません。

(4)非課税額はどこに支払っても1,500万円?

1,500万円の非課税の対象となるものは、学校等に直接支払ったものに限ります。それ以外の費用の非課税枠は500万円となります。例えば、学習塾に支払った費用や学校等で使うもの(裁縫道具など)であっても業者に支払ったものについては500万円の非課税に該当します。

(5)贈与したおじいちゃんやおばあちゃんが死んでしまった場合

かわいい孫に教育資金1,000万円の贈与をした後すぐにおじいちゃんが亡くなってしまいました。このおじいちゃんの相続税の計算をする際にこの1,000万円はどのように取り扱えばよいのでしょうか。

贈与された教育資金を相続税の計算に含めるかどうかは、いつ贈与されたかによって決まります。

  • 平成31年3月31日までに贈与されたものは、相続税がかからない。
  • 平成31年4月1日~令和3年3月31日に贈与されたものは、贈与者が亡くなるまでの3年以内に贈与された部分が相続税の課税対象
  • 令和3年4月1日以降に贈与されたものは、全額相続税の課税対象。

ただし、贈与した人が亡くなるまでに教育資金として使った部分には課税されません。

また、子や孫が23歳未満の場合や、学校等に在学しているまたは教育訓練を受けている場合には、残額があっても課税されません(令和5年4月1日以降に贈与されたものについては、贈与した人の相続税の課税価格が5億円以下の場合に限られます)。

3.こんなところに注意しよう

教育資金一括贈与の非課税制度の概要を簡単に説明しましたが、この制度の注意点についても簡単に確認しておきましょう。

(1)子や孫が30歳になったときに贈与した金額が余っていたら?

子や孫が30歳になったときに、もし一括贈与された教育資金が余っていた場合にはどうなってしまうのでしょうか。例えば、15歳の時に孫が1,500万円の贈与を受けたとします。その後想定していたほど教育費がかからず30歳の時に500万円が余ってしまいました。

この場合、余った500万円に対しては贈与税がかかります。しかも、令和5年4月1日以降に贈与されたものについては、子や孫への贈与に通常適用される特例税率よりも割高な一般税率で課税されます。したがって、贈与は計画的に将来を見据えてから実施しましょう。

なお、令和元年7月1日以降は、子や孫が30歳になったときに学校等に在学している場合または教育訓練を受けている場合には、届出をすれば最長で40歳まで延長できます。

(2)争続には注意しましょう

孫が複数人いる場合に、長男の孫には1,000万円、長女の孫には500万円など差がついてしまったりすると長男と長女で相続争いに発展することもありえます。贈与をする際にはオープンかつ公平に実施するように注意しましょう。なお、長男の子供は3人、長女の子供は1人というように人数が異なるときは、子供ベースで公平にすべき(長男の子供3人に各500万、長女の子供1人に1,500万円)か、孫ベースで公平にすべき(長男の子供3人に各1,500万円、長女の子供1人に1,500万円)か、判断が難しい場面も出てきます。オープンに話し合って決めたほうが後々揉め事になりにくいでしょう。

(3)孫の可愛さで自分のことを忘れずに

この制度を使ってそれぞれの孫に数千万円の贈与をしてしまったことにより、自身の老後資金が足りなくなって、息子や娘家族に資金面で面倒を見てもらうようなことになっては本末転倒です。自身のライフプラン等も考えて計画的に贈与をしましょう。

4.適用期間

この制度は当初平成27年12月末までの期間限定の制度でしたが、期間の延長が繰り返されています。

令和5年現在、適用期間は令和8年3月31日までとなっています。

※本記事は記事投稿時点(2013年5月28日)の法令・情報に基づき作成されたものです。
現在の状況とは異なる可能性があることを予めご了承ください。

※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。

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