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被相続人の医療費は準確定申告で控除済でもさらに控除できる?相続税の債務控除について

亡くなった人の医療費は、相続税の申告で債務控除の対象になります。このほか、準確定申告(故人の所得税の申告)でも所得控除の対象になります。

準確定申告は相続税の申告より先に行いますが、準確定申告で所得から控除した医療費は、相続税の申告で債務控除することはできるのでしょうか。
これを正しく判断するには、その医療費を故人が生前に支払ったかどうかを確認する必要があります。

1.準確定申告とは

準確定申告とは、亡くなった被相続人の所得税の確定申告のことです。

亡くなった年の所得にも所得税がかかり、確定申告をしなければなりません。ただし、亡くなった人は自分で申告することができないため、相続人が代わりに申告します。

準確定申告については、下記の記事もあわせてご覧ください。
準確定申告とは?申告期限や手順・書類の書き方・不要なケースを税理士が解説

1-1.準確定申告が必要なケース

準確定申告が必要なケースは、被相続人が自営業や不動産賃貸をしていたなど生前に継続的に確定申告をしていた場合です。

不動産、株式の売却や満期保険金の受け取りなど、亡くなった年に財産の異動があった場合も準確定申告が必要になる場合があります。

このほか、生前に源泉徴収された所得税があった場合は、準確定申告を行うことで所得税が還付される可能性があります。

1-2.準確定申告が必要か調べる方法

被相続人に申告すべき所得があって準確定申告が必要かどうかを調べるには、被相続人が残した書類などを確認します。

生前に継続的に確定申告をしていたのであれば、自宅で申告書の控えや税務署からの郵便物が保管されているかもしれません。亡くなった年の財産の異動は預金通帳などで確認できるほか、源泉徴収の状況は源泉徴収票で確認できます。

国税庁ホームページの「確定申告特集」では、確定申告が必要な人を確認することができます。準確定申告についても条件は同じなので参考にしてください。
国税庁「確定申告特集」 確定申告の流れ・申告書の提出が必要な方

1-3.期限は4か月以内

通常の確定申告は翌年の2月16日から3月15日の間に行いますが、準確定申告は被相続人の死亡(相続の開始)を知った日の翌日から4か月以内に行います。納税の期限も同じです。

2.準確定申告が不要になるケース

準確定申告は、亡くなった人全員に申告の義務があるわけではなく、申告の必要がない場合もあります。
ここでは、準確定申告が不要になるケースをご紹介します。

なお、準確定申告が不要なケースであっても、準確定申告をすれば源泉徴収されていた所得税が還付される場合があります。

2-1.被相続人が年金受給者であった

被相続人が公的年金を受給していて、以下の条件の両方にあてはまる場合は、準確定申告は不要です。

  • 年金受給額が年間400万円以下
  • 年金以外の所得が年間20万円以下

2-2.被相続人が給与所得者であった

被相続人が会社員など給与所得者であって、以下の条件のすべてにあてはまる場合は、準確定申告は不要です。

  • 給与収入が年間2,000万円以下
  • 1か所だけから給与を受け取っていた
  • 給与所得・退職所得以外の所得が20万円以下

3.準確定申告の医療費控除

所得税の確定申告と同様に、準確定申告でも医療費控除ができます。

3-1.準確定申告で控除できる医療費の範囲

準確定申告で控除できる医療費は、死亡した日までに被相続人が負担したものに限られます

被相続人が死亡した後に相続人が支払ったものは対象になりません。

3-1-1.同一生計の相続人が負担した医療費は相続人の確定申告で控除

被相続人と同一生計であった相続人が被相続人の医療費を負担していた場合は、相続人の確定申告で医療費を控除することができます。

相続人でも生計が別であった場合は、確定申告で被相続人の医療費を控除することはできません。

3-2.控除の対象となる医療費の費目

準確定申告で医療費として控除できるものは以下のとおりです。

  • 医師、歯科医師による診療または治療の費用(健康診断の費用や医師への謝礼は除く)
  • 治療または療養に必要な医薬品の購入費(病気の予防や健康増進のためのものは除く)
  • 病院、診療所、介護施設などに搬送されたときの費用
  • 治療のために受けたマッサージ、指圧、針灸などの施術費用(治療に関係ないものは除く)
  • 保健師、看護師などによる療養上の世話に対する費用(家政婦に付添を依頼したときの付添料を含む)
  • 介護保険制度で提供された介護サービスの自己負担額
  • 通院費用、医療器具の購入費用、入院中の食事代
  • 6か月以上寝たきりで医師の治療を受けていた場合のおむつ代

なお、健康保険から支払われる高額療養費や、民間の医療保険の入院給付金などを受け取っている場合は、医療費から差し引きます。

3-3.控除の対象になるか判断が難しい医療費

入院や治療にかかった費用であっても、医療費控除の対象にならないものがあります。
控除の対象になるかどうかの判断が難しいものについて、例を示して解説します。

3-3-1.医療器具などの購入費用

コルセットなどの医療用器具や義手、義足、松葉づえなどの購入費用は、医師の診療や治療を受けるために直接必要なものに限り医療費控除の対象になります

3-3-2.差額ベッド代

本人や家族の都合だけで個室に入院した場合の差額ベッド代は、医療費控除の対象になりません

3-3-3.死亡診断書の発行費用

死亡診断書の発行費用は、治療に必要なものではないうえ、死亡の日までに被相続人が支払うものではないため、医療費控除の対象になりません

ただし、葬式費用として相続税の申告で債務控除することができます。

3-3-4.おむつ代

おむつ代は、6か月以上寝たきりで医師の治療を受けていた場合に医療費控除の対象になります
控除する場合は、医療機関が発行する「おむつ使用証明書」が必要です。

4.準確定申告で控除した医療費は相続税申告でも債務控除できる?

続いて、準確定申告で控除した医療費を相続税の申告で債務控除できるかどうかを確認します。
準確定申告で控除できる医療費は、死亡した日までに被相続人が支払った医療費です。

一方、相続税の申告で債務控除ができる医療費は、病院などに対する未払の医療費、つまり死亡した日までに被相続人が支払わなかった医療費です。

このように、準確定申告と相続税申告では控除できる医療費の範囲が異なるため、準確定申告で控除した医療費は相続税の債務控除の対象にはなりません

被相続人の医療費が、「準確定申告の医療費控除」と「相続税申告の債務控除」のどちらの対象になるかは、下の表にまとめています。

医療費を支払った人 被相続人 相続人
支払った日 死亡した日まで 死亡した日まで 死亡した日の翌日以後
準確定申告の医療費控除 ×(※) ×
相続税申告の債務控除 × ×
(※)被相続人と同一生計の相続人が負担した場合は、相続人の確定申告で医療費控除ができる。

5.準確定申告の手続きの手順

この章では、準確定申告の手続きの手順をご紹介します。
準確定申告は、被相続人に代わって相続人が税務署に申告書を提出して納税します。

5-1.相続人の代表を決める

相続人が2人以上いる場合は、連名で1枚の準確定申告書を提出します。相続人の代表を決めて、その人が申告書の作成や、税務署からの問い合わせへの対応を行います。

なお、各相続人が別々に準確定申告書を提出することもできますが、その場合は申告の内容を他の相続人に通知しなければなりません。

5-2.必要書類を用意する

準確定申告では、下記の書類を提出する必要があります。

  • 所得税の準確定申告書(第一表、第二表)
  • 所得税確定申告書の付表(死亡した者の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表)
  • 申告する人の本人確認書類(マイナンバー関係書類)

そのほか、必要に応じて下記の書類も提出します。

  • 源泉徴収票
  • 医療費控除の明細書(医療費の領収書)
  • 生命保険料・地震保険料の控除証明書
  • 還付金の受領に関する委任状

5-3.準確定申告の書類を作成する

準確定申告では、通常の所得税の確定申告書の様式(第一表、第二表)を使用します。
表題の「確定申告」の前に「準」の文字を書き足して、準確定申告であることを示します。

また、2人以上の相続人の連名で準確定申告を行う場合は、付表(死亡した者の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表)を添付します(※)。

準確定申告書の詳しい記入方法は、下記の記事をご覧ください。
準確定申告とは?申告期限や手順・書類の書き方・不要なケースを税理士が解説

(※)「e-Tax」で準確定申告を行う場合は、相続人が1人の場合でも付表を提出する必要があります。2人以上の連名で申告する場合は、各相続人が署名した「準確定申告の確認書」も必要です。
参考:所得税及び復興特別所得税の準確定申告のe-Tax対応について

5-4.申告書等を提出する

準確定申告書は、被相続人の住所地を管轄する税務署に提出します。
税務署に直接あるいは郵送で提出するほか、令和2年分以後は「e-Tax」で送信することもできます。

6.準確定申告をしなかった場合や期限が過ぎた場合はどうなる?

被相続人の死亡から4か月以内に準確定申告をしなかった場合や期限を過ぎて納税した場合には、「無申告加算税」「延滞税」が課されます。

6-1.無申告加算税

無申告加算税は、期限後の申告により納める税額に対して、下記の税率で課税されます。自主的に申告した場合は税率が低く抑えられています。

所得税額のうち 税務調査の事前通知の前に自主的に申告した場合 税務調査の事前通知を受けてから税務調査を受けるまでに申告した場合 税務調査を受けてから申告した場合
50万円以下の部分 5% 10% 15%
50万円を超える部分 15% 20%
【申告期限が令和6年1月1日以降の場合】
300万円を超える部分
25% 30%

(過去に所得税で無申告加算税または重加算税を課されたことがあり一定の要件にあてはまるときは、税率が10%加重される場合があります。)

申告期限から1か月以内に自主的に申告を行い、かつ期限内に税額の全額を納めているなど申告期限までに申告する意思が認められた場合は、無申告加算税は課税されません。

一方、証拠書類を偽装したなど特に悪質な場合は、無申告加算税に代えて重加算税(無申告の場合の税率40%)が課されます。

6-2.延滞税

延滞税は、本来の納付期限の翌日から納税した日までの日数に応じて税額が計算されます。

直近の延滞税の税率は下記のとおりです(いずれも令和4年1月1日~令和5年12月31日の割合です)。

  • 申告書の提出日の翌日から2か月を経過する日まで:年2.4%
  • 申告書の提出日の翌日から2か月を経過した日以後:年8.7%

(申告を期限内に行った場合は上記の「申告書の提出日」を「申告期限」に読み替えます。)

上記以外の期間の税率は、国税庁ホームページで確認することができます。
国税庁ホームページ 延滞税の割合

7.まとめ

被相続人の医療費のうち準確定申告で控除したものは、相続税の申告で債務控除することはできません。これは、準確定申告と相続税申告では控除できる医療費の範囲が異なるためです。

死亡した日までに被相続人が支払った医療費は準確定申告の医療費控除の対象であり、未払の医療費は相続税申告の債務控除の対象となります。

どちらの控除ができるかを判断するには、医療費をいつ誰が支払ったのかを明らかにする必要があります。


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