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政治資金に相続税が課税されないのは何故?

2024/10/28

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政治資金に相続税が課税されないのは何故?政治家が亡くなり、遺族が政治資金団体を引き継いだ場合、引き継いだ政治資金に相続税が課税されないのは何故なのでしょうか?

最近、政治資金への相続税非課税が特権である旨の記事を見かけます。
記事を読んでも、「政治資金」や「世襲」が何を指すのかよく分からず、モヤモヤしている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そこで、今回は、この「政治資金」や「世襲」が何を指し、政治資金に相続税が課されない理由について明らかにしたいと思います。

「政治資金」って何?

まず、「政治資金」とは、何を指すのでしょうか?
「政治資金」とは、政治資金規正法(※)において用いられる用語です。
 (※)規正とは、公正な規律に照らし、悪い点をただし、改めることをいいます。

政治資金規正法の目的は、議会制民主政治の下における政党その他の政治団体の機能の重要性及び公職の候補者の責務の重要性にかんがみ、政治団体及び公職の候補者により行われる政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、①政治団体の届出、②政治団体に係る政治資金の収支の公開、③政治団体及び公職の候補者に係る政治資金の授受の規正、④その他の措置を講ずることにより、政治活動の公明と公正を確保し、もって民主政治の健全な発達に寄与することにあるとされています。
(出典:総務省HP「政治資金制度を知ろう!」)

政治団体には、以下の種類があります。

政治団体の種類

(出典:総務省HP「政治資金規正法のあらまし」)

したがって、「政治資金」とは、政治資金規正法上の「資金管理団体」が管理する政治活動を行うための「資金」を指すことになります。

「資金管理団体」って何?

それでは、「資金管理団体」とは、何を指すのでしょうか?

政治資金規正法によれば、公職の候補者は、その者がその代表者である政治団体のうちから、一の政治団体をその者のために政治資金の拠出を受けるべき政治団体として指定することが可能で、その指定をしたときは、その指定の日から7日以内に、文書で、その旨、その者に係る公職の種類並びにその指定をした政治団体(以下「資金管理団体」といいます。)の名称、主たる事務所の所在地及び代表者の氏名を、都道府県の選挙管理委員会又は総務大臣に届け出なければならないとされています(政治資金規正法19条)。

この資金管理団体については、平成22年3月12日付「政治団体の法的性格に関する質問主意書」への答弁書(衆質174第201)において、

政治資金規正法第三条第一項に規定する政治団体は、当該政治団体が個別の法律の規定により法人とされる場合を除き、いわゆる権利能力なき社団に該当するものと考えられる。

と回答されています。
また、国税庁の「政治資金パーティーと適格請求書について」においても、政治団体が、「政治団体(法人又は人格のない社団等)」と表現されています。

したがって、「資金管理団体」とは、政治活動を行うための「資金」を管理する政治団体として届出がなされた「代表者の定めのある人格なき社団」ということになります。

「世襲」って何?

「資金管理団体」が、「代表者の定めのある人格なき社団」である以上、「代表者の定めのある人格なき社団」の代表者が亡くなった場合には、別の者が、「代表者の定めのある人格なき社団」の代表に就任することになります。

この場合に、亡くなった代表者(=「政治家である被相続人」)の遺族が、「資金管理団体」の代表者に就任することを、マスコミ報道等では「世襲」と呼んでいます。

「資金管理団体」が管理する「政治資金」は相続できる?

「資金管理団体」が管理する「政治資金」は、「代表者の定めのある人格なき社団」が管理する財産であって、「政治家である被相続人」の保有財産には当たりません。

したがって、「政治家である被相続人」の遺族は、「資金管理団体」が管理する「政治資金」を、相続により取得できません。

◎チェスターの視点

「政治家である被相続人」の遺族は、「資金管理団体」が管理する「政治資金」を相続により取得することができませんので、結果、「資金管理団体」が管理する「政治資金」に対し、相続税が課税されることはないということになります。

ただし、「政治家である被相続人」の遺族が政治家として世襲せず、資金管理団体を解散して、同団体から残余財産を取得した場合には、所得税が課税されるものと解されます。

なお、仮に、「資金管理団体」が管理する「政治資金」に対し相続税を課税する必要があるということとなれば、何らかの税制改正が必要と思われます。

※本記事は記事投稿時点(2024年10月28日)の法令・情報に基づき作成されたものです。
現在の状況とは異なる可能性があることを予めご了承ください。

※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。

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