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固定資産税“算定ミス”で納税通知書発送を延期 相続税の申告への影響は?
2025/07/07
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報道によれば、福島県郡山市は、令和7年度の固定資産税の算定に誤りがあったとして、5月15日に発送予定だった納税通知書の発送を、約1か月延期すると発表したとのことです。
郡山市税務部によりますと、令和7年度の固定資産税の税額を算定する際の基礎になる課税標準額の土地に関する算定プログラムに誤りがあり、誤りがあったのは、住宅用地、商業地あわせて全体の半数近い47.7%にあたる5万6063件に上る模様です。
(出典:2025年5月16日 テレビュー福島)
では、今回のような固定資産税の納税通知書の発送遅延は、相続税申告にどのような影響があるのでしょうか。
1.相続税における債務控除
相続税を計算するときは、被相続人が残した借入金などの債務を遺産総額から差し引くことができます。
差し引くことができる債務は、被相続人が死亡したときに現に存在した被相続人の債務(借入金や未払金など)で確実と認められるものです。
なお、被相続人に課される税金で被相続人の死亡後相続人などが納付または徴収されることになった所得税や固定資産税などの税金については被相続人が死亡したときに確定していないもの(相続時精算課税適用者の死亡によりその相続人が承継した相続税の納税に係る義務を除きます。)であっても、債務として遺産総額から差し引くことができます。
ただし、相続人などの責任に基づいて納付したり、徴収されることになった延滞税や加算税などは遺産総額から差し引くことはできません。
(参考:国税庁HP「No.4126 相続財産から控除できる債務」)
2.未納の固定資産税がある場合の相続税の債務控除
固定資産税の納税義務は毎年1月1日に成立するため、相続開始日に納税通知書が送付されていない場合であっても、被相続人が亡くなられた年分の未納となっている固定資産税は債務控除の対象となる債務に該当します。
(参考:国税庁HP「未納の固定資産税・住民税」)
◎ チェスターの視点
相続税を計算するときは、被相続人が残した借入金などの債務の他に、固定資産税など、被相続人が死亡したときに確定していなかった税金も、債務として遺産総額から差し引くことができます。
なお、固定資産税の納税義務は、賦課期日である1月1日に固定資産を所有していたことで成立します。
そのため、例えば、不動産の所有者が、1月2日にお亡くなりになった場合には、その年の固定資産税額は、相続税の遺産総額から債務として控除できることになります。
したがって、福島県郡山市が、令和7年度の固定資産税の納税通知書の発送を約1か月延期したとしても、相続税の申告に関していえば、さほど大きな影響はないといって良いように思えます。

参考
相続税法(抄)
(債務控除)
第十三条 相続又は遺贈(包括遺贈及び被相続人からの相続人に対する遺贈に限る。以下この条において同じ。)により財産を取得した者が第一条の三第一項第一号又は第二号の規定に該当する者である場合においては、当該相続又は遺贈により取得した財産については、課税価格に算入すべき価額は、当該財産の価額から次に掲げるものの金額のうちその者の負担に属する部分の金額を控除した金額による。一 被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの(公租公課を含む。)
(以下省略)第十四条 前条の規定によりその金額を控除すべき債務は、確実と認められるものに限る。
(以下省略)
※本記事は記事投稿時点(2025年7月7日)の法令・情報に基づき作成されたものです。
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