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平成31年度改正~特別寄与者の支払う相続税が2割加算の対象に

2019/03/29

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1.はじめに 

相続法の改正により、相続人以外の親族が被相続人に対する療養看護その他の労務の提供により被相続人の財産の維持又は増加について寄与をした場合には、相続人に対して金銭(特別寄与料)を請求できることになりました(改正民法第1050条)。
そして、この特別寄与料を請求できる者のことを「特別寄与者」と呼び、この特別寄与者が支払う相続税額は2割加算の対象となります。
これらについて、以下で簡単に説明いたします。

2.相続法改正~相続人以外の者の貢献を考慮するための方策(特別寄与料)

(1)改正のポイント

相続人以外の親族が、被相続人の療養看護等を行った場合に、一定の要件のもとで、相続人に対して金銭の支払いを請求することができることとし、相続人以外の者の貢献を考慮するための方策を創設しました。

(2)現行制度

現行制度では、相続人以外の者が、被相続人の介護などの療養看護を尽くしたとしても、相続財産を受け取ることはできません。
例えば、多い事例で言うと、長男の嫁が、長男の死後、同居している義父の介護のために力を尽くした後に義父が死亡したような場合です。義父が死亡した時に、長男の嫁自身は義父の相続人となりません。また、長男が生きていれば長男が義父の遺産を相続することによる恩恵を受けることができますが、すでに長男が死亡していた場合には、長男が遺産を相続することによる恩恵も受けることができません。他方、義父の長男以外の子供達(次男、長女など)は、義父の介護など全くしていなかったとしても、子である以上、義父の遺産を相続することができます。これでは不公平ではないかということが問題となっていました。
そこで、今回の制度が導入されることとなりました。

(3)制度導入によるメリット

特別寄与料を請求できることで、介護などの貢献をした者にも報いることができ、実質的な公平を図ることができるようになりました。
例えば、上記(2)の例の場合、義父の介護を尽くしてきた長男の嫁は、義父の遺産を相続する次男や長女に対して、金銭の支払いを請求できるようになりました。

3.特別寄与者の支払う相続税について

(1)被相続人からの遺贈による取得とみなす

相続税法の平成31年度改正法案では、特別寄与者が支払いを受けるべき特別寄与料の額が確定した場合には、当該特別寄与者が、当該特別寄与料の額に相当する金額を被相続人から「遺贈」により取得したものとみなすこととしています(相続税法(案)4条)。
また、相続人が支払うべき特別寄与料の額は、当該相続人に係る相続税の課税価格から控除することとしています(相続税法(案)13条、21条の15)。

(2)特別寄与者の支払う相続税は2割加算の対象に

上記のように、平成31年度改正法案において、特別寄与者が取得した特別寄与料は、被相続人から「遺贈」により取得したものとみなすこととされました。
そこで、特別寄与者が特別寄与料を取得したことによって支払う相続税額が、2割加算の対象となるのではないかということが問題となります。

相続税額の2割加算とは次のような制度になります。

相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人が、被相続人の一親等の血族(代襲相続人となった孫(直系卑属)を含みます。)及び配偶者以外の人である場合には、その人の相続税額にその相続税額の2割に相当する金額が加算されます(相続税法18条)。(国税庁HP:№4157「相続税額の2割加算」

よって、特別寄与者が、「被相続人の一親等の血族及び配偶者以外の人」に該当する場合は、相続税額の2割加算の対象となります。

具体的には、次のような計算式になります。

相続税の2割加算が行われる場合の加算金額 = 各人の税額控除前の相続税額×0.2

ただし、相続時精算課税に係る贈与を受けている人で、かつ相続開始の時までに被相続人との続柄に変更(養子縁組の解消等)がある場合は、計算が異なります。

※本記事は記事投稿時点(2019年3月29日)の法令・情報に基づき作成されたものです。
現在の状況とは異なる可能性があることを予めご了承ください。

※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。

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