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【令和5年度税制改正】相続時精算課税制度の初回の選択年分が基礎控除以下なら贈与税の申告不要に

2023/05/08

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 1.はじめに

令和5年度税制改正により、相続時精算課税制度に「基礎控除(年間110万円)」が創設されました。

これに伴い、令和6年1月1日以降、相続時精算課税制度において基礎控除以下の贈与である場合は、初選択時も含めて「贈与税の申告」が不要となります。

本稿では、税制改正後に相続時精算課税制度を選択する場合の、提出書類などの手続きについてご紹介します。

相続時精算課税制度の概要について、詳しくは「相続時精算課税制度とは?活用するメリット・デメリットや注意点も解説! 」をご覧ください。

 

2.相続時精算課税制度に「基礎控除(年間110万円)」が創設

令和5年度税制改正により、相続時精算課税制度が見直され、年間110万円の基礎控除が創設されました(相続税法第21条の11の2)。

この年間110万円の基礎控除は、2,500万円特別控除の対象外となるため、贈与者の相続発生時に相続財産に加算する必要もありません(相続税法第21条の11の2)。

税制改正後の相続時精算課税制度が適用されるのは、令和6年1月1日以降に行われる贈与によって取得する財産に係る相続税・贈与税です。

なお、令和5年12月31日までに相続時精算課税制度を選択している場合も、令和6年1月1日から基礎控除が適用されます。

令和5年度税制改正における相続時精算課税制度の見直しについて、詳しくは以下ページをご覧ください。

>>チェスター「【令和5年度税制改正】暦年課税と相続時精算課税制度の見直し
>>財務省「令和5年度税制改正(案)のポイント

 

3.初回の選択年分が基礎控除以下なら贈与税の申告不要(届出のみ)

令和6年1月1日以降は、相続時精算課税制度において基礎控除(年間110万円)以下の贈与である場合、初選択も含め「贈与税の申告」は不要となります(相続税法第28条、相続税法施行令第5条)。

そのため、相続時精算課税制度を初めて選択した年分の贈与が、基礎控除以下である場合は、「相続時精算課税選択届出書」のみを提出することとなります。

現行制度においては、相続時精算課税制度を選択する初年度は、贈与税の申告期限までに「相続時精算課税選択届出書」と「贈与税の申告書」を添付して提出するのが原則です。

そして相続時精算課税制度を選択後に贈与があった場合は、贈与金額の大小に関わらず「贈与税の申告」が必要です。

令和5年度税制改正により、相続時精算課税制度のデメリットの1つであった、少額の贈与に係る「申告の手間」が軽減されることとなります。

3-1.引き続き「受贈者の戸籍謄本等」の提出は必要

令和6年1月1日以降は、相続時精算課税制度を初めて選択する時の贈与が基礎控除以下である場合、相続時精算課税選択届出書のみ提出することとなります。

しかし、現行制度と同様に、相続時精算課税選択届出書には、受贈者の戸籍謄本等を添付する必要がありますので、失念しないようご留意ください。

3-2.相続時精算課税選択届出書の提出期限

相続時精算課税制度を初めて選択した初年度における、相続時選択課税選択届出書の提出期限は、「贈与を受けた年の翌年2月1日~3月15日まで」です。

この期限までに相続時精算課税制度に係る必要書類を、納税地を所轄する税務署に提出する必要があります。

仮に提出期限に間に合わなかった場合は、相続時精算課税制度が適用されなくなり、暦年課税になってしまいますので失念しないようご注意ください。

 

4.相続時精算課税制度を選択した初年度の手続きシミュレーション

相続時精算課税制度の基礎控除額の創設により、令和6年1月1日以降は、相続時精算課税を選択するケースが多くなることが想定されます。

では、相続時精算課税制度を初めて選択する場合、どのような書類をいつまでに提出すれば良いのでしょうか?

イラストを元にご紹介しますので、参考にしてください。

4-1.初選択する年分の贈与が基礎控除以下の場合

相続時精算課税制度を選択する年分の贈与が、基礎控除(年間110万円)以下である場合、「相続時精算課税選択届出書」のみ提出することとなります(受贈者の戸籍謄本等も添付)。

選択年の翌年以降は、基礎控除超であれば「贈与税の申告書」の提出が必要ですが、基礎控除以下であれば「贈与税の申告書」の提出は不要です。

4-2.相続時精算課税を初選択する年分の贈与が基礎控除超の場合

相続時精算課税制度を選択する年分の贈与が、基礎控除(年間110万円)を超える場合、「贈与税の申告書」と「相続時精算課税選択届出書」をセットで提出する必要があります(受贈者の戸籍謄本等も添付)。

選択年の翌年以降は、基礎控除超であれば「贈与税の申告書」の提出が必要ですが、基礎控除以下であれば「贈与税の申告書」の提出は不要です。

5.さいごに

令和5年度税制改正により、相続時精算課税制度に基礎控除が創設され、基礎控除以下の贈与である場合は「贈与税の申告」が不要になります。

令和6年1月1日以降、相続時精算課税制度を初めて選択する年については、贈与金額が「基礎控除以下」なのか「基礎控除超」なのかで、提出する書類が異なるためご注意ください。

仮に相続時精算課税選択届出書の提出を失念すると、税制改正後の暦年課税が適用され、生前贈与加算(相続開始前3~7年以内の贈与を相続財産に持ち戻し)になってしまいます。

相続税対策として、令和6年1月1日以降に相続時精算課税制度の選択を検討されている方は、専門家である税理士に相談をした上で、適切な手続きを行いましょう。

※本記事は記事投稿時点(2023年5月8日)の法令・情報に基づき作成されたものです。
現在の状況とは異なる可能性があることを予めご了承ください。

※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。

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