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【借地権の評価方法】相続税評価額はいくら?計算方法や借地権割合の調べ方
「借地権の評価額はどうやって計算するの?」
「借地権割合はどこで確認するの?調べ方は?」
これらは、相続財産に借地権が含まれている場合に、法定相続人のみなさんがまず直面する疑問です。
結論からいえば、借地権の相続税評価額は、「自用地評価額×借地権割合」で計算できます。
しかし、地代水準・権利金の有無・契約形態によって評価額が大きく変わり、誤った判断により申告額が数百万円単位で変動することもあります。
この記事では、借地権の評価方法、借地権割合の調べ方、評価が変動する5つの典型ケース、法人借地の特殊ルールまで、相続税専門の税理士法人チェスターが実務に沿ってわかりやすく解説します。
1.借地権とは?評価方法の基礎をわかりやすく解説
借地権とは、建物の所有を目的として他人の土地を使う権利のことです。
借地借家法第2条では、借地権を「建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権」と定義しています。
そのため、借地権付きの土地は、以下のような構造で成り立っています。
相続が発生した場合、借地権は土地そのものではなく、土地を使う権利(財産)として扱われるため、借地権の相続税評価額を計算しなければなりません。
本記事では、借地人(借地権を持つ方)のために、借地権そのものの評価方法を中心に解説します。
底地(地主側)の評価方法については、「底地の評価方法とは?底地を相続するメリット・デメリット・よくあるトラブルも解説」をご覧ください。
1-1.「地上権」と「土地の賃借権」の違い
借地権の評価方法を理解するためには、「地上権」と「賃借権」の違いを押さえなければなりません。
地上権とは「他人の土地において工作物又は竹木を所有するためその土地を使用する権利(民法第265条)」のことで、土地の賃借権とは「他人所有のものを賃料を支払うことにより自由に使うことができる権利(民法第601条)」のことを指します。
両者は法律上の性質が大きく異なるため、借地権の評価方法にも影響します。
| 地上権 | 土地の賃借権 | |
|---|---|---|
| 権利の性質 | 物権(物に対する権利) | 債権(人に対する権利) |
| 地代 | 不要の場合あり | 必要 |
| 譲渡・転貸 | 自由 | 地主の承諾が必要 |
| 登記 | 可能 | 原則不可(建物登記で対抗) |
| 実務 | 鉄道や高速道路 | 一般住宅や店舗 |
実務においては、「借地権=建物所有を目的とする土地の賃借権」として評価するのが原則です。
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借地権の評価は専門性が高く、例外的な取り扱いも数多くあります。
ご自身のケースが複雑だと感じた場合は、早めに税理士に相談されることをおすすめします。
2.借地権は「普通借地権」と「定期借地権」の2種類がある
借地権には、「普通借地権」と「定期借地権」の2種類があります。
一般的な住宅・店舗・事務所で使われる借地の多くは「普通借地権」であり、相続税評価の中心となるのもこの普通借地権です。
なお、定期借地権には事業用定期借地権などの特殊類型もあり、契約内容によって評価方法が大きく変わります。専門性が高くなるため、必ず税理士に相談しましょう。
2-1.普通借地権とは
普通借地権とは、契約更新を前提とした一般的な借地権です。
住宅・店舗・事務所など、日常的な借地のほとんどがこの普通借地権に該当します。
本記事で解説する借地権評価は、原則として普通借地権を前提としています。
2-2.定期借地権とは
定期借地権は、契約期間を明確に定めた借地権です。
期間満了時には更地で返還することが前提となるため、普通借地権より地主の権利が強くなります。
| 内容 | |
|---|---|
| 一般定期借地権 | 期間50年以上(更新なし) |
| 事業用定期借地権 | 事業用建物向け、期間10年以上50年未満 |
| 建物譲渡特約付借地権 | 建物を譲渡する特約付きの特殊類型 |
| 一時使用目的 | 仮設事務所など(借地権として評価しない場合あり) |
定期借地権は、権利金の有無・残存期間・契約内容によって評価が大きく変わります。
実務では契約書の確認が不可欠であるため、専門家である税理士への相談を強くおすすめします。
3.借地権の相続税評価額の計算方法と借地権割合の調べ方
借地権(普通借地権)の相続税評価額は、以下の計算式で算出されます。
=自用地評価額×借地権割合
自用地評価額とは、その土地を何の制約もなく、「自分の土地」として使用する際の評価額です。
自用地の評価方法は、その土地が「路線価地域」か「倍率地域」かによって異なります。また、借地権割合の調べ方もどちらに該当するかによって異なります。
まずは、借地権が設定されている土地に路線価が設定されているかどうかを確認し、路線価があれば路線価方式、路線価がなければ倍率方式で評価するのが基本です。
参考:借地権割合とは?調べ方・相続税評価の計算方法をわかりやすく解説
3-1.路線価地域にある借地権の場合
路線価地域では、国税庁「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」を使って自用地評価額を計算します。
=(1㎡あたりの路線価×補正率※)×地積
※奥行価格補正・側方路線影響加算などの補正率
路線価図には、路線価の横にA~Gのアルファベット記号が付されています。
この記号が借地権割合を示しており、A(90%)・B(80%)・C(70%)・D(60%)・E(50%)・F(40%)・G(30%)と定められています。
【出典:国税庁「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」を加工して作成】
相続税路線価の調べ方や見方については、以下のページで詳しく解説しています。
参考:【相続税路線価とは】国税庁路線価図の調べ方・見方・計算方法・減額補正について
3-2.倍率地域にある借地権の場合
倍率地域とは、路線価が設定されていない地域のことです。
この場合は、市区町村が算定する固定資産税評価額に、国税庁「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で公表されている評価倍率を乗じて自用地評価額を計算します。
=固定資産税評価額×評価倍率
なお、倍率地域の借地権割合は評価倍率表に記載されており、路線価地域と同様にA(90%)・B(80%)・C(70%)・D(60%)・E(50%)・F(40%)・G(30%)の区分で定められています。
【出典:国税庁「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」を加工して作成】
評価倍率の調べ方については、以下のページで詳しく解説しています。
参考:倍率地域の相続税はいくら?倍率表の見方・評価の計算方法を解説
3-3.【コラム】マンションの敷地が借地である場合
マンションの敷地が借地である場合、区分所有者が持つ敷地権は「借地権」として評価します。
評価ロジック自体は戸建ての借地権と同じですが、マンションは敷地を区分所有者全員で共有しているため、敷地全体の借地権評価額に対して、登記簿に記載された敷地権割合(持分割合)を乗じて按分する点が特徴です。
マンションの評価方法については、構造や持分計算が複雑になるため、詳細は以下のページで解説しています。
4.借地権の相続税評価額の計算の流れ【シミュレーション】
実際に数値を当てはめて、借地権の相続税評価額の計算をしてみましょう。
イメージしやすくなるよう、路線価地域に所在するモデルケースを使ってシミュレーションをします。
【出典:国税庁「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」を加工して作成】
なお、計算式をシンプルにするため、土地の形状は正方形(路線価補正なし)で、地積は100㎡とします。
4-1.STEP①自用地評価額を計算する
まずは、自用地評価額を計算します。
今回のシミュレーションモデルの土地が接している道路には「←265D→」と記載されているため、1㎡あたりの路線価は26.5万円です。
(路線価26.5万円×補正率1.0)×地積100㎡=2,650万円
自用地評価額は、2,650万円と算出されました。
4-2.STEP②借地権評価額を計算する
次に、自用地評価額をもとに、借地権評価額を計算します。
今回のシミュレーションモデルの土地が接している道路には「←265D→」と記載されているため、借地権割合はD(60%)が適用されます。
自用地評価額2,650万円×借地権割合60%=1,590万円
借地権の相続税評価額は、1,590万円と算出されました。
この金額を被相続人の相続財産に加えた上で、相続税の計算をすることとなります。
5.借地権の相続税評価額が変動する可能性がある5つのケース
「借地人がどのような条件で土地を借りているか」によって、借地権の経済的価値が下がり、中には相続税評価額が0円になることもあります。
以下は実務で注意が必要となる、借地権の価値が変動する5つの典型ケースです。
借地権評価額が変動する可能性があるケース
これら5つのケースは、借地権の相続税評価で最も誤解が多いポイントです。
必ず「地代の水準」「権利金の有無」「契約形態」を確認し、どのケースに該当するかを判断することが重要です。
参考:通常の地代、相当の地代とは。借地権評価に絶対必須の概念。
5-1.ケース①権利金の支払いがある場合
借地契約締結時に通常の権利金を支払っている場合、借地権の経済的価値は高く評価されます。
権利金は、借地人が土地を使用するために地主へ支払う対価であり、借地権の取得に伴う「経済的利益の前払い」と考えられるためです。
そのため、自用地評価額に借地権割合を乗じるだけで、相続税評価額を計算できます。
自用地評価額×借地権割合=借地権評価額
5-2.ケース②相当の地代を支払っている場合(権利金支払いなし)
借地人が「相当の地代」を支払っている場合、借地権評価額は0円となります。
相当の地代とは、土地の更地価額(自用地評価額)に見合う地代水準のことで、【過去3年間の自用地評価額の平均値×6%】で求めます。
地代がこの水準にある場合、地主は土地の更地価額に対する標準的な収益(年6%)を地代として回収していると考えられます。
つまり、借地人が土地価値に見合う十分な地代を支払っているため「借地人側に権利としての利益が残らない」と考えられ、評価額が0円になります。
(実際の地代-通常の地代)÷(相当の地代-通常の地代)=按分率
自用地評価額×借地権割合×(1-按分率)=借地権評価額
例えば、自用地評価額1,000万円・借地権割合60%である場合、按分前の借地権評価額は600万円です。
相当の地代は【1,000万円×6%=60万円】、通常の地代は【1,000万円×(1-60%)×6%=24万円】となります。
実際の地代が相当の地代と同水準の60万円である場合、按分率は(60-24)÷(60-24)=1となります。
按分前の借地権評価額600万円×(1-1)となるため、借地権評価額は0円となります。
このように、実際の地代が相当の地代と同水準になると、按分率は必ず1となり、借地権評価額も必ず0円になります。
5-3.ケース③通常の地代より高い地代を支払っている場合(権利金支払いなし)
借地人が「通常の地代」より高い地代(実際の地代)を支払っている場合、借地権の経済的価値が小さくなるため、借地権評価額は按分計算によって減額されます。
通常の地代とは、【過去3年間の自用地評価額の平均値×(1-借地権割合)×6%】で求める「地代の相場水準」のことを指します。
(実際の地代-通常の地代)÷(相当の地代-通常の地代)=按分率
自用地評価額×借地権割合×(1-按分率)=借地権評価額
例えば、自用地評価額1,000万円・借地権割合60%、相当の地代60万円・通常の地代24万円とし、実際の地代を42万円(通常の地代より高いが相当の地代には満たない水準)とします。
このケースの按分率は(42-24)÷(60-24)=0.5となります。
按分前の借地権評価額600万円×(1-0.5)となるため、借地権評価額は300万円まで減額されます。
このように、実際の地代が通常の地代と相当の地代の間にある場合、地代水準が相当の地代に近づくほど按分率が上がり、借地権評価額はより大きく減額されます。
5-4.ケース④固定資産税以下の地代しか支払っていない場合(権利金支払いなし)
借地人が「固定資産税以下の地代」しか支払っていない場合、借地権は成立しないため、借地権評価額は0円になります。
税務上、この状態は「使用貸借」とされ、借地権としての経済的価値が認められないためです。
使用貸借は、無償または著しく低廉な地代で土地を借りている状態を指します。
なお、使用貸借に該当するかどうかは地代の水準だけでなく契約の実態も踏まえて判断されるため、個別の状況によっては借地権の存在が認められる場合もあります。
※なお、本記事は借地人側の解説ですが、地主(貸主)側の相続においては、この土地を「貸宅地」として減額評価することはできず、自用地(更地)評価となりますのでご注意ください。
5-5.ケース⑤転貸・一時使用目的で借りている場合
借地人が土地を転貸している場合、原借地人が持つ権利は「転貸借地権」として評価されるため、借地権評価額が0円になるわけではありません。一方、一時使用目的で借りている場合は、借地権が成立しないため借地権評価額は0円になります。
一時使用目的の借地は借地借家法による保護が弱く、通常の借地権としての経済的価値が認められないためです。
転貸借地権は、財産評価基本通達29に基づき「借地権価額-転借権価額(自用地評価額×借地権割合×借地権割合)」として評価され、借地権として取り扱われます。
6.法人が借地権者の場合は「無償返還の届出」と「株価評価」に注意
ここまで解説してきた借地権の評価は、個人が借地人である場合の一般的な評価方法です。
しかし、借地人が法人(同族会社など)の場合には、相続税評価や株価評価に影響する特別なルールが存在します。
法人借地は、「地主側(個人)の相続税評価」や「同族会社株主の評価」に直接影響するため、専門家のサポートが欠かせません。
6-1.無償返還届出書と借地権・株価評価の取り扱い
法人が借地人であり、税務署に「土地の無償返還に関する届出書」を提出している場合、その借地権の相続税評価額は0円として取り扱われます。
これは、権利金の認定課税を避けるために設けられた制度で、「契約終了時には土地を無償で返還する」という前提により、借地権に経済的価値がないと判断されるためです。
ただし、同届出書が提出されている場合でも、借地人である同族会社の株価評価(純資産価額方式)を行う際は、「自用地評価額×20%」を会社の資産に計上(加算)する必要があります。
届出書によって借地権評価額が0円になっていても、同族会社が地主から経済的利益を受けていると考えるためです。
なお、届出書が提出されていない場合は、法人が借地人であっても、通常どおり「自用地評価額×借地権割合」で借地権を評価します。
6-2.固定資産税以下の地代と底地・株価評価の扱い
地代が固定資産税以下の場合、個人間では「使用貸借」として借地権が成立しません。
しかし、借地人が法人の場合は、使用貸借であっても賃貸借として取り扱われることがあり、評価の扱いが個人間とは大きく異なります。
この取り扱いにより、地主側の底地は自用地評価額で評価される可能性があり、さらに同族会社の株価評価(純資産価額方式)にも影響が及びます。
「賃貸借として取り扱われるかどうか」「無償返還届出書の提出状況」「地代水準(固定資産税以下かどうか)」などの要素が組み合わさることで、底地評価と株価評価の双方が変動する可能性があるため、個別判断が不可欠です。
7.借地権の評価時によくある質問まとめ【Q&A】
借地権の相続税評価額の計算において、よくある質問をまとめました。
Q1:貸家建付借地権は借地権評価額が下がるって本当?
A:借地上に貸家(賃貸用建物)がある場合、借地人の借地権評価額は減額されます。
これは、借地人が建物を第三者に貸していることで、借家権割合(一般的に30%)や賃貸割合(建物の賃貸部分の割合)を適用できるためです。
例えば、借地権の価額が1,000万円、借家権割合30%・賃貸割合50%の場合、貸家建付借地権評価額は「1,000万円×(1-0.3×0.5)=850万円」のように減額されます。
貸家建付借地権は、借地人側の評価が下がるケースであることを押さえておきましょう。
Q2:借地権でも小規模宅地等の特例は使える?
A:借地権でも、宅地等の評価額を最大80%減額できる小規模宅地等の特例を適用できます。
ただし、地代水準によっては、小規模宅地等の特例を適用できないケースがあります。
特に、地代が固定資産税以下の場合は「使用貸借」とされ、借地権が成立しない扱いとなるため、特例の対象外となることがあります。
借地人側の相続税減額制度として、要件を確認しておくことが重要です。
Q3:借地権割合はどう決まる?地域差はある?
A:同じ市区町村内でも道路によって割合が異なるため、必ずその土地に付された借地権割合を確認する必要があります。
借地権割合は、国税庁の路線価図や倍率表によって、A(90%)~G(30%)の7区分として定められています。
一般的に、東京都心部では「B(80%)」や「C(70%)」、東京郊外や地方では「D(60%)」になることが多く見られます。
8.借地権の相続税評価額の計算は専門家である税理士に相談を
借地権の評価は、権利金の有無・地代水準・契約形態・届出書の提出状況など複数の要素を総合的に判断する必要があり、自己判断では誤りやすい分野です。
借地権評価額の計算を誤ると、相続税の申告額が数百万円単位で変動する可能性もあります。
結果として相続税を過大に納付してしまうリスクがあるほか、過少申告による税務調査リスクにも直結します。
借地権の評価は専門性が高いため、適切な評価を行うには税理士に相談されることをおすすめします。
8-1.税理士法人チェスターにご相談を
税理士法人チェスターは、年間3,000件超の申告実績を誇る、相続税専門の税理士法人です。
専門性が高い借地権の評価はもちろん、土地の減額要素や特例の適用可否を判断させていただきます。
すでに相続が発生しているお客様でしたら、初回相談が無料となりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
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