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未成年者控除~成年年齢の引下げ~

2020/11/09

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1 はじめに

平成30年6月13日、民法の成年年齢を20歳から18歳に引き下げること等を内容とする民法の一部を改正する法律が成立しました。明治29年(1896年)に民法が制定されて以来、成年年齢は20歳とされていましたが、この度、約140年ぶりに、改正されることとなりました。
(法務省HP「民法の一部を改正する法律(成年年齢関係)について」)

この改正は、令和4年4月1日から施行され、この成年年齢の引下げに伴い、他の法令についても、必要に応じて18歳への引下げなどの改正が行われますが、税法においても、年齢要件についての改正等が行われます。今回は、未成年者控除について、以下で簡単に説明いたします。

2 未成年者の税額控除の改正点

(国税庁HP「№4164未成年者の税額控除」)

相続人が未成年者のときは、相続税の額から一定の金額を差し引くことができ、これを未成年者の税額控除と言います。

では、どの程度の金額が控除できるのでしょうか。

未成年の相続人が、成年になるまでの年数1年につき10万円で計算した額を相続税額から控除することができます。よって、成年年齢が20歳から18歳に引き下げになると、その計算式も変わってくることになります。

〇 成年年齢が20歳の場合の未成年者控除の計算式(改正前)
(20歳―相続開始時の年齢)×10万円

〇 成年年齢が18歳に引き下げられた場合の未成年者控除の計算式(改正後)
(18歳―相続開始時の年齢)×10万円

※年数の計算に当たり、1年未満の期間があるときは切り上げて1年として計算します。

また、既に未成年者控除を受けたことがある者が、2回目以降で控除できる額は、次のような計算式になります。

A(最初の相続等に係る控除可能額)-B(既に控除を受けた額の合計額を控除した額)= 控除額

つまり、最初の相続税額から引ききれなかった残額が2回目以降で控除できる額となります。

そこで、最初の相続等と2回目以降の相続等が成年年齢の改正の前後に亘る場合の計算はどのようになるのでしょうか。

最初の相続等が令和4年3月31日の成年年齢改正前までのものであり、2回目の相続等が令和4年4月1日以後の成年年齢改正後のものである場合、上記の計算式のA(最初の相続等に係る控除可能額)については、以下の計算式で計算しなおす必要があります。

〇(18歳―最初の相続開始時の年齢)×10万円(平成31年改正法附則23②)

それでは、実際の事例に当てはめてみましょう。

《具体例》
1回目の相続が令和元年に開始。(相続人 3歳。相続税額は80万円)
2回目の相続は令和6年に開始。(相続人は8歳。相続税額は100万円)

この場合、1回目の控除可能額の計算は成年年齢改正前なので、
(20歳―3歳)×10万円=170万円
つまり、170万円まで控除が可能ですが、相続税額が80万円のため、1回目の相続においては相続税額80万円全額が控除されます。

2回目の相続は、成年年齢改正後ですので、1回目の相続時の年齢について、18歳の年齢に達するまでの年齢で計算し直した控除可能額を計算します。
(18歳―3歳)×10万円=150万円
つまり、計算し直した金額である150万円から、既に1回目の相続で控除した80万円を控除し、残りの70万円が、2回目の相続での控除可能額となります。

3 終わりに

成年年齢引き下げが施行されるのは令和4年4月1日以後になりますが、成年年齢が引き下げられることにより周辺の法令等にも影響があるため、上記のような取扱いを踏まえた検討が必要になります。

※本記事は記事投稿時点(2020年11月9日)の法令・情報に基づき作成されたものです。
現在の状況とは異なる可能性があることを予めご了承ください。

※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。

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