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耕作された農地は小規模宅地等の特例を受けることができない
亡くなった人(被相続人)が農業をしていた場合、自宅のほかに農地も相続することになります。耕作された農地は小規模宅地等の特例を受けることができるのでしょうか。
1.耕作された農地は小規模宅地の特例を受けられない
小規模宅地等の特例は、被相続人が居住していたか事業を行っていた土地について、相続税を計算するための評価額を減額することができるものです。
特例を受ける前提として、その土地に建物や構築物があることが必要です。たとえば、未舗装の青空駐車場は、建物や構築物がないため、事業に使われていたとしても特例を受けることができません。
農業も事業ではあるものの、耕作された農地は小規模宅地等の特例を受けることができません。温室などの建物や暗渠などの構築物があっても、その土地が耕作に使用されていたのであれば、その土地は農地になり、小規模宅地等の特例を受けることができません。
農地には相続税の納税猶予の特例があります。農地に対する相続税の納税猶予の特例については、「農地を相続したら絶対に使いたい「納税猶予」とは」をご覧ください。
2.農機具置場や農作業場があれば小規模宅地の特例を受けられる
農業用耕運機、トラクター、農機具などを収納するための農機具置場や、農作業場などの建物がある土地であれば、「特定事業用宅地等」として小規模宅地等の特例が受けられます。
(1) 特定事業用宅地等の特例
特定事業用宅地等の特例では、400㎡までの部分について、土地の評価額を80%減額することができます。特例を受けるためには、土地を相続した人が相続税の申告期限(一般的には被相続人が亡くなってから10か月以内)までに事業を引き継ぎ、かつその土地を保有していることが必要です。
また、被相続人と同一生計だった親族が事業を行っていた場合でも、その親族が相続の前から申告期限まで引き続き事業を行って、申告期限までその土地を保有していれば、特例を受けることができます。
【例】相続した土地の面積が500㎡で、評価額が1,000万円の場合。
相続した土地には建物があり、農機具置場・農作業場として使用していた。
特例を受けるための要件はすべて満たしているものとする。
相続した土地のうち400㎡だけが特定事業用宅地等として特例の対象となります。
土地の課税価格は下記の計算によって360万円になります。
1,000万円-1,000万円×400㎡÷500㎡×80%=360万円
(2) 自宅に対する特例との併用
農機具置場や農作業場の土地と自宅の土地の両方を相続するときは、その両方について小規模宅地等の特例を受けることができます。
農機具置場や農作業場の土地は「特定事業用宅地等」として400㎡までの部分について、自宅の土地は「特定居住用宅地等」として330㎡までの部分について特例が受けられ、土地の評価額を80%減額することができます。それぞれの限度面積の上限まで特例を受けると、最大で730㎡が減額の対象となります。
自宅の土地で特定居住用宅地等の特例を受ける場合は、相続人が誰であるかによって要件が異なります。被相続人の配偶者であれば無条件に受けられますが、被相続人と同居していた親族であれば、相続税の申告期限までその土地を保有し、そこに居住することが必要です。また、被相続人と別居していた親族が相続する場合は、相続税の申告期限までその土地を保有するほか、被相続人に配偶者や同居の親族がいなかったなどの要件が加わります。
(3) 特例を受けるための手続き
これらの特例を受けるためには、相続税の申告期限までに、相続税の申告書と一定の書類を税務署に提出します。なお、特例を受けた結果、相続税の納税額が0になった場合でも、特例を受けることの意思表示として相続税の申告書と一定の書類を提出する必要があります。
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