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令和5年分の路線価等が公表~全国平均が2年連続上昇~

2023/08/15

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1.はじめに

令和5年7月3日、国税庁は令和5年分の「路線価図及び評価倍率表(財産評価基準書) 」を公表しました。

今年は標準宅地の評価基準額(平均路線価)の全国平均が2年連続で上昇となり、コロナ前の水準へと回復傾向であることが鮮明となりました。

本稿では、令和5年分の路線価等の動向についてお伝えします。

 

令和5年分の路線価等は、令和5年1月1日~令和5年12月31日までの間に、相続・遺贈・贈与(以下、相続等)によって取得した土地等の評価額を計算する際に指標となります。

なお、路線価等は毎年1月1日を評価時点とした、「地価公示価格等」を元にした価額の80%程度を目途に評価されています。

路線価の見方や計算方法について、詳しくは「相続税路線価とは?土地評価額の計算方法や路線価の調べ方を紹介 」をご覧ください。

 

2.令和5年分の標準宅地の評価基準額(平均路線価)

標準宅地の評価基準額(平均路線価)の対前年変動率の平均値は、以下の通りです(全国およそ31万6,000地点)。

令和5年分の標準宅地の評価基準額(平均路線価)において、対前年変動率が上昇したのは25都道府県(前年20)、横ばいは2県(前年0)、下落したのは20県(前年27)となりました。

最も上昇率が高かったのは「北海道6.8%(前年4.0%)」、次点は「福岡県4.5%(前年3.6%)」「宮城県4.4%(前年2.9%)」と、令和4年度と同様の動きとなりました(令和4年度の路線価はコチラ )。

2-1.全国平均は対前年1.5%と2年連続で上昇

令和5年分の標準宅地の評価基準額(平均路線価)は、対前年1.5%(前年0.5%)となり、2年連続で上昇しました。

国税庁は、新型コロナに伴う行動制限や入国制限が緩和されたことに伴い、商業活動の活発化やインバウンド需要の高まりなどが背景にあるとみています。

2-2.最も上昇率が高かったのは「北海道」

標準宅地の評価基準額における都道府県別の平均で、最も上昇率が高かったのは「北海道6.8%(前年4.0%)」です。

北海道は2年連続で全国の都道府県の中で最も上昇率が高くなり、過去10年で上昇率が最高となりました。

これは北海道新幹線の延伸を見据えた再開発によって、札幌市中心部の不動産市場が好調な動きであることに加え、札幌市の周辺自治体でも住宅購入の動きが強まっていることが、背景として挙げられます。

 

3.令和5年分の都道府県庁所在都市の最高路線価

以下は、国税庁「令和5年分都道府県庁所在都市の最高路線価 」より一部を抜粋した、県庁所在都市別の最高路線価と対前年変動率です。

【参考:国税庁「令和5年分都道府県庁所在都市の最高路線価 」】

令和5年分の都道府県庁所在都市の最高路線価において、対前年変動率が上昇したのは29都市(前年15都市)、横ばいは13都市(前年16都市)、下落したのは4都市(前年16都市)となりました。

上昇した都市は、前年分から約2倍増加したこととなります。

なお、再開発が進んでいる地域や観光地では大幅な上昇が目立ちますが、都心のオフィス街は同じ動きは見られません。

これはコロナ禍における働き方の変化により、オフィス需要が低下したことによる影響であると考えられます 。

3-1.全国の最高路線価は38年連続で「鳩居堂前」

全国の最高路線価は、「東京都中央区銀座5丁目銀座中央通り(鳩居堂前)」で、1㎡あたり4,272万円となりました。

当該路線価は、昭和61年分以降38年連続で最高となり、変動率は対前年比1.1%(前年▲1.1%)と上昇に転じました。

なお、次点は「大阪市北区角田町御堂筋」で1㎡あたり1,920万円、こちらも対前年比1.3%(前年▲4.0%)と上昇に転じました。

3-2.最高路線価の上昇率が高かったのは「岡山市」

最高路線価の対前年変動率において、最も上昇率が高かったのは「岡山県岡山市北区本町市役所筋」の9.3%(前年1.4%)となりました。

当該路線価は2年連続の上昇となり、背景として岡山市における再開発等による中心商業地の充実が要因と考えられます。

次点は「北海道札幌市中央区北5条西3丁目札幌停車場線通り」の8.4%(前年4.8%)で、12年連続の上昇となりました。

 

4.さいごに

令和5年度の路線価等は、ウィズコロナの下で全国的に上昇傾向にあります。

商業地や観光地においては、新型コロナウイルス感染症拡大前の水準に回復している傾向があります。

しかし、都心のオフィス街においては、働き方の変化によるオフィス需要の低迷が、引き続き路線価にも影響を与えています。

当該エリアの路線価については、今後も注視する必要があると言えるでしょう。

※本記事は記事投稿時点(2023年8月15日)の法令・情報に基づき作成されたものです。
現在の状況とは異なる可能性があることを予めご了承ください。

※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。

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