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税制改正大網って何?~財務省が「税制改正プロセス」について説明
2024/11/19
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報道によれば、来年度の税制改正に向けて、自民・公明両党の税制調査会の幹部が、「与党税制協議会」の会合を開いたそうです。
会合では、来年度の税制改正に向けて、例年どおりの日程で議論を進め、来月中旬までに与党の税制改正大綱のとりまとめを目指すことが確認されました。
ところで、「来年度の税制改正」、「税制調査会」、「税制改正大綱」という言葉はよく耳にしますが、税制改正に向けてのプロセスってどうなっているのでしょう?
これについては、財務省HPの「Q&A~身近な税について調べる~」コーナーに「税制改正のプロセス」が掲載されていましたので、これを見てみましょう。
財務省HP「Q&A~身近な税について調べる~」(抜粋)
Q:税制改正のプロセスについて教えてください。
A:回答
税制は、税負担の公平確保などの理念に沿いつつ経済社会の変化に十分対応できるよう、その仕組みについて不断に見直すとともに、租税特別措置についても、絶えずそのあり方を検討する必要があります。そこで、国民各層や各種団体の税制改正要望等を踏まえつつ、例年、予算編成作業と並行して、税制改正の作業が行われています。
税制改正は、租税法律主義の下、立法の手続をとることを要し、以下の手順で進められます。
まずは、経済社会の変化等を踏まえて、その時々の課題を中心に議論が進められます。
具体的には、政府税制調査会が中長期的視点から税制のあり方を検討する一方、毎年度の具体的な税制改正事項は与党税制調査会が税制改正要望等を審議し、その後取りまとめられる与党税制改正大綱を踏まえて、「税制改正の大綱」が閣議に提出されます。
そして、閣議決定された「税制改正の大綱」に沿って、国税の改正法案については財務省が、地方税の改正法案については総務省が作成し、国会に提出されます。
国会では、衆議院と参議院のうち、まず先に改正法案が提出された議院において、財務金融委員会(衆議院)若しくは財政金融委員会(参議院)又は総務委員会での審議を経て、本会議に付されます。可決されると、もう一方の議院に送付され、そこでも同様のプロセスによって可決されると改正法案は成立し、改正法に定められた日から施行されることになります。
(出典:財務省HP「Q&A~身近な税について調べる~」)
以上のことから、税制調査会には、政府税制調査会と与党税制調査会があって、前者は、中長期的視点から税制のあり方を検討し、後者は、毎年度の具体的な税制改正事項を審議することが分かりました。
それでは、それぞれの税制調査会について確認してみましょう。
まず、政府税制調査会とは、内閣府本府省令に基づき設置された内閣府の審議会等の一つで、内閣総理大臣の諮問に応じて、租税制度に関する基本的事項を調査審議する内閣の諮問機関という位置づけです。
内閣府本府組織令〔平成十二年六月七日政令第二百四十五号〕(抄)
(設置)
第三十一条 法律の規定により置かれる審議会等のほか、本府に、次の審議会等を置く。
… 省 略 …
税制調査会(税制調査会)
第三十三条 税制調査会は、次に掲げる事務をつかさどる。
一 内閣総理大臣の諮問に応じて租税制度に関する基本的事項を調査審議すること。
二 前号の諮問に関連する事項に関し、内閣総理大臣に意見を述べること。
2 前項に定めるもののほか、税制調査会に関し必要な事項については、税制調査会令(平成二十五年政令第二十五号)の定めるところによる。税制調査会令〔平成二十五年二月一日政令第二十五号〕
内閣は、内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第三十七条第二項の規定に基づき、この政令を制定する。
(組織)
第一条 税制調査会(以下「調査会」という。)は、委員三十人以内で組織する。
2 調査会に、特別の事項を調査審議させるため必要があるときは、特別委員を置くことができる。
3 調査会に、専門の事項を調査させるため必要があるときは、専門委員を置くことができる。(委員等の任命)
第二条 委員及び特別委員は、学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が任命する。
2 専門委員は、財政経済又は税制に関し専門的知識のある者のうちから、内閣総理大臣が任命する。
(出典:内閣府HP「税制調査会に関する政令の規定」)
次に、与党税制調査会とは、自民、公明両党が、国と地方の税制の改正を議論するために設けられていて、各省庁や業界団体などの要望を聞いて利害を調整し、12月に「与党税制改正大綱」を取りまとめる政策決定を担う政務調査会の一機関という位置づけです。
以上のとおり、毎年度の具体的な税制改正事項は、「与党税制調査会」が、税制改正要望等を審議し、その後取りまとめられる「与党税制改正大綱」を踏まえて、「税制改正の大綱」が閣議に提出されます。
そして、閣議決定された「税制改正の大綱」に沿って、国税の改正法案については財務省が、地方税の改正法案については総務省が作成し、国会に提出されます。
したがって、例年は、12月中旬に取りまとめられる「与党税制改正大綱」が、毎年度の税制改正法案につながっていくことになります。
ただし、本年は、自民党が、衆議院で過半数の233議席を下回る191議席にとどまり、連立を組む公明党の24議席を合わせても計215議席で過半数に届かず、国会でどの勢力も過半数の議席を獲得できない状態となったことから、例年どおりの国会対応を行うことは難しくなるように思われます。
(出典:読売新聞オンライン)
◎ チェスターの視点
今年の税制改正では、「年収103万円の壁」問題など国民の懐に大きな影響がある事項がクローズアップされています。これらは、所得税・住民税の基礎控除、扶養控除、配偶者控除及び配偶者特別控除にも影響しますので注視が必要です。
また、相続税関係では、会計検査院の令和5年度決算検査報告で指摘された取引相場のない株式の評価方法について注視したいと思います。
※本記事は記事投稿時点(2024年11月19日)の法令・情報に基づき作成されたものです。
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