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平成30年度税制改正・小規模宅地特例~新家なき子と海外の居住家屋

2018/11/27

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平成30年度税制改正・小規模宅地特例~新家なき子と海外の居住家屋

1.はじめに

平成30年度税制改正により、小規模宅地特例の特定居住用宅地等における、いわゆる「家なき子」の要件の見直しが行われました(以後、改正前を「家なき子」、改正後を「新家なき子」とします)。この改正については、2018年3月13日のチェスターNEWSで『小規模宅地等の特例の改正 家なき子に一定の経過装置』もございますので、そちらもご参照ください。今回は、この要件が適用されるのはどこに所在する家屋かについて、お伝えしたいと思います。

2.小規模宅地特例とは

では、そもそも「小規模宅地特例」とは、どのような特例か、簡単に説明します。

個人が、相続又は遺贈により取得した財産のうち、その相続の開始の直前において被相続人等(※1)の事業の用に供されていた宅地等(※2)又は被相続人等の居住の用に供されていた宅地等のうち、一定の選択をしたもので限度面積までの部分(以下「小規模宅地等」といいます。)については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、一定の割合を減額します。この特例を小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例といいます(国税庁HP№4124参照)。

※1被相続人等とは、被相続人又は被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族をいいます。
※2宅地等とは、土地又は土地の上に存する権利で、一定の建物又は構築物の敷地の用に供されているものをいいます。ただし、棚卸資産及びこれに準ずる資産に該当しないものに限られます。

 簡単に言うと、上記のような「小規模宅地等」に該当すれば、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、一定の面積までは80%又は50%減額されることになります。

3.いわゆる「家なき子」とは

小規模宅地特例が適用されるためには、特定事業用宅地等、特定居住用宅地等、特定同族会社事業用宅地等及び貸付事業用宅地等のいずれかに該当することが必要です。

そして、これらのうち、「特定居住用宅地等」における、いわゆる「家なき子」の要件について、平成30年度税制改正で見直しが行われました。

では、いわゆる「家なき子」の要件とはどのようなものでしょうか。

「家なき子」の要件の一つに、「相続開始前3年以内に日本国内にある取得者又は取得者の配偶者が所有する家屋(相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋を除きます。)に居住したことがないこと」というものがあります。

簡単に言うと、被相続人の親族が相続開始の直前より3年以内に持ち家に住んでいないということです。

ここで、「3年以内に持ち家に住んでいない親族」というのは、具体的には、賃貸マンション、賃貸アパート、社宅、寮に住んでいる場合が該当します。

上記のような場合に、なぜ、「家なき子」として措置が設けられているかというと、もともと被相続人と同居していたが、一時的に転勤となって社宅住まいになったようなやむを得ない事情で被相続人と同居していなかった場合などを救済するためです。

ただ、このような「家なき子」の要件に該当して小規模宅地特例の適用対象となれば大幅な相続税減税となることから、「家なき子」の要件を充たすような状況を意図的に作り出すことによって小規模宅地特例の適用を受けようとするケースが少なくありませんでした。

例えば、持ち家のある相続人が、その家屋を兄弟などに譲渡して意図的に持ち家がない状況を作り出すことによって「家なき子」の要件を充たし、小規模宅地特例の適用を受けることで相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、一定の面積までは80%減額するケースなどです。

そこで、このような事態を封じるために、今回の改正が行われました。

4.いわゆる「新家なき子」特例とは

新家なき子に該当するための要件の1つとして次の要件が追加されています。

被相続人が居住していた宅地等を取得した親族が「相続開始前3年以内に三親等内の親族等が所有する家屋に居住したことがないこと」(租税特別措置法69の4第3項第2号ロ)という要件です。

この要件では、「三親等内の親族等が所有する家屋」とは、国内の家屋が対象となります。

よって、宅地等を取得した親族が「三親等内の親族等が所有する家屋」に居住していても、その家屋が、海外の家屋であれば、新家なき子に該当する余地があります。

すなわち、平成30年度税制改正によって、「三親等内の親族等が所有する家屋」に居住していた場合は「新家なき子」に該当せず小規模宅地特例の適用を受けることができなくなりましたが、その家屋が国内の家屋に限定されている点では、改正前と異なりません。

例えば、父は既に死亡しており、母と大学生の息子のみの家族で、その息子が母と同居していなかった場合で考えてみます。そして、母が死亡し、被相続人である母から息子が居住用宅地の相続を受けるとどうなるでしょうか。

大学生の息子が、相続開始前3年以内に、叔母が所有する国内の家屋に居住していた場合には、「三親等内の親族等が所有する家屋」に居住していたことになり、新家なき子には該当しないため、小規模宅地特例の適用を受けることはできません。

他方で、大学生の息子が、海外留学中で、叔母が所有する海外の家屋に居住していた場合には、国内の「三親等内の親族等が所有する家屋」に居住していないことになり、その他の要件を充たせば、新家なき子に該当し、小規模宅地特例の適用を受けることができます。

※本記事は記事投稿時点(2018年11月27日)の法令・情報に基づき作成されたものです。
現在の状況とは異なる可能性があることを予めご了承ください。

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