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【審判所裁決】鉄道騒音により宅地の10%の減額評価が認められた事例

2021/03/01

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1.はじめに

国税庁ホームページのタックスアンサー「No.4617 利用価値が著しく低下している宅地の評価」によると、利用価値が著しく低下していると認められる宅地の価額は、「その宅地について、利用価値が低下していないものとして評価をした場合の価額から、利用価値が低下していると認められる部分の面積の価額に、10%を乗じて計算した金額を控除した価額よって評価できる」とされています。

利用価値が著しく低下している宅地とは、以下のような理由等から、付近にある他の宅地の利用状況からみて、使い勝手等が悪くなっている等利用価値が著しく低下している宅地のことを指します。

引用:国税庁「No.4617 利用価値が著しく低下している宅地の評価」

今回ご紹介するのは上記4の「騒音」に当てはまる、鉄道騒音によって利用価値が低下している宅地として10%の減額評価が認められた事例です(令和2年6月2日裁決)。

 

2.鉄道騒音によって利用価値が低下している宅地として減額評価すべきか否かが争点

1.事例の概要

請求人は争点の対象となる「土地①(以下、該当土地)」と共に、「土地②」「土地③」を被相続人(父)から相続しました。

該当土地は鉄道の線路から約10~30mの範囲内にあり、その南東に「土地②」「土地③」が隣接しています。

そして「土地③」が接面している道路は、鉄道の線路からおおよそ90m離れています。

該当土地はX社と賃貸借契約を締結しており、相続開始日は同社が多数のコンテナを設置して貸コンテナ業を営んでいました。

2.請求人側と原処分庁の主張

請求人は法定申告期限内に相続税申告を行った後、列車走行の際に該当土地で約80デシベルの騒音が生じることから、該当土地の利用価値が著しく低下しているとして「10%の減額評価が適用される」とし、相続税の更正の請求をしました。

ただし原処分庁は該当土地の10%の減額評価の適用を認めず、さらに請求人側が該当土地で行った測定時間が1時間程度で、その測定方法も明らかでない等の立証不足を主張しました。

原処分庁がこのような主張をする背景として、この事案が更正の請求であることや、該当土地が居住用家屋ではない賃貸で企業がコンテナ業を営んでいることから、「取引金額への影響が少ない」との心象を得た可能性もあると推測されます。

 

3.国税不服審判所は鉄道騒音による10%の減額評価の適用を認める

国税不服審判所は、該当土地が「鉄道騒音によって利用価値が著しく低下している土地である」と認めました。

よって、利用価値が低下していないものとして評価した場合の価額から、10%を減額評価するのが相当であると裁決されました。

裁決の決め手となったのは以下の3つのポイントです。

 

それでは、この裁決のポイントについて、法令解釈に当てはめて確認してみましょう。

1.路線価に騒音の要因がしんしゃくされていない

該当土地の路線価は、鉄道の線路からおおよそ90m離れた「土地③」に接面する道路に付されていました。

該当土地は鉄道の線路から10~30mに位置しますが、適用された路線価(93千円)には鉄道の騒音要因がしんしゃくされていないと認められました。

2.列車走行時に騒音が日常的に発生していたと認められる

以下(イ)~(ロ)の鉄道騒音の発生状況にて総合判断すると、該当土地では列車走行時にある程度の騒音が日常的に生していたことが認められました。

(イ)の請求人が行った鉄道騒音の測定方法は以下の通りで、環境省の「在来鉄道の新設又は大規模改良に際しての騒音対策の指針について(騒音指針)」や「在来鉄道騒音測定マニュアル」に完全に準拠するものではありませんでした。

しかし、その測定方法及び測定結果については一定の信用性を認めることができ、国税不服審判所は(ロ)~(ニ)の間接的事実と経験則を踏まえ、該当土地の列車走行時の騒音の発生を認めました。

3.鉄道騒音により取引金額に影響を受けていると認められる

該当土地が所在している市と隣の市では、補正率の算出方法は異なるものの、鉄道の鉄軌道中心線から30mの範囲の土地について、列車走行時の騒音によって土地価格が低下することを、固定資産税評価額に反映させるための減価補正が設けられており、その補正の主旨に照らせば、該当鉄道の列車走行時の騒音が土地の価格低下の要因として、土地の価格に特に著しい影響があると認められました。

 

4.さいごに

「利用価値が乏しく低下している宅地」の個別的要因について、評価通達本体には調整規定が設けられていません。

「騒音による取引金額への影響」要件は、該当土地の騒音による取引金額への影響額を定量的に分析することにつながる要件であり、その分析には近隣地域の売買実例価額の検証が必要ですが、一般の納税者では検証するための資料の入手が不可能な上に、時価そのものの分析を行うことは難しいです。

そのため、今回の事例は「騒音の発生状況に係る証拠収集の技術的な水準の程度」や、納税者が入手しやすい「市町村による固定資産評価基準の補正内容」が有力な証拠になり得ることを示したと言えるでしょう。

※本記事は記事投稿時点(2021年3月1日)の法令・情報に基づき作成されたものです。
現在の状況とは異なる可能性があることを予めご了承ください。

※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。

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