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準確定申告とは?必要かどうかの判断・期限・申告書の書き方を解説

準確定申告とは?必要かどうかの判断・期限・申告書の書き方を解説

準確定申告とは、年の途中で亡くなった人(被相続人)の所得税の確定申告を、相続人が代わりに行うことです

家族が亡くなったとき、相続の手続きと並行して「準確定申告」が必要になる場合があります。なじみのない手続きであり、「自分は対象になるのか」「何から手をつければよいのか」と戸惑う人も多いのではないでしょうか。

準確定申告には「被相続人の死亡から4ヶ月以内」という短い期限が設けられており、対応が遅れると加算税や延滞税が発生する可能性もあります。

この記事では、準確定申告の基本から、必要かどうかの判断基準、提出の期限、申告書の書き方や必要書類まで、初めて手続きを行う人にもわかりやすく解説します。

この記事の目次 [表示]

1.準確定申告は亡くなった人の確定申告

準確定申告とは、年の途中で亡くなった人(被相続人)に代わって、相続人が所得税の確定申告を行う手続きのことです

生きている間に事業所得や不動産所得があった人、あるいは年金や給与の収入が一定額を超えていた人は、本来であれば自分で確定申告をする必要があります。しかし、年の途中で亡くなった場合は本人が申告できないため、相続人が代わりに手続きを行わなければなりません。

参考:国税庁「No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)

なお、1年以上の予定で海外に移住する場合も準確定申告が必要となるケースがありますが、この記事では「被相続人の死亡による準確定申告」に絞って解説します。

1-1.準確定申告の手続きができる人

準確定申告の手続きができる人は、相続人と包括受遺者(遺言書により割合を定めて遺贈を受ける人)です。

誰が相続人にあたるかの詳しい解説は、下記の記事をご覧ください。

参考:法定相続人とは?範囲・順位・法定相続分・相続税の計算方法を解説

なお、ここから先は、相続人と包括受遺者をまとめて「相続人」と呼ぶことにします。

1-2.通常の確定申告との違いは「申告する人・対象期間・提出先」

通常の確定申告と準確定申告は、次の3つの点が異なります。

項目通常の確定申告準確定申告
申告する人本人相続人(代表者または各人)
所得の対象期間その年の1月1日~12月31日の所得その年の1月1日~死亡日の所得
提出先申告者本人の住所地の税務署被相続人の死亡当時の住所地の税務署

準確定申告の対象となるのは、被相続人が亡くなった年の1月1日から死亡日までの所得です。たとえば6月15日に亡くなった場合は、その年の1月1日から6月15日までの所得について申告することになります。

なお、1月1日から3月15日までの間に、前年分の確定申告をしないまま亡くなった場合は、前年分と本年分をあわせた2回分の準確定申告が必要になります。

準確定申告は相続人が行いますが、提出先は「相続人の住所地」ではなく「被相続人の住所地」の税務署である点に注意が必要です。遠方に住んでいる相続人が手続きをする場合でも、被相続人の住所地の税務署に提出しなければなりません。

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2.準確定申告が必要なケースと不要なケース

準確定申告は、「絶対に必要なケース」「義務ではないものの申告をした方がよいケース」「不要なケース」があります。どれにあてはまるかは、被相続人の所得の種類や金額によります。

ここでは、準確定申告が必要かどうかの代表的な判断基準をご紹介します。

2-1.準確定申告が絶対に必要なケース

準確定申告が絶対に必要なケースは、「被相続人が生前に確定申告をしていた場合」や「被相続人が死亡した年に特別な事情がある場合」などです

2-1-1.被相続人の死亡した年分の確定申告義務がある場合

被相続人が以下のいずれかのケースに該当し、死亡した年分について確定申告をする義務がある場合は、準確定申告が必要です。

  • 個人事業を営んでいた
  • 不動産を貸し出していた(アパート、駐車場など)
  • 源泉徴収の対象となる給与以外の副収入(必要経費を除く)が20万円を超えていた
  • 2か所以上から給与を受け取っており、年末調整をされなかった給与の収入金額と副収入(必要経費を除く)の合計額が20万円を超えていた
  • 給与の年間収入金額が2,000万円を超えていた
  • 公的年金等の収入金額が400万円を超えていた
  • 同族会社の役員で会社から利子や賃料を受け取っていた

被相続人が生前に継続的に確定申告をしていた場合は、自宅で申告書の控えや税務署からの郵便物が保管されているかもしれません。遺品にこれらのものがないか確認するとよいでしょう。

なお、被相続人が個人事業を営んでおり消費税の課税事業者であった場合は、消費税の準確定申告も必要です

消費税の準確定申告の期限は、所得税の準確定申告と同じく、相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内です。詳しくは下記の記事をご覧ください。

参考:消費税の準確定申告手続きとは

2-1-2.被相続人が死亡した年に特別な事情がある場合

被相続人が生前に確定申告をしていなくても、死亡した年に特別な事情による以下のような所得がある場合は、準確定申告が必要になることがあります。

  • 一時所得または雑所得の対象となる保険金を受け取った(相続税、贈与税の対象となる場合を除く)
  • 不動産を売却して所得が生じた
  • 株式を売却して所得が生じた(源泉徴収されている場合を除く)

被相続人が一時所得の対象となる保険金(満期一時金など)を受け取っていた場合、保険金の受取額から支払った保険料の総額を引いた残額が50万円を超えると準確定申告が必要です。

2-2.準確定申告をしたほうがよいケース

準確定申告が絶対に必要なケースにあてはまらなくても、還付を受けられる可能性がある場合は、準確定申告をした方がよいでしょう。たとえば、以下のようなケースです。

  • 多額の医療費を支払っていた場合
  • 各種の所得控除を適用できる場合

還付の申告は権利であって義務ではないため、申告しなかったことで罰せられることはありません。しかし、不要だからといって申告をしないでいると、本来受け取れるはずの還付金を逃してしまうかもしれません。

2-2-1.多額の医療費を支払っていた場合

被相続人が亡くなった年に多額の医療費を支払っていた場合は、医療費控除を適用して準確定申告をすることで、税金の還付を受けられる可能性があります。

医療費控除を適用できる要件は以下のとおりです。

  • 支払った医療費の自己負担額が年間10万円(総所得が200万円未満の人は総所得の5%)を超える
    (上記の医療費は、生命保険の入院給付金、健康保険の高額療養費・家族療養費・出産育児一時金などは差し引く)

もし被相続人の死亡日までの医療費の領収書が手元にあれば、インターネットで公開されている「医療費控除金額計算シミュレーター」などを使って、還付金を計算してみることをおすすめします。

2-2-2.各種の所得控除を適用できる場合

準確定申告をして以下のような所得控除を適用できれば、還付を受けられる可能性があります。

  • 配偶者控除(被相続人に配偶者がいる場合)
  • 扶養控除(被相続人に扶養家族がいる場合)
  • 雑損控除(被相続人の資産が自然災害などのトラブルに見舞われた場合)
  • 寄附金控除(被相続人が一定の寄附金を支払っていた場合) など

2-3.準確定申告が不要なケース

ここまで解説した準確定申告が必要なケースのいずれにも該当しない場合は、準確定申告は不要です。たとえば、被相続人が以下のようなケースにあてはまる場合です。

  • 給与の年間収入金額が2,000万円以下
  • 給与以外の副収入(必要経費を除く)が20万円以下
  • 公的年金等の収入金額が400万円以下で、かつ公的年金等以外の所得金額が20万円以下 など

被相続人が給与所得者であった場合、企業側(給与支払者)が源泉徴収をして年末調整をするため、準確定申告は不要です。また、給与以外の副収入や公的年金等の収入金額が一定額以下の場合も、準確定申告は不要です。

しかし先ほど解説したとおり、還付を受けられる可能性がある場合は、準確定申告を行うことをおすすめします。

2-4.準確定申告が必要かどうかモデルケースで解説

準確定申告が必要かどうか判断基準を理解しやすいように、モデルケースをもとに解説します。

  • 家族構成:父、母、子2人
  • 父にはアパートの賃貸による不動産所得がある
  • 母の収入は公的年金のみで年間200万円である
  • 子2人は独立した生計を営んでいる

2-4-1.父が死亡したケース(申告必要)

父にはアパートの賃貸による不動産所得(家賃収入から必要経費を差し引いた所得)があったため、年の途中で父が亡くなった場合は準確定申告が必要です

不動産所得がある場合は、青色申告決算書または収支内訳書もあわせて用意する必要があります。申告を怠ると、加算税や延滞税が課される可能性があるため注意しましょう。

2-4-2.母が死亡したケース(申告不要)

年間200万円の公的年金のみを受けていた母が年の途中で亡くなった場合は、準確定申告は原則として不要です

ただし、母が自ら高額の医療費を支払っていた場合は、医療費控除を適用して還付を受けられる可能性があります。念のため医療費を確認しておくとよいでしょう。

3.準確定申告の期限は「相続開始から4ヶ月以内」

準確定申告の期限は、「相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内」です

多くの場合、「相続の開始(=被相続人の死亡)の日」と「相続の開始があったことを知った日」は同じであり、死亡日の4ヶ月後の応当日が準確定申告の期限となります。

3-1.準確定申告の期限を具体例で確認

たとえば、被相続人が6月15日に死亡して、法定相続人が同じ日にそのことを知った場合は、準確定申告の期限は10月15日となります。

6月15日に死亡した場合の準確定申告の期限

また、被相続人が12月15日に死亡した場合は、準確定申告の期限は翌年の4月15日となります。

この場合、通常の確定申告の期限(翌年の3月15日)は過ぎてしまいますが、4月15日までに申告すれば問題はありません。

12月15日に死亡した場合の準確定申告の期限

3-2.前年分の確定申告前に死亡したときの準確定申告は2回分必要

被相続人が前年分の確定申告をする前に死亡した場合は、前年分と本年分をあわせた2回分の準確定申告が必要になります。この場合、前年分の準確定申告の期限も、相続開始を知ってから4ヶ月以内となります。

たとえば、被相続人が前年分の確定申告をしないまま2月15日に死亡した場合は、前年と本年の所得について準確定申告が必要となります。

準確定申告の期限は6月15日となり、前年分については通常の確定申告の期限(3月15日)を過ぎてしまいますが、問題はありません。

前年分の確定申告前に死亡した場合の準確定申告の期限

3-3.期限を過ぎた場合のペナルティ(延滞税・無申告加算税)

準確定申告が必要であるにもかかわらず申告期限を過ぎた場合、本来の税額に加えて「延滞税」と「無申告加算税」が課される可能性があります

期限を過ぎた場合のペナルティ(延滞税・無申告加算税)

延滞税は納税の期限を過ぎたことに対するペナルティで、期限を過ぎた日数に応じて日割りで加算されます。無申告加算税は期限内に申告をしなかったことに対するペナルティで、原則として納付すべき税額に対して15%~30%が加算されます。

「申告が必要だとは知らなかった」という場合でもペナルティの対象となるため、準確定申告が必要と見込まれる場合は早めに準備を始めることが大切です。

下記の記事では、相続税の延滞税や加算税について解説していますが、所得税についても共通する事項が多いので参考にしてください。

参考:相続税の延滞税・加算税はいくら?税率・計算方法・免除特例も解説

3-4.準確定申告の期限を過ぎたら還付申告はできない?

準確定申告は不要であるものの、還付を受けるために準確定申告をしたい方もいらっしゃるでしょう。

準確定申告の期限は相続発生から4ヶ月以内ですが、この期限を過ぎても、申告の対象となる所得が生じた翌年1月1日から5年以内であれば還付申告は受け付けてもらえます

ただし、還付金は相続税の課税対象になります。相続税の申告が必要と見込まれる場合は早めに還付を受けるようにしましょう。具体的には、相続税の申告期限(相続発生の翌日から10ヶ月以内)までに、還付申告を完了させておくことが望ましいです。

(還付金と相続税については、「6-3.戻ってきた還付金は「相続財産」になる!申告漏れに注意」で解説します。)

4.準確定申告の具体的な手続き

次に、準確定申告の手続きの流れや必要書類、提出先について解説します。

4-1.準確定申告手続きの流れ

準確定申告の手続きの流れは、以下のとおりです。

  • ①誰が準確定申告をするのかを決める
  • ②必要書類を収集する
  • ③確定申告書等を作成する
  • ④確定申告書等を税務署に提出する
相続税の準確定申告手続きの流れ

ここでは、相続人が2人以上いる場合の手続きの進め方や、準確定申告に必要な書類などについて解説します。確定申告書等の書き方については、次章で解説します。

4-2.相続人が2人以上いる場合の手続きの進め方

相続人が2人以上いる場合の準確定申告は、原則として全員が共同で行うことになります。

スムーズに手続きを進めるためにも、相続人の中から代表者を決めることをおすすめします。代表者を決めずに手続きを進めると、納税額の負担や還付金の受け取りをめぐって後でトラブルになることもあります。

4-2-1.原則として相続人全員が連名で1通の申告書を提出

相続人が2人以上いる場合の準確定申告は、原則として相続人全員の連名で1通の申告書を作成し、提出します。多くの場合、相続人の代表者が中心となって手続きを進めます。

ただし、事情により各相続人が別々に申告することもできます。この場合は、申告した内容を他の相続人に通知しなければなりません。

4-2-2.納税額と還付金は法定相続分または指定相続分で分ける

相続人が2人以上いる場合、準確定申告で納める税額は法定相続分または指定相続分(遺言で指定された割合)に応じて負担します。還付を受ける場合も、各人の法定相続分または指定相続分に応じて受け取ります。

納税額や還付金を分ける割合や分けた後の各人の金額は、「所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表」に記入します。

4-2-3.代表者が還付金をまとめて受け取る場合は委任状が必要

相続人の代表者が全員の還付金をまとめて受け取る場合は、他の相続人からの委任状が必要になります

委任状には代表者以外の相続人全員が記名します。

準確定申告の委任状

引用:国税庁「委任状(準確定申告用)

4-3.準確定申告の必要書類

準確定申告に必要な書類は、以下のとおりです。

準確定申告の必要書類

  • 準確定申告書
  • 所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表
    (相続人が2名以上の場合(e-taxで申告する場合は相続人が1名の場合でも必要))
  • 準確定申告の確認書
    (相続人が2名以上、かつe-taxで申告する場合)
  • 被相続人の控除証明書
    (生命保険料控除、社会保険料控除などを受ける場合)
  • 被相続人の給与や年金の源泉徴収票
  • 医療費控除の明細書
    (医療費控除を受ける場合に被相続人の医療費の領収書などをもとに作成)
  • 委任状
    (相続人が2人以上で、還付金を代表者が一括で受け取る場合)

給与や年金の源泉徴収票は、準確定申告の必要書類を作成する際に必要ですが、原則として提出は不要です。

このほか、申告する人のマイナンバー関係書類(本人確認書類)の添付も必要となり、複数の相続人の連名で申告する場合は、全員分のマイナンバー関係書類が必要です

マイナンバーカード(個人番号カード)がある場合は、両面のコピーを添付します。マイナンバーカードがない場合は、「番号確認書類」(通知カードやマイナンバーが記載された住民票の写し)と「身元確認書類」(運転免許証やパスポートなど)を組み合わせてコピーを添付します。

被相続人の所得の状況によっては、上記以外の書類が必要になることがあるため、実際の手続きでは個別に確認することをおすすめします。

4-4.準確定申告書の提出先

準確定申告書は、被相続人の死亡当時の住所地の税務署に提出します。準確定申告をする相続人の住所地の税務署ではないため、間違えないよう注意しましょう。

住所地の税務署は、税理士法人チェスターの「管轄税務署を検索」で調べることができます。

税務署に直接あるいは郵送で提出するほか、e-Tax(国税電子申告・納税システム)で提出することもできます。

参考:【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス)「個人でご利用の方

5.準確定申告書や付表の書き方【記載例つき】

続いて、準確定申告書・付表の書き方を解説します。

準確定申告専用の申告書の様式はないため、「通常の確定申告書の様式」を使用します

準確定申告書の「第一表」「第二表」は、相続人が1人の場合と2人以上の場合で書き方が異なります。また、相続人が2人以上の場合は「準確定申告書付表」も作成する必要があります。

準確定申告書や付表の書き方

確定申告書の様式や書き方は、国税庁ホームページから該当する年のものを確認することができます。

5-1.【注意】準確定申告書は確定申告書等作成コーナーでは作成できない

通常の確定申告では、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使ってオンラインで申告書を作成することができます。

しかし、準確定申告書は「確定申告書等作成コーナー」では作成できません。この章では紙の申告書に記入することを前提に解説します。

準確定申告書と準確定申告書付表の詳しい書き方は、国税庁の「記載要領」も参照してください。

5-2.相続人が1人の場合

相続人が1人の場合は、住所・氏名欄に被相続人と相続人の住所・氏名を二段書きで記入します。

5-2-1.準確定申告書第一表の書き方

準確定申告書第一表の書き方

(国税庁「申告書第一表・第二表【令和7年分用】」をもとに弊社にて加工)

  • 準確定申告であることを示すため、表題に「準確定」と記入
  • 住所と氏名の欄は被相続人と相続人の両方について記入(上段に被相続人、下段に相続人の住所・氏名を記入)
  • 上の余白には相続人のマイナンバーと被相続人の死亡年月日を記入
  • 被相続人のマイナンバーは不要(空白にしておく)
  • その他の記入事項は通常の確定申告書と同様

準確定申告書第一表の右下には、「還付される税金の受取場所」という項目がありますが、還付を受ける場合は、ここに相続人名義の口座番号等を記入します。

準確定申告書第一表の書き方

(国税庁「申告書第一表・第二表【令和7年分用】」をもとに弊社にて加工)

5-2-2.準確定申告書第二表の書き方

準確定申告書第二表の書き方

(国税庁「申告書第一表・第二表【令和7年分用】」をもとに弊社にて加工)

  • 準確定申告であることを示すため、表題に「準確定」と記入
  • 住所と氏名の欄は被相続人と相続人の両方について記入(上段に被相続人、下段に相続人の住所・氏名を記入)
  • その他の記入事項は通常の確定申告書と同様

なお、1月2日から翌年1月1日までに死亡した人に住民税は課税されないため、住民税に関する事項を記入する必要はありません。

5-3.相続人が2人以上の場合

相続人が2人以上いる場合は、「準確定申告書第一表」「準確定申告書第二表」のほか、「準確定申告書付表」も作成する必要があります。

「第一表」「第二表」には被相続人の氏名や住所などを記入し、相続人それぞれの情報は「付表」にまとめて記入します。「付表」には、相続人全員の氏名・住所・相続分の記入欄に加え、代表者を指定する欄もあります。

5-3-1.準確定申告書第一表の書き方

準確定申告書第一表の書き方

(国税庁「申告書第一表・第二表【令和7年分用】」をもとに弊社にて加工)

  • 準確定申告であることを示すため、表題に「準確定」と記入
  • 住所と氏名の欄は被相続人のみを記入(氏名の前に「被相続人」と明記)
  • 被相続人のマイナンバーは不要(空白にしておく)
  • その他の記入事項は通常の確定申告書と同様

相続人の住所・氏名・マイナンバーなどは、「準確定申告書付表」に記入するため、「準確定申告書第一表」には記入しません。

5-3-2.準確定申告書第二表の書き方

準確定申告書第二表の書き方

(国税庁「申告書第一表・第二表【令和7年分用】」をもとに弊社にて加工)

  • 準確定申告であることを示すため、表題に「準確定」と記入
  • 住所と氏名の欄は被相続人のみを記入(氏名の前に「被相続人」と明記)
  • その他の記入事項は通常の確定申告書と同様

なお、1月2日から翌年1月1日までに死亡した人に住民税は課税されないため、住民税に関する事項を記入する必要はありません。

5-3-3.準確定申告書付表の書き方

準確定申告書付表の書き方

(国税庁「死亡した者の  年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表(兼相続人の代表者指定届出書)」をもとに弊社にて加工)

  • 被相続人の住所、氏名、死亡年月日を記入
  • 納める税金または還付される税金の総額を記入
  • 相続人の代表者を定めるときはその人の氏名を記入
  • 遺産相続で限定承認(※)をしている場合は「限定承認」の文字を○で囲む
  • 相続人全員の住所、氏名、マイナンバーなど必要事項のほか、相続割合(相続分)、相続財産の価額も記入
  • 各人の納付税額または還付金額を計算して記入
  • 還付を受ける場合は銀行口座など受け取り方法を指定

※ 限定承認は、相続した財産の範囲内で被相続人の債務を引き継ぐ相続の方法です

なお、この様式ではマイナンバーが他の相続人に知られてしまいます。マイナンバーを他の相続人に知られたくない場合は、他の相続人とは別に準確定申告書と付表を提出することもできます。

5-4.e-Tax(電子申告)を利用する手順と注意点

準確定申告書は、e-Tax(国税電子申告・納税システム)で提出することもできます。

ただし、通常の確定申告とは異なり「e-Taxソフト」を利用しなければならないほか、相続人が1人の場合でも「準確定申告書付表」の提出が必要となります。

相続人が2人以上いる場合は、相続人が個別に手続きを行うことができず、相続人の代表者が行うことになります。この場合、各相続人が代表者に委託する旨を記載した「準確定申告の確認書」を提出する必要があります。

準確定申告の確認書

引用:国税庁「準確定申告の確認書

相続人の代表者が還付金をまとめて受け取るときに必要な「委任状」も、e-Taxで送信できます。

5-5.所得控除できるのは死亡時までに支払ったものだけ 

準確定申告で医療費控除や社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除などの所得控除を受けるときは、被相続人が死亡するまでに支払いを済ませたものが対象になります。

配偶者控除や扶養控除など人的控除については、被相続人が死亡した日の現況で適用を判断します。控除額の月割計算は行いません。

6.準確定申告は「相続税」にも影響する!節税と注意点

準確定申告は、のちに行う相続税の申告にも影響することがあります。ここでは、準確定申告が相続税申告に及ぼす影響について解説します。

6-1.【注意】準確定申告と相続税申告の両方が必要なケースもある

準確定申告は「亡くなった人の所得」について申告する手続きです。一方、相続税申告は「相続人が相続した財産」について申告するものであり、まったく異なる手続きです。

相続税の基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える財産があり、不動産の賃貸経営や個人事業を行っていた人が亡くなった場合は、準確定申告と相続税申告の両方が必要なケースが多くなります

相続税の申告期限は、「相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内」です。申告が必要であれば早めに準備を始めましょう。

6-2.準確定申告で納税した金額は「相続財産からマイナス」して節税できる

準確定申告で納税した金額は、相続税の計算上、相続財産の価額から差し引くことができます。これにより、相続税を節税することができます。

被相続人が生前に納めるべきであった所得税のうち、死亡時点でまだ納めていなかった金額は、「被相続人の債務」となります。相続税は、被相続人の財産から債務を差し引いた残りの金額に対して課税されるため、準確定申告で納税した金額はそのまま相続税の課税対象額を圧縮する効果があります。

なお、準確定申告で納税すべき金額は、申告書を作成してはじめて確定するため、相続税申告書を作成するより先に準確定申告を済ませるようにしましょう。

6-3.戻ってきた還付金は「相続財産」になる!申告漏れに注意

準確定申告をして受け取った還付金は、相続税の課税対象になります

還付金は被相続人の死亡後に相続人が受け取るものですが、還付を受ける権利は被相続人が存命のうちからあると考えられるため、還付金は被相続人の財産として相続税の課税対象となります。

還付だからといって準確定申告を後回しにしていると、被相続人の財産の金額が確定しないまま相続税申告を行うことになりかねません。相続税申告が必要な場合は、早めに還付を受けるか還付金の見込み額を把握しておくことをおすすめします。

なお、還付金と一緒に受け取る「還付加算金」(還付が完了するまでの日数に応じた利息相当額)は被相続人の財産ではなく相続税の課税対象にはなりません。相続人のその年の所得(雑所得)となります。

6-4.還付金の受取人は誰?遺産分割協議書への記載ポイント

準確定申告をして受け取った還付金は、原則として法定相続分(遺言がある場合は遺言で指定された割合)に応じて、相続人それぞれが受け取ります。

ただし、実務では多くの場合、相続人の代表者が還付金をまとめて受け取り、遺産分割協議の中で最終的な取り分を調整します。この場合、代表者が一括で受け取るためには相続人全員の委任状が必要ですが、それとは別に、遺産分割協議書にも還付金の扱いを明記しておくことをおすすめします

たとえば、遺産分割協議書に「還付金○○円およびこれに付随する還付加算金は、相続人△△が取得する。」というように記載します。このような記載がないと、後になって受け取り済みの還付金の扱いをめぐって相続人同士で認識の違いが生じたり、相続税申告の際に誰の取得財産として計上すればよいかわからなくなったりすることがあります。

7.準確定申告は相続税への影響も考慮して対応を

ここまで、亡くなった人の所得を申告する「準確定申告」について解説しました。

準確定申告は期限が4ヶ月と短く、必要書類の収集や申告書の作成に手間がかかります。加えて、相続財産が基礎控除額を超える場合は、相続税申告もあわせて行わなければなりません。

また、準確定申告の納税額は相続財産からマイナスできる一方、還付金は相続財産に加算するなど、準確定申告は相続税申告にも影響を及ぼします。

準確定申告と相続税申告の両方が必要な場合は、相続税専門の税理士に相談することをおすすめします。税理士に相談することで、期限内に漏れなく手続きを進められるでしょう。

7-1.「税理士法人チェスター」へご相談を

税理士法人チェスターは、年間3,000件以上の相続税申告実績を誇る、相続税専門の税理士法人です。相続税申告のほか、準確定申告もあわせてご依頼いただけます。

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